
サンドイッチを扱うチェーン店「サブウェイ」に、筆者は行ったことがない。独特の注文方式に腰が引けているのもそうだが、いまいち「いつ行けばいいのかわからない」というのが最大の理由である。
普通の食事としては少し物足りなさそうだし、軽く食事を済ませたい時には大層な感じがする。そんな理屈を「サブウェイ」に対してこね回していた筆者だったが、このたび2025年11月12日に期間限定で発売された新商品によって、こね回していたものが脆くも崩壊した。
その商品の名は「トリュフ香るローストビーフ」。あまりにもわかりやすい「贅に溺れたくば来い」という同店のメッセージに、日頃から贅に飢えている筆者が面白いように感化されたことは言うまでもない。
かくして「サブウェイ」からの呼び声に応える形で、筆者は同店の初体験に乗り出した。
改めて説明しておくと、「トリュフ香るローストビーフ」はもともと人気メニューである「ローストビーフ」に、新登場のトリュフソースを合わせたものだという。価格は税込み850円となかなかに高額である。しかし、それでこそ贅である。
どんな味が体験ができるのかと期待をみなぎらせる一方、注文方式についての不安は拭えていなかったが、幸運にも筆者の訪れた店舗はタッチパネルを導入していた。一部店舗ではセルフオーダー式を採用していると、以前当サイトでも記事に取り上げたことがある。
とはいえ、初来店とあっては画面の前でも緊張する。可及的速やかに注文を終えるべく、「トリュフ香るローストビーフ」の欄を手早くタップした。
次の瞬間、パンの種類やらトッピングやらを選ぶ項目が大挙して押し寄せてきた。筆者は考えることをやめた。パンの項目には既にお勧めの種類が設定されているそうなので手を付けず、他の部分にも一切触れず、「全ては端末様の御心のままに」という姿勢を貫こうとした。
が、そこではたと目に留まったのが、ドレッシングの項目である。「トリュフソース(適量)」の文字列は、その量を増やせることを示唆していた。じっと画面を見つめ、黙考し、一つの問いに至る。「この端末の言う適量は、本当に適量なのか」と。
突如として態度を急変させた筆者が画面に触れると、50円を追加で払うことでソースを「多め」にできるオプションが表示された。我が身にとってはこれが適量だとばかりに、迷いなく「多め」を選んだことは言うまでもない。
贅への渇望のあまり一人の人間が反逆を起こした一件を経て、ほどなく手元に豪勢なサンドイッチがやってきた。
5枚のローストビーフを抱えたパンを横から見ると、たっぷりのトリュフソースが輝きを帯びていた。誘われるがままに、思い切りかぶりつく。
しっとりと柔らかな肉の旨味。ソースに詰まったトリュフのかぐわしさと、醤油ベースのコク。口一杯に広がる上品で豊かな刺激に、舌が喜び、味覚が舞い上がった。ふんだんに仕込まれたチーズのまろやかさもたまらない。紛れもない贅である。
さらに特筆したいのが、言わばサンドイッチの基盤に当たる、パンと野菜の上質具合だ。今回お勧めされたウィートというパンは小麦胚芽入りとのことで、これもまた何とも香ばしい。レタスやトマトなどの野菜はみずみずしく、パンと並んで素材の良さを訴えてくる。
確かな基盤の造りが、贅沢な風味をしっかりと支え、それら全ての要素が調和し、このサンドイッチが出来上がっている。食べていて隙がない。この部分が美味しい、いや、こっちの部分も美味しいと確かめているうちに、気付けば夢中になっている。
付け加えておくと、ソースを増量したことでその調和が崩れるようなことはなかった。食べ終わったあとになって、自分が飲み物を頼み忘れたことに気付いたのだが、つまりそれくらいしつこさを感じなかったわけである。やはり「増量が適量」だったとさえ思える。
そして、1項目ではあるが自分なりにカスタマイズを行い、提供されたサンドイッチに触れた今となっては、「サブウェイ」ならではの魅力、「サブウェイらしさ」というものがわかる気がする。自分好みの美味しいサンドイッチは、理屈を越えた幸福をもたらす。
いつ「サブウェイ」に行けばよいか。それは「サブウェイに行きたくなった時」に他ならない。月並みな答えで恥ずかしい限りだが、遅まきながら筆者はそこにたどり着いたのである。
今度は通常のラインナップに触れるべく訪れてみるのもよいか。あるいは対人での注文に挑んでみるのもよいか。そんな風に心躍らせる筆者の脳裏に、「サブウェイ」からの呼び声が響く。「次はサブウェイそのものに溺れよ」と。
参考リンク:サブウェイ 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.
西本大紀












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