
「手に入れたのは、知と力。」
そんなキャッチフレーズで時代を超えて世界中のドライバーを魅了してきた、フォルクスワーゲンの「Golf GTI 」。
その魅力を体感すべく、私(夏野)はフォルクスワーゲンの特別イベントにやって来た。
普通なら、展示車や試乗にテンションが上がるところなのだろう。しかし正直に言うと、私が一番ワクワクしたのは車ではなかった。
・裏側に興味津々
先日、フォルクスワーゲン ジャパンが、GTI誕生50周年を記念した特別イベント「GTI FAN FEST 2026」を愛知県豊橋市の本社で開催した。
ありがたいことに私も招待いただき、現地を訪れた。
歴代GTIの特別展示をはじめ、ブランドディレクターのマーティン・ザーゲ氏によるセレモニー、レーシングドライバーの木下隆之氏によるデモンストレーションラン、試乗プログラムなどが用意され、多くのファンでにぎわう会場。
ちなみに私は車にそこまで詳しくない。そんな私が今回いちばん楽しみにしていたのは、フォルクスワーゲンの “裏側見学” である。
具体的には、輸入車が日本へ上陸する専用ふ頭、納車前点検や品質管理を担うテクニカルサービスセンター、そして膨大な部品を保管するパーツデポ。
普段はなかなか見ることのできない舞台裏を見学できるというので、かなりワクワクしていたのである。
・はじめて見た圧巻の光景
まず驚いたのが専用ふ頭だ。
本社からふ頭へ向かう途中にはプライベートブリッジなるものまであるらしい。プライベートビーチなら聞いたことがあるが、プライベートブリッジは初耳だ。
この日は特別にその橋を渡って、ふ頭へと向かったわけだが、なんだか秘密基地へ向かっているようで妙にテンションが上がった。
ふ頭に到着。
海外の生産工場から運ばれてきたフォルクスワーゲン車が、日本で最初に降り立つ場所である。ずらりと並ぶ輸入車。その多くは白い不織布製のフルボディカバーに覆われており、まるで巨大なミイラのようにも見える。
これらの車両は、納車前点検(PDI)を受ける順番を静かに待っている状態だという。フォルクスワーゲンの船は月に4〜5隻ほど入港しており、この日も担当者から「来週は約1800台が到着するので、そのためにスペースを空けているところです」と説明を受けた。
長い航海を経てやって来たと思うと、「お疲れさまです」と声をかけたくなるような光景だ。
・高級車より気になったもの
続いて案内されたのは、出荷前点検や整備を行うテクニカルサービスセンターだ。
ここでは日本の法規に適合しているかの確認をはじめ、各種機能検査やクリーニングなどが行われるという。
周囲を見渡すと、アウディやランボルギーニなどの高級車や最新車種がずらり。車に詳しくない私でも、細心の注意が必要な空間であることは分かる。撮影中に転んで傷をつけたらどうしようと妙にソワソワした。
車両がレーンの上をゆっくりと流れながら点検を受けていくのだが、この日は稼働しておらず、少し残念だったものの、もし動いていたらこんな感じかな……と脳内でイメージ再生して楽しんだ。
全ブランド合わせて1日約400台、年間約10万台もの車両を検査・出荷できるキャパシティを誇るらしい。
・圧巻の棚
続いて案内されたのは、全国のディーラーへ送る純正部品を管理する巨大倉庫「パーツデポ」だ。
定期交換部品から修理用パーツまで、ありとあらゆる部品が保管されているという。
中に入ってまず驚いたのは棚の高さである。見上げると、その高さは約8メートル。これまでさまざまな工場や物流倉庫を見てきたが、自動倉庫ではない倉庫としてはかなり高い部類ではないだろうか。
実際、日本では5メートル程度の倉庫が一般的だそうだが、ここはドイツ仕様に近い設計になっているという。一方、青色のエリアは自動倉庫になっているそうで……あぁ、稼働しているところ見たかったな~。
さらに面白かったのが部品のピッキング作業だ。棚の一部が光り、作業員はその場所から部品を取り出してボタンを押す。
この仕組み、以前見学した物流施設でも見た気がする。こういう設備を見るとテンションが上がるなぁと改めて、自分の好みを実感した瞬間だった。
・今日の主役GTI
最後には、専用コースでのGTIの試乗体験もさせていただいた。
本来なら自分で運転する場面なのだが、私は遠慮した…。自分が渋滞の原因になる未来の方が鮮明に見えたからである。
そこで近くにいたベテランそうなおじさまにお願いし、助手席へ乗せてもらうことに。
扉が閉まる……その瞬間、私は昼に食べたニンニク多めの台湾ラーメンを思い出した。密室である。私は走行性能よりも先に、自分の呼気の行方が気になった。
まぁいいや……。実際、車は驚くほど静かで、加速も停止もなめらか。
正直、めちゃくちゃ楽しい。
コーンの間をスイスイと駆け抜けていく、その運転技術にも感心させられた。「車は詳しくない」と言い続けてきた私だが、なるほど、車好きが熱狂する理由も少し分かった気がする。
・手に入れたのは……
とはいえ、今回の取材で最も印象に残ったのは、やはりフォルクスワーゲンの裏側だった。
イベントには車好きの記者も多く、目を輝かせながら、たくさんの質問をしていた。その横で私は、8メートルの棚を見上げたり、部品のピッキング作業を眺めたりしていたわけだが、同じ景色を見ていても、人によって刺さるポイントはずいぶん違うらしい。
それでも、物流や整備の現場を見て、そのうえで実際に走りを体験したからこそ、多くのファンがGTIに熱狂する理由を少しだけ理解できた気がする。
「手に入れたのは、知と力。」
Golf GTIのキャッチフレーズを借りるとしたら、今回私が手に入れたのは、きっと “改めての工場見学魂” と “GTIへの好奇心の芽” だろう。
参考リンク:フォルクスワーゲン ゴルフ GTI
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.
▼ブランドディレクターのマーティン・ザーゲ氏とGTI 50 Editionのプロトタイプ。カラーなど詳細はまだ未定とのこと
夏野ふとん



























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