生タラコの旬は11月から1月。スーパーの鮮魚コーナーに生タラコが並んでいたので手に取ると……100グラムあたり199円と破格だった。私がよく買うおにぎり用のタラコが80グラム398円なので、約2.5倍もの価格差があることになる。

ちなみに我々が普段おにぎりの具として食べているタラコは “タラコを塩漬けにしたもの” で、生タラコとは別モノ。皆さんご存知のことと思うけど、念のため書きました。さて……

この生タラコで『たらこスパゲッティ』を作ったらどうなるのだろう?

・ちょっとだけホラー

もし半額以下でタラスパ(たらこスパゲッティの略)が作れたならば、家計の強い味方となるに違いない。あと塩分もかなり抑えられると思う。ってことで生タラスパ作り、手探りでやってこう。

生タラコ近影。「真っ黒いヤツ」「ちょっと黒いヤツ」「なんなら白っぽいヤツ」など、個体によって色合いが異なるようだ。これは「ほどよく黒みを帯びたヤツ」。

平均サイズのタラコと比べるとこんな感じ。なお一般的な塩漬けタラコが「スケソウダラの卵」で作られていて、今回私が購入した「真ダラの卵」と種類が違うことは、重々承知しております。現在スケソウダラの生タラコも流通しているが、真ダラと比べるとやや割高なケースが多いようだ。

本記事は「お安い真ダラでおいしいタラスパが作れたら最高だよね」というポップな発想のもと、軽い気持ちで執筆したもの。よって「種類が違いますよ」といったクレームはお控えいただけると幸いである。

人生初の生タラコ(真ダラ)調理。切り込みを入れると……ワオ! パックリしてる!!! “とめどなく溢れ出す魚卵” というイメージを勝手に抱いていたが、魚卵同士の密着度はかなり高め。

包丁を使って皮からタラコをひっぺがす。特に匂いがキツイとかは無い。ただ得体の知れなさがあるので、解剖苦手民は注意。



・基本の焼タラスパ

肉眼ではよく分からなかったのだが、カメラで拡大すると、それは確かに小さな卵の集合体だった。

何千個、あるいは何万個なのか見当もつかない。生タラコにはアニサキスが付着している恐れがあるので、しっかり加熱が必須だ。

そんなワケなので今回は『焼タラスパ』の一択。バターを熱し、生タラコを炒める。

鶏ミンチ肉にしか見えない。うまくパラパラになってくれるだろうか?

火が通ったらパスタを投入。塩コショウをふれば、基本の焼タラスパの完成だ。味が薄い予感しかないが、果たして……?


うん、薄い!


けど、食べ進めるうちに「これはこれでウマい」という舌になってくる。一般的なタラスパの味をイメージしているため「違う」という感想が第一にくるのだが、たとえばペペロンチーノ的なものだと捉えると、これはこれで全然アリ。

真ダラの卵は意外にもツブがかなり小さく、そのザラザラした食感がバターの風味と相まって、なんとも上品な味わいに仕上がっている。『タラスパではない何か』として売り出せば、そこそこ市民権を得られるのではなかろうか? 



・生タラスパアレンジ3選

とはいえ「タラスパ」として見ると、若干味が薄いことは否めない。『基本の生タラスパ』をもとに、いくつかアレンジを加えてみよう。

まず最も王道な『醤油タラスパ』。基本の生タラスパに醤油を少々。

うまい!!! 我々の知る「一般的なタラスパ」ではないが、タラスパと和風パスタのハイブリッドって感じだ。タラコの主張が強すぎないことで、逆にタラスパの伸びしろを感じる一皿。


お次は基本の生タラスパにケチャップをかけて……

『生タラコナポリタン』。うまい。とにかくケチャップがうまい。タラコを混ぜる必要があるのかといえば、ないのかもしれない。ケチャップの偉大さを痛感する一皿。


そして最後は禁じ手。基本の生タラスパに市販の塩漬けタラコを混ぜて……

禁断の『ダブルタラコスパゲッティ』。優勝。こんなもんウマいに決まっている。今気づいたけど、安価な真ダラの生タラコと塩漬けタラコをミックスさせることで『節約タラスパ』を作り出すことが可能だ。塩分の摂取を抑えたい人にもオススメ!

余った生たらこは、オーソドックスな煮付けに。

うん、ウマい。この煮付けをほぐしてパスタに和えるとかもアリかもしれない。生タラコスパゲッティの可能性、無限大。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼緊張の瞬間……