
瀬戸内海に面する広島県の呉市(くれし)。古くは村上水軍が根城にしていたとされ、明治時代以降は帝国海軍の軍港として栄えた街として知られている。現在も海上自衛隊呉資料館、通称『てつのくじら館』がある。
さて、この秋に生まれて初めて呉市に足を運んだときのこと。せっかくならばご当地っぽいものが食べたい……と選んだのが、呉市名物の『呉冷麺』である。ただ友人いわく「ほぼ冷やし中華」らしいのだが……。
・名物グルメ
広島最強の名物グルメといえば、ご存じ「お好み焼き」である。薄い生地に大量のキャベツが入ったお好み焼きは、どこで食べても安定のウマさ。ただ広島の人に「広島焼き」というと結構怒られるから注意しような。
それはさておき、その他にも広島には「牡蠣」「穴子めし」「もみじ饅頭」などの名物グルメがあるが、広島市から電車で30分ほどのところに位置する呉市には『呉冷麺』なるご当地グルメがあるという。
・冷やし中華に似てる?
広島市在住の友人によれば「呉冷麺自体は有名よね。まあほぼ冷やし中華だけど」とのこと。なるほど「冷麺」と聞くと韓国系の冷麺を連想しがちだが、呉冷麺は冷やし中華に近い麺料理らしい。
では呉冷麺と冷やし中華は何が違うのか? かつて呉市で呉冷麺を食べた記者に冷やし中華との違いを聞いたところ「呉市で食べることに意義があるのかな……」と意味不明な回答をしていた。
ムム。なんとも掴みどころがないが、ならば実際に確認してみようではないか。というわけで呉市で『呉冷麺』を食べる際、細心の注意を払って冷やし中華との違いを探すことにした。
・発祥の店へ
で、訪れたのは呉市の「珍来軒」で、なんと呉冷麺発祥のお店であるという。人生初の呉冷麺を元祖のお店で食べられるとは、これ以上に恵まれたシチュエーションはないハズだ。
注文したのは「呉冷麺 大」で、価格はジャスト1000円。中サイズは無く「呉冷麺 小」が900円で用意されていた。その他「ワンタン麺」や「中華そば」もあるようだ。
注文からほどなくして現れた『呉冷麺』は……ふむ。パッと見は冷やし中華のように見えるが、麺は平打ち麺が使用されていた。まずは平打ち麺であることが、呉冷麺の特徴であり絶対条件と言えそうだ。
さっそく食べてみると……うむ、ウマい。タレ(スープ?)はマイルドな酸味とピリッとした辛さが特徴で平打ち麺とよく絡んでいる。麺の食感も良く無限に食べ続けられそうな味わいだ。
また店内にあった但し書きによると、途中で「酢」か「黒酢」で味変できるのも『呉冷麺』の特徴だそう。まあ、冷やし中華も途中で酢を入れるケースがあるので何とも言えないが、公式的にはそういうことらしい。
とはいえ私個人の感想としては『呉冷麺』は冷やし中華の派生形であり、両者はイトコほどは離れていない「兄弟」くらいの感覚。同一人物ではないものの「同じDNAが色濃く流れている」と感じた次第だ。
つまり『呉冷麺』と「冷やし中華」の違いは以下の通りとしておく。特に最後の項目は重要だ。
・ 平打ち麺を使用している
・ 酢や黒酢を使った味変が推奨されている
・ 呉市で食べると俄然おいしく感じる
そう、本場・広島県呉市で食べる呉冷麺は……
めちゃめちゃウマい。
──完──
・今回訪問した店舗の情報
店名 珍来軒
住所 広島県呉市本通4-10-1
時間 11:30〜15:00
定休日 火
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.