俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」が、記念すべき2026年一発目の期間限定メニューを発売した。ぜひ驚いてほしい。その名も『出汁醤油ロースカツ on the 親子丼』である。

一体何なんだ「on the」って。中一の英語の教科書かよ。こんな商品名は生まれて初めて目にした気がするが、それでこそ俺たちの「かつや」だ。さっそく注文してみよう。

・今年最初の新商品

2026年1月16日より販売が始まった『出汁醤油カツ on the 親子丼』。丼と定食の2種類があるのはいつも通りだが、本作はさらにロースカツが80gの「梅」と120gの「竹」にルートが分岐する。

料金は、丼の「梅」が税込979円、「竹」が税込1089円だ。もちろんここは「竹」をチョイス! せっかくの新年一発目なので景気よくいきたい。


ところが数分後、異変が起きた。トレーを持った女性店員さんがやって来て「お待たせしました! 親子丼です……」と言いかけたところで、明らかにフリーズしたのだ。


不審に思って顔を上げると、店員さんは「親子丼……?」と小声で呟きながら、トレーごと厨房へ戻ってしまった。これはあくまで私(あひるねこ)の推測だが、おそらくこういうことだろう。


伝票に「親子丼」と書いてあったのに、いざ提供するタイミングになって、それが「どうやら親子丼ではない」と気づいた店員さんは、調理ミスだと思って厨房に引っ込んだのだ。なるほど、冷静な判断である。


しかし結論から言うと、それは紛れもなく『出汁醤油カツ on the 親子丼』だった。ミスではなかったのである。が、店員さんが疑うのも無理ない。なぜならその親子丼のルックスが……


これだからだ。

・親子とは?

もしかしたら「竹」を頼んだ私も悪かったのかもしれない。まず目に入るのは、丼のほぼ8割を占める120gのロースカツだ。たしかにこの見た目で「親子丼」と書いてあったら、誰でも混乱する。


が、実はよく見ると、その下に広がっているのだ。親子丼という大地が。そう、つまり親子丼の上にロースカツがのった状態である。「かつや」よ、初歩的な問いだがあえて聞かせてくれ。なぜのせた?


仲睦まじく暮らす親子に忍び寄る、ロースカツの魔の手……。豚と鶏の卵だから「他人丼」か? と一瞬思うも、よく考えたらただの不審者である。お巡りさんコイツです。


そんなロースカツでも、さすがにソースを身にまとうような真似はせず、味付けは特製の甘口出汁醤油。これがかなりうまい。「かつや」のタレカツが好きな人にはきっとハマる味だと思う。


親子丼も親子丼で、鶏肉がごろごろ入った非常に肉っ気の強い仕上がりになっている。作り手にもよるのかもしれないが、見た目以上に玉子がふわふわで嬉しい。


割り下は、かつおの風味が溶け込んだスタンダードな味わいで、ロースカツともよくマッチする。そこで試しに、ロースカツの上に玉子をのせて食べてみたところ、意外なことに気づいた。


カツ丼だこれ。


・明らかになる真実

そう、「かつや」の見せ方が特殊だっただけで、よく考えたらカツ丼の組み合わせそのものなのである。つまり、ロースカツは不審者でも何でもなかったということ。

通報しかけて申し訳なかった。彼らは他人同士などではなく、血縁以上に強い絆で結ばれた親子だったのだ。



『出汁醤油ロースカツ on the 親子丼』の正体、それは玉子を媒介に、ある瞬間は親子丼、またある瞬間はカツ丼(正確には「とじないカツ丼」)の顔を見せる異形の2色丼であった。


鶏肉と玉子の親子丼に対し、ロースカツは赤の他人と決め込んでいた過去の自分を今は恥じている。家族の有り様は無数にあり、その形は外から眺めているだけでは決して分からないのだ。

そう、お前は『出汁醤油カツ on the 親子丼』じゃない……。


『出汁醤油カツ in the 親子丼』なんだ……!!


・感動した

新年早々「かつや」は相変わらずだな。と最初は笑っていたが、どうやらとんでもない感動大作だったようである。ご注文の際は、どうぞ厚手のハンカチをご用意ください。ではまた来月。

参考リンク:かつや
執筆:エクストリームかつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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▼ChatGPTに本作の読み方を聞いたところ、意外な答えが返ってきた。

▼『出汁醤油カツ・オン・ジ・親子丼』ではなく『出汁醤油カツ・オン・ザ・親子丼』が正解らしい。

▼定食の価格は「梅」が税込1089円、「竹」が税込1199円だ。

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