
近頃は何でもかんでもAI頼みで、ネット上にはAIが描いたイラストがあふれ返っている。飲食店でも積極的に活用するところが増えて、メニューが全部AI描画なんてのも珍しくなくなった。そういう私も、ほぼ毎日活用しておりイラストだけでなく、音楽や動画まで作っているくらい依存してるのはたしかだ。
でも、ちょっと疲れてきたかな? 逆に素朴なものに安心感というか、心地よさを感じたりしている。
そこで! 長らく使っていなかったトイカメラを活用することにした。これで人を写さずに見慣れた場所を撮影したら、異世界感っぽくなるのでは? と考えて実験してみた。
・『Backrooms』とは?
本稿の表題に「『Backrooms』みたいな異世界感」と挙げている。まずはここから説明する必要があるだろう。実は今回の撮影はこの作品にヒントを得て思いついたのだった。
『Backrooms』を一言でいえばネットで大流行している、海外発の「都市伝説(怪談)」である。ネット掲示板「4chan」に投稿された内容をきっかけに、ユーザーがそれにまつわる話をどんどん膨れ上がらせて、今や世界的なブームに。
実は日本で大ヒットし、映画化もされたインディーゲーム『8番出口』もこの世界観から強い影響を作られたのだとか。
その世界観をわかりやすくいえば「世界のバグ(隙間)に落ちたら、誰もいない不気味な空間に迷い込んじゃった」というものだ。その落ちた先とは、「薄黄色い壁紙が無限に続く誰もいないオフィス」、あるいは「無機質に蛍光灯が「ブーン」と鳴り響くだけの空間」、「綺麗すぎるのに誰もいない地下通路」など、これらが終わることなく延々と続く。
お化けが出てくるようなホラーではなく、見慣れているはずの日常の風景なのに、自分以外、誰ひとりいない清潔で無機質な空間が、どこまでもどこまで続いていく。この見慣れた場所に誰もいない空間のことを、「リミナルスペース」と呼ぶ。
誰にも経験があるはずだ。たとえば地下通路や公共施設で、気づけば誰もいなくて言い知れぬ恐怖を覚えたことが。それが終わりなく続くのが、Backroomsなのである。
・若き天才監督
実はそのBackroomsは、すでに映画化されて海外で大ヒットしている。日本でも今秋公開予定で、早くもファンの間で盛り上がっているのだが、この作品の監督を手掛けるのは若き天才、ケイン・パーソンズ氏である。
彼は映画監督兼VFXアーティストで、彼の名を一躍世にとどろかせたのがBackroomsなのである。その世界観を映像化してYouTubeに公開したところ、またたく間に話題となり、2022年に公開した1本目の動画は8000万回以上も再生され、それに続く作品も軒並み凄まじい数の再生回数をたたき出している。
映画化に当たって、監督に指名されたのは、その実力を買われてのことだ。史上最年少(21歳)で全米興収ランキング1位を獲得したことでも話題を呼んでいる。
・トイカメラで異世界撮影にチャレンジ
さて、軽く説明するつもりが長くなってしまったが、そのケイン氏の1本目の動画が、90年代のビデオ撮影風に仕上がっていたので、それを真似しようと思い、私は以前購入した「Pieni M」を用いることにした。
それで撮影場所に選んだのは、東京ビッグサイト周辺である。大きなイベントがある時であれば人が集まるが、普段はそこまで人がいないんじゃないかな~? と期待してやってきた。
が! 結構人がいる! 当たり前か、深夜や早朝ならまだしも、平日の午前(10時半頃)ならみんな働いてるもんね。いないわけないか。そこで、できるだけ人が隠れる画角で撮影に挑んだ。トイカメラで撮るとなかなか味が出るな。
真正面からビッグサイトを撮ると、90年代の風情に。
人目を避けて、トイカメラで撮影していると、なんだか怪しいことをしている気分になるな。でもただ風景を撮ってるだけだからね。
ビッグサイトを離れて散策していたところ、突然巨大なドラえもんがあらわれた! こういうキャラクターは、映像が粗いほどおどろおどろしさを感じさせるな。ずいぶん前に海外のディズニーランドを白黒で撮影した映画(エスケイプ・フロム・トゥモロー)があったっけな。
お、東京2020の「有明聖火台」。こういうシンボリックなオブジェクトも「在りし日の思い出」感があっていいね。
そうして、私は有明フロンティアビルの2階にある「チムニー東京ビッグサイト前店」でお昼を食べて帰りました。画像からそこはかとなく漂う昭和感がいいですね。
撮影した動画をパソコンで編集し、できあがったのがこの映像です。リミナルスペースな雰囲気は出ているだろうか?
撮影データの保存形式(avi)の変換に手こずったが、それでも少し怖い感じになったんじゃないかな? そんなわけで、もしもトイカメラをお持ちなら、Backroomsみたいな異世界風撮影に挑んでみると楽しいぞ!
参考リンク:Backrooms(映画)、YouTube Kane Pixels、YouTube Backrooms Japan
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24