少子化の現代の妊娠や育児とは切っても切り離せないのが、インターネットによる情報収集とSNSでの交流。私も妊娠してからは、高齢出産にあたることもあってネットで情報を集める日々です。

社会から孤立しがちな立場の中、自分と同じ立場の人たちと苦労を分かり合えたり、役立つ育児ハック情報を交換できたり……。ちょうど10年前に話題になった「保育園落ちた日本死ね!!!」のように、発信によって社会が変わることもあるわけです。

ネットの恩恵は計り知れないけれど、同じくらい功罪も大きく、ちょっと怖いな……と思ったことも。

いつの世も、人が不安な気持ちを抱えるところに詐欺や怪しい宗教が発生するわけですが、マタニティ関連もまさに付け入る隙がありまくるんですよね。

・わからないことだらけの出産と育児、怖すぎる

自分が20代だろうと、30代だろうと、40代だろうと、初めての妊娠出産は知らないことだらけでスタートします。保健体育の知識なんか、マジでちょっとしか役に立たない。

しかも、産婦人科は混んでいて忙しいので、イチから手取り足取り丁寧に説明してくれるわけではなく「ある程度は自分で調べる」ことを前提に進んでいきます。

そこで妊娠出産の本を買ったりしてある程度は自分で調べるけど、初期は流産率も高いのでちょっとした体の変化も不安な日々で、結局は藁にもすがる思いで「ネットで検索」に頼ることに。

「つわり 食べられるもの」「つわり いつ終わる」なんか、みんな100回くらい検索してる気がします。

しかしネットのアルゴリズム(その人が興味のありそうな内容が自動的に表示される仕組み)によって、思いもよらない方向に進んでしまうこともあるんですね……。


・きっかけは育児グッズ情報収集だった

私の場合、それは育児グッズの情報収集で起こりました。

ベビーカーにせよ、抱っこ紐にせよ、なんにしても高い!

しかも産後のQOLと赤子の健康に直結する、失敗したくない買い物なのでめちゃくちゃ検索しまくりました。

抱っこ紐とかベビーカー、かわいい乳児の服の情報を探すためにインスタを見ていたら、あっという間にアルゴリズムで出産や育児関連の人気投稿がフィードにばんばん上がってくるように。

私は育児グッズの情報が知りたいだけなのに


「赤ちゃんに遺伝する親の特徴」
「これって発達障害? 生まれる前に見分けるポイント」
「頭のいい子に育つ〇〇のポイント」


みたいな真偽不明の情報がダーーーーーーーっと流れてくるように。

一瞬でも目を止めて読んでしまうと、関連投稿がずらずら並ぶようになり、不安を煽られること煽られること……。

「子供の運動能力は母親から遺伝する」という情報(真偽不明)を見て、運動神経が超絶悪い私は、我が子がかけっこでビリになっていじめられるシーンを想像して青ざめ、幼児向けの運動教室を検索したりしていました。妊娠中のメンタルは不安定ですからね。

我が身に置き換えて考えてみると、私の母親がスポーツ得意だったにも関わらず私は運動神経が悪いので、その遺伝の話はあてはまってないんですよね……。

結果、怖くなった私は育児グッズの収集をインスタで見るのはほぼやめました。

・お、有益な育児ハック!と思っていても……

さて、私が常駐するX(Twitter)でも、育児情報がけっこう流れてきます。インスタとちょっと傾向が違って、こっちはネタと実利寄りが多い印象。

育児のアホネタやほっこりエピソードを見て笑ったりしつつ、「給付金や書類の申請忘れないでね!」とかのありがたい情報を見ていたのですが……。

ある日、「赤ちゃんがよく眠るおくるみの巻き方」の情報がバズっていたので保存しました。

「産後は赤ちゃんが寝ないことが体力を削ってきて大変」みたいな情報を見ていたので、有益な情報だなと思ったんです。


ところが、あとから小児科医とか助産師さんのアカウントが「このおくるみの巻き方は赤ちゃん窒息の危険があって危ない! 絶対やらないで!」と注意喚起しているではありませんか!

厄介なのは、情報を見た人も悪意はなくて、有益な情報だと思って「いいね」したり「拡散」しているという点。でも、その結果として赤ちゃんが怪我したり、命を落とすなんてことになったら、取り返しがつかないわけで……。

善意の先にある情報発信でも怖すぎて、ネットで育児情報はほとんど調べなくなりました。見るとしたら、ちゃんとした監修者がついたサイトとかですね。

・以前は悪意に満ちた書き込みに怯えていたが…

ちなみに、妊娠前にネットで見ておびえていたのは妊婦への風当たりの強いエピソードの方でした。

「妊婦は自分の好きで子を産むんだから、優先席なんか譲ってたまるか!」みたいな話とか、わざとぶつかってくる人に遭遇した話とか……。

でも、自分が実際に妊婦になってみると、そんな悪意に遭遇することは(今のところ)ほぼなくて、どちらかというと親切にしてくれる人に感謝する場面が多く、あの怯えはなんだったんだ……と思ったりします。

もちろん、嫌な思いをしている人は実際にいます。ただ、エピソードの衝撃度が高くて拡散されやすいってこともあるのかなあと思います。

あと「妊婦は迷惑」と思ってネットに書き込んでいても、それを現実で実行するほど非常識でヤバい人は少ないのだろうな……と。実際に何もしないなら、現実社会ではその人たちの悪意は見えず、いないのと一緒です。(一応、アタマで何を考えても自由ですからね)

そんなわけで、わかりやすい悪意よりも不安な心をゆさぶってくる真偽不明の育児情報や、善意と思いきや実はヤバい育児ハックとかの方が怖いなあと思う日々です。


執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.いらすとや