ロケットニュース24

新世代のライブショッピングをTikTokで初体験した感想「謎文化」「新手の推し活」「一周回ってテレビショッピング」

48分前

中国で急成長している「ライブショッピング(ライブコマース)」。SNSのライブ配信機能を使って商品を紹介し、その場で購入できるという新しい形のオンラインショッピングだ。

先日、ひょんなことからTikTokアプリ上でこのライブショッピングを体験したのだが、コレがもう驚きの連続。新手の推し活というか、バーゲンセールを超えた争奪戦というか。

ってなワケで、筆者が目撃したライブショッピングの一部始終をお伝えしたい。

・スクイーズを求めてTikTokへ

筆者がライブショッピングを初めて利用した目的は、ずばりスクイーズを手に入れるため。

先日 人気スクイーズ『メロジョイ』と他社製品を比較する記事を書いたところ、「中国のブランド系スクイーズ同士で比べたほうがいい」というアドバイスをもらったのだ。

調べてみると、オンライン上ではメロジョイのような “スクイーズ専門ブランド” が増えており、その多くがTikTokのライブショッピングを利用する中国系メーカーらしい。

ショートムービー文化に縁がなかった筆者はTikTokをダウンロードすらしていなかったのだが、いつの間にかショップ機能まで追加されていたとは。さっそく覗いてみることにした。


・「メロジョイ」配信は毎日が争奪戦

まず訪れたのは、断トツで人気ナンバーワンであるメロジョイの配信。毎日夜の8時から開始されているのだが、早くもなかなかの異文化を感じた。

配信画面を開いた瞬間 飛び込んできたのは、

「みなさーん!! こんばんはぁーーーーっ!!!!!!」

という元気な声と、女性の両手がヒラヒラとこちらに振られる様子。

背景に、メロジョイの商品がずらりと並ぶかわいいスタジオ。イントネーションから中国人の配信者だとわかった。


視聴者数は3万人を超え、コメントも滝のように流れていく。

「〇〇ちゃん!」
「今日も来たよ!」
「何時から販売ですか?」
「もう売り切れですか?」

常連も初見も入り混じり、まるで巨大なファンコミュニティみたいだ。


そして、開始から5分ほどが経った頃に配信者がこう宣言をした。

「みなさん、今から在庫解放しますよぉ~っ! がんばって!!


慌てて商品ページを開くと、売り切れ表示だったボタンが次々とピンク色の「購入」ボタンへと変わっていく。

そのうちのひとつ、パンケーキ型のスクイーズの購入ボタンをタップするまでは約1秒。


「これは買えたのでは?」と思ったのも束の間、次のページには無情にも「この商品は完売しました」という文字が表示された。

おいおい、嘘だろ。結構早く操作できたと思うぜ?


配信画面へと戻ると、

「今日も買えなかった」
「光ってるとこ(購入ボタン)すら見えなかった」
「一瞬すぎる」

といったコメントが続出。時々「買えました!」という声もあるが、圧倒的に買い逃した人が多い。

わかっていたつもりだが改めて、メロジョイ……恐ろしい子。どんなバーゲンセールよりも激しい戦いがそこにあった。


・「ブラインド開封」という謎文化

配信開始からわずか5分ですべての商品が完売してしまったメロジョイ。「このあと何をするんだろう?」と思っていると、配信者がブラインドボックス(中身がランダムな商品)の山をカメラの前に置き、中から数個を手に取った。

そして注文票を片手にユーザーの名前を読み上げながら、

「せーのっ、ジャジャーン!」

と、商品を開封し始めたのだ。

あっけにとられたが、コメント上では呼ばれたユーザーが「嬉しいです」「欲しかったやつ!」なんて言いながら喜んでいる。


調べたところ、これはブラインドボックスをその場で開封してくれるという “サービス”。しかも「配信で開封」「未開封」の2択で選べるのに、なぜか「配信で開封」のほうが先に売り切れるほどに人気なのだ。


コメントやSNSの反応から見るに、開封サービスが人気な理由はこんな感じ。

・大勢:すぐに中身が知りたい
・コアなファン:ファンサービス目当て(運が良ければ、手書きのメッセージカードを入れてもらえることもある)
・少数:不良品がないかをチェックしてもらいたい


メロジョイのような輸入商品の場合は 発送から到着までに1週間以上かかる場合もあるため、「待ちきれない」「追加購入の判断をしたい」というニーズが大きいようだ。

全部を見ることはできなかったが、結局その日の配信は23時を過ぎても続いていた。配信ってする側も見る側もハードなんだなぁ……。


・メーカーごとに異なる配信スタイル

先ほどご紹介したのは業界一番手であるメロジョイの配信。それでは他のメーカーはどのような配信をしているのかというと、他にも3パターンほどがあった。

・パターン①触り心地を伝える

番号が振られた商品を、ユーザーのリクエストに応じてカメラ前で揉んで見せるスタイル。

メーカー問わず配信者のほぼ全員が中国人と思われるのだが、みな流ちょうな日本語で

「戻り遅いです」
「分厚くて気持ちいいですよ」
「泥感(泥のように滑らかな柔らかさ)です」

と自社製品をアピールする。


・パターン②オマケ商品の開封

ブラインドボックスの開封と似ているのがこのパターン。一定数購入するとランダムで付くオマケのスクイーズを、ユーザー名を呼びながらその場で開封して見せてくれる。

オマケにも当たり外れがあり、コメント欄は一喜一憂。

とはいえ、公開できる時点でクオリティに自信があるのだろう。実際にはほとんどが「当たり」と言えそうだった。


・パターン③コメントのやり取りで商品を選択

最後は、非常に商品の種類が多い とあるメーカーが行っていた「コメントで商品を選択させる」スタイル。


そのメーカーの商品説明欄にはサイズと価格しか書かれておらず、購入時点ではまだ注文内容が確定していない。

ユーザーは配信内で自分の名前が呼ばれたタイミングで

「イチゴケーキをお願いします」
「Lサイズのメロンパンはまだ在庫ありますか?」

といったコメントを送り、商品を指定する必要があるのだ。

ただし自分の順番が来るまで2時間以上待つこともあるらしく、それまでずっと配信を見て待つ必要があるのだそう。かなり根気が必要な販売スタイルである。


・一周回ってテレビショッピングっぽい

ここまででご紹介した販売スタイルは混在して使われ、揉み心地を伝えながらオマケを開封したり、新商品を見せながら商品選択をさせたりと各メーカーが工夫を凝らしている。

コメントを見ていると、ユーザーは商品だけでなく配信そのものを楽しんでいる様子。

「〇〇ちゃんの配信の時は争奪戦に勝てる」
「サイン書いてほしい」

といった声もあり「商品購入=推しへの投げ銭」という構図も成立しているように見えた。

無数の商品が溢れ、一体どれが優れているのか判断がつきにくい現代社会。

ライブショッピングが提供する「推しが紹介する商品を買う」という行為は、「カリスマセラーがオススメする商品を買う」という旧来のテレビショッピング的なスタイルに、一周まわって回帰した結果なのかもしれない。

執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.
生成画像:Gemini

▼せっかくなので、筆者もライブショッピングを利用してみることにした。今回購入したのは『taonini』というスクイーズブランド

▼taoniniでは、3個買ったらひとつオマケがもらえるということ。購入から20分ほど経ったところで名前を呼ばれ、オマケの入ったボックスがカメラの前に差し出された

▼「せぇ~のっ!」という掛け声とともにボックスをオープン。ケーキ型スクイーズが入っていた

▼後日、実際に届いた商品がコチラ

▼オマケも商品と同じぐらいクオリティが高いように見える。配信で呼ばれるのを待つ時間は気が抜けず、かといってずっと見ているのも退屈だったのだが、他の視聴者から「可愛い」「当たりだね」と言ってもらえたのは気分が良かった

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