長い間音楽の記録メディアとして活躍してきたカセットテープ。現在では見かけることも少なくなり、その後に世に出たMDもほぼ消えた状態だ。最近ではCDすらお使いの方も少ないかもしれない。
すっかり前世紀の代物となってしまったカセットテープだが、最近また注目されているそうだ。だが、カセットテープから出てくるのは名曲ではなく、名曲を作ったあの人たちである。カセットの中身で描かれた肖像画が話題となっている。
カセットの中身である磁気テープでビートルズ、マイケル・ジャクソン、マドンナなど有名アーティストを描いているのは、アメリカ在住のエリカ・アイリス・シモンズさんだ。彼女は「Ghost in the Machine(機会の中の幽霊)」と銘打ち、カセットテープや8ミリフィルムで作った作品を発表している。
どの作品も見てすぐその人だとわかるほどリアルだ。彼女の作品にはいかなる画材も使われていない。カセットから伸びている部分はもちろんのこと、一見筆で描かれたように見える部分もよく見ると磁気テープである。
カセットテープというレトロ感とリアルなタッチがマッチし、単なる肖像画ではなく、非常にアーティスティックな仕上がりとなっている。また、カセット本体から伸びたテープが集まり絡み合って人になっていくというシュールさもたまらない。
エリカさんは「カセットは人の心と同じ。中に刻まれた記録は人間の記憶のようなもの」と考えているそうだ。
テープ部分は一度引っ張り出し、刻んだりするともう聴くことはできない。だが、すでに触れられなくなった「心」にこのような形で再度光を当てるからこそ、無機質であるはずのテープが蘇り、彼女の作品は生き生きとして見えるのではないだろうか。
参照元:iri5.com(英語)
▼ジョン・レノン
▼マイケル・ジャクソン
▼マドンナ
▼ボブ・ディラン
▼ロバート・スミス
▼パティ・スミス
▼レニー・クラヴィッツ
▼ローリン・ヒル
▼ボン・ジョヴィ
▼カート・コバーン