2月26日、株式会社はてなはユーザーがブックマークしたエントリー(記事)によるニュースサイト『はてなブックマークニュース』をリリースしました。「はてなブックマーク」で集められてエントリーを編集しニュース配信するものですがそもそもWeb2.0を主力に業界をリードしてきたはてながなぜ今ニュースサイトを始めるのかその背景と狙いを考察してみました。

■そもそも、『はてな』はITリテラシー高いユーザーの集合体

最新のはてなの媒体資料では、会員数85万人、月間ユニークユーザーは1319万。ページビューは公開されてなかったので不明ですがおそらく月間数億PVでしょう。そしてこの会員の約45%の勤務先職種がエンジニアです。またユーザーに引用されているニュースの6割はIT系です。つまりITリテラシーが高い人が集まるサイトが『はてな』です。

※2009年1-3月の媒体資料より

■ITリテラシーの高いユーザーばかりではお金につながらない

これは業界でもよく耳にする話ですが、彼らはネットでお金を使いたがらないんですね。クレイジーワークスの代表村上氏も自身のブログでわかりやすくこのことについて言及されています。

「はてなユーザーはネットのリテラシーが高くサービスはタダだと思っている。特にデジタルコンテンツ無料と思っている。「着うた」「アバター」はまず買わない。・・・・・・広告に関してはアクティブユーザーの多くは男性で、購入するものは利益率はそんなに高くない商材なので、広告予算があまり取れない商材が多い・・・こういう人たちで、いちばん取れるのは技術者求人。」 新公式:儲かるWebサービス≒はてブされにくいサービス

つまり、ITリテラシー高いユーザーの集合体だけでは広告収益に限界があるということです。だからお金になるユーザーのパイ(母数)を増やす必要が出てきます。

■お金になる一般層(普通のネットユーザー)が欲しい

非ネットユーザーはリテラシー高いユーザーよりもネットにお金を落とす傾向があります。
例えば私のブログでも、ポータルから引用された際のトラフィックは広告のクリックスルーレート(CTR)やアフェリエイトの購買率は比較的高いです。また村上氏も自身のブログで「非ネットユーザーはめんどくさいことに時間をとられるくらいならお金を払う傾向がある」と説明しています。

■はてなブックマークニュースで一般層を取り込む

そこで一般ユーザーを取り込むひとつの手段として「はてなブックマークニュース」が登場したんだと考えられるのです。ニュースであれば一般のユーザーも読みますし、Yahoo!のようなポータルサイトへ記事配信すればさらに一般ユーザーを取り込むことが可能です。また、MarkeZineの「新聞系ニュースサイト利用者数1位は「毎日.jp」、ポータルからの流入で「Yahoo!ニュース」は絶大な影響力」という記事によればニュース提供元のトラフィックのほとんどがポータルサイトからだといいます。現にロケットニュース24も同じようにポータルサイトさんからの流入が多いです。

■「変な名前のニュースサイトがあるんだな」・・・と思わせたら勝ち

はてなブックマークニュースの「はてなブックマーク」って何だ?こう、ユーザーに思わせたらはてなの勝ちでしょう。ニュースサイトが一般層に認知され、その名前に疑問を持ち、検索して名前を調べてみて、おお!ソーシャルブックマークサービスってのがあって、ユーザーがピックアップした情報を使ってニュースにしているのか!・・・と。

■最後に

一般ユーザーを増やし広告収益を増やすことも大事ですがそれ以上にソーシャルブックマーク自体の理解がもっと一般層に広まればこれほど嬉しいことはないですよね。これからのはてなブックマークニュースの展開が非常に楽しみです。

参考:はてなブックマークニュース

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