
インバウンドの影響もあり、東京都内のホテル代は今も高値が続いている。終電を逃した時、できるだけ安く宿泊したい時、ふと頭をよぎるのがスーパー銭湯に泊まるという選択肢だ。
しかし、勝手が分からず二の足を踏んでいる人も多いだろう。そこで今回、編集部一のスパ銭マニア・砂子間記者に同行してもらい、新宿の「テルマー湯」に初めて1泊してきた。
入館から翌朝の精算まで、初心者のためのリアルな宿泊ルポをお届けしたい。
・初めてのスパ銭1泊
スーパー銭湯には何度か行ったことがあるが、朝まで過ごした経験は一度もない私(あひるねこ)。めちゃくちゃ不安なので、本日は強力な助っ人を呼んでおいた。
時刻は22時半。新宿ゴールデン街を進んでいくと、巨大な建物が姿を現す。年中無休&24時間営業の「テルマー湯 新宿店」だ。そして、その下で私を待っていたのが……。
スパ銭マニア・砂子間である。
都内の「泊まれるスーパー銭湯」はあらかた行き尽くしたという砂子間。当然こちらの「テルマー湯」にも泊まったことがあるそうだ。これは心強い!
ではさっそく入館。
ロッカーに靴を入れたら、まずはフロントへ。料金説明の後にタオルと館内着を受け取るのだが、砂子間の記事で軽く予習していた私は、あらかじめ会員登録を済ませておいた。
会員画面を提示すると、一般料金よりも200円安く入館できるのだ。無料なので、砂子間も書いている通り忘れず登録しておこう。ところが……。
いざ自分の番になるも会員画面の出し方が分からず、フロントで慌てふためく砂子間。本当に大丈夫なんだろうか?
・1泊いくら?
平日(月〜木曜)に泊まる場合の「基本入館料」(会員)は、館内着とタオルセット込みで税込2700円だ。深夜0時以降も利用する場合は、さらに「深夜早朝料金」として税込1800円かかる。
よって総額は税込4500円(2026年3月27日時点)。この料金で入館から最長24時間利用できるという。ネカフェよりも安いんじゃないの?
さあ、ここからが本番である。まずは1階のロッカールームに入る。ここで館内着に着替えて荷物を置き、2階のスパエリアに向かうそうだ。
ロッカーは番号が指定されており、リストバンドで鍵を開ける仕組み。
着替え終わったら必要なものだけ館内バッグに入れ、いざスパへ!
ちなみに、砂子間の記事には「ロッカーの奥に大浴場があると勘違いしてしまうのか、全裸でロッカーの奥の方へ行き、不思議な顔をして戻ってくる人が数人いる」と書いてある。
しかし、結論から述べるとそんな人間は誰一人として見なかった。夜も朝もいなかった。話を盛っていないか? まったく油断も隙もない男だ。
気を取り直して2階へ。まずは身も心も清めてから寝床を探すとしよう。脱衣所でフェイスタオルを1枚取ってから浴室に入ると……。
歌舞伎町のド真ん中とは思えないほど広々としている。洗い場のシャワーは、なんとすべてミストやストレートなどに切り替えられるタイプだ。
あと地味に嬉しかったのが、フェイスタオルとは別に使い捨てのボディタオルが置いてあったこと。けっこう珍しくないだろうか?
風呂の数も充実している。特に「高濃度炭酸風呂」がかなり広めで良い。私がよく行っていたスーパー銭湯だと狭くて常にぎゅうぎゅうだったが、ここなら余裕で足を伸ばせる。
ただ、砂子間オススメの「中性電解水風呂」は、あまりにも熱湯すぎて入っていられなかった。初めての人は注意してほしい。
こうして身をばっちり清めた砂子間と私。あとは寝るだけ……なワケがない! 風呂上がりといったらビールでしょうよ。私は今日、ビールを飲みに来ているんだ。ところが……。
地下2階にある「テルマー湯BAR」はすでに閉店している。23時までらしい。嘘だろ。
と思ったら、地下1階にあるレストラン「山水草木」はまだ営業中だった。なんと朝5時までやっているそうだ。さすが歌舞伎町。
・風呂上りの一杯
生ビールの中ジョッキが税込693円となかなかのお値段だが、この金色(こんじき)の液体を抜きに今日という日は終えられないだろう。
会計はリストバンドを読み込んで最後に一括精算するシステムだ。
枝豆も到着したのでさっそく……
乾杯ィィィィィィイイイイ!
くっ……!
染みる……!
– 完 –
至福すぎて危なく終了しかけたが、ここで砂子間から私にプレゼントがあるという。なんでもスーパー銭湯に泊まる時の必須アイテムだとか。
それがこちらの耳栓とアイマスクだ。
砂子間曰く、この二つの有無によって睡眠の質はまるで異なるものになるらしい。さすが百戦錬磨の猛者! どうもありがとうございます!
・どこで寝る?
ビールを2杯ずつ片づけたら、いよいよ本日の寝床探しへ。4階のラウンジスペースへ向かった。ちなみに深夜0時以降、3階は女性専用になっている。参考までに。
以前の記事でも紹介されていたように、ラウンジには3タイプの寝られるイスが置いてある。
波型のベッドみたいなイス。
リクライニングチェア。
ソファタイプ。
それぞれ試してみて、自分に合うかどうかを確認する。至るところからいびきが聞こえてくるので、周囲の環境も重要だ。場所によって明るさも若干変わってくる。
1階のロッカールーム奥にある「いびキングルーム」というスペースにも行ってみた。
名前からしてうるさそうなスペースだが、入ってみるとまさかの無人。これは穴場か? と思いきや、ちょっと寒いのが気になる。なかなか難しいな。
地下2階に行ってみると、どうやらここが一番広いラウンジらしい。4階にもあったリクライニングチェアがずらっと大量に並んでいる。
ソファエリアも暗くてよさそうだ。いいじゃんここ!
先にこっちから試した方がよかったのでは? すると次の瞬間、マニアの口から驚くべき言葉が飛び出す。なんと砂子間、このエリアの存在を知らなかったというのだ。ええ!? どういうこと?
なんでも前回来た時は、リラクゼーションエリアだと思って完全スルーしたらしい。「まさかこんなに寝る場所があったとは……」しばし茫然とする砂子間。
先ほど「百戦錬磨の猛者」と書いたが、撤回しよう。百戦錬磨のポンコツである。
しかし、だからといってこのエリアが答えというわけではない。いろいろ試した結果、最終的に砂子間が選んだのは4階のソファだった。
一方、私はというと、ちょっと気になっていた地下2階の漫画棚をチェック。
その隣のソファエリアを今夜の寝床に決めた。リクライニングではなく、やはり平らな場所で横になれないと嫌なのだ。
・雑魚寝のリアル
実際に寝てみた感想としては、アイマスクがあって本当によかった。これがあるだけでリラックス度がまるで違う。
ただ、耳栓は周囲の音が聞こえなくなるのが逆に不安で、途中で外してしまった。いわゆる “雑魚寝” に私があまり慣れていないからかもしれない。
さすが歌舞伎町だけあって平日でもそれなりに混雑しており、アイマスクをしていても人の気配を感じる。
その後は睡眠6割・覚醒4割みたいなゆらゆらした状態がしばらく続くことに。誰かのアラームでゆっくり目が覚めた時、時刻は朝5時だった。
おそらく完全に熟睡したのは、そこからの90分程度だったと思う。アイマスクのおかげか徹夜したような疲労感はない。が、やはりスーパー銭湯で眠るには経験値が不足していた感が否めなかった。
・翌朝
7時ごろ、4階の砂子間の様子を見に行くと、まだ寝ているようだ。
私はその足で2階に移動し、朝風呂を浴びて目を覚ました。朝サウナからの、少し肌寒い屋外での外気浴は、ここが歌舞伎町であることを忘れるほどの清々しさ。
その後は、ロッカールームにあるコワーキングスペースで仕事をした。コンセント・無料Wi-Fi完備だが、4席しかないので運が悪いと座れないかもしれない。
しばらくすると、砂子間から「自分も風呂から出た」という連絡が。ロッカーの外で夜以来の再会を果たした。
あまり寝られなかったが、すごく楽しかったことを伝えると、砂子間はほっとしたような満足そうな、よく分からない表情を浮かべていた。
私は別の取材に行くため、ここで砂子間とはお別れ。先にフロントで精算をお願いした。
会計は利用料金が4500円、ビール3杯と枝豆セット(ビール+枝豆)が3124円で、合計は税込7624円。
砂子間のビール代も含まれているため、実際は1人あたり約6000円といったところか。現在の新宿ビジネスホテル相場が1万5000円程度であることを考えると、かなり経済的だと思う。
いろんなエリアを見て回った感じ、いびきから逃れることはほぼ不可能だろう。程度の差こそあれ、夜中はどこかしこから聞こえてくる。雑魚寝における最大のリスクと言えそうだ。
ただ、この点に関しては経験によって感じ方も変わってきそうな気がする。事実、砂子間はどこでもかなり寝られるらしい。どれだけ場数を踏むかも重要なのだろう。
そういう意味では、ここ「テルマー湯 新宿店」はやや上級者向けなのかもしれない。初心者は人が少ないエリアで徐々に慣らしていった方がよさそうである。
今回は軽い気持ちで泊まってみたが、スパ銭泊……思っていた以上に奥が深い。家族がいるとなかなか難しいが、機会があればまた挑戦してみたいものだ。
・今回ご紹介した施設の詳細データ
店名 新宿天然温泉 テルマー湯
住所 東京都新宿区歌舞伎町1丁目1-2
時間 24時間営業
休日 設備点検・整備作業などで休館する場合あり
参考リンク:新宿天然温泉 テルマー湯
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.