大阪グルメは数あれど、やはり外すことができないのが「たこ焼き」だ。そのたこ焼きについて、関西の人に言わせると「築地銀だこは違う」という話をよく聞く。何がどう違うのか、正直私(佐藤)はわからない。

そんな私は最近大阪を訪ね、たこ焼きの元祖のお店「会津屋」でたこ焼きを食べることになった。違いのわからない私はいわば「たこ焼きオンチ」なわけだが、その私でも、違いがわかるのだろうか……。

・銀だこは違うの?

私は島根県の出身だ。東日本の人から見れば、島根と大阪は割と近いとお考えになるかもしれないけど、実際はかなり遠く、食文化も全然違う。したがって、島根にたこ焼き専門店はあまりなく、少なくとも私が住んでいた20年以上前には、本当に数えるほどしかなかった。たこ焼きといえば祭りの時に露天で食べるもの、それが私のたこ焼きに対する認識である。

そんな私は先日取材で和歌山県を訪ね、その帰りに立ち寄った大阪・なんばで会津屋の前を通りかかったのだった。

「たこやき発祥の店」だって? そういえば、このお店について書いた記事があったっけなあ。2013年2015年に執筆した記事があるが、いずれも10年も前だ。K.Masamiによると、2016年にミシュランの「ビブグルマン」に掲載されたそうだ。



・元祖たこ焼きの店

商業施設「NAMBAなんなん」にあるナンバ店は、今年4月にリニューアルオープンしたそう。店構えは新しく、昼過ぎでもひっきりなしにお客さんが来ていた。時間によっては行列ができる人気店なのかも。

入店してメニューを見ると、看板商品はもちろん「たこ焼き」。8個税込500円からで最大20個(税込1150円)まで注文可能。おかわりは2個(税込120円)からオーダーすることもできる。


たこ焼き専門店なので迷うことなく注文できると思ったのだが、私は迷った。どう頼めば良いかわからなかったのだ。というのもセットメニューがある。たこ焼きにタコ刺しやウフマヨソース(卵とマヨネーズのソース)が付くセットだ。

初心者はこのセットを頼むべきなのか?


いや待てよ、単品でもオーダー可能だが、たこ焼きが4種類もある。さらにたこ焼きのルーツとなった、たこの入らないラジオ焼き(ラヂオ焼き)もあって、それは5種類もある。どれを頼むべきなんだ?


さらにページをめくると「〆(シメ)の明石焼き」だって!? 明石焼きはシメに食うものなのか? たこ焼きを出汁に入れるものだと思ったら、こっちは「玉子焼き」って書いてある。たこ焼きじゃないのか!? たこ焼きと玉子焼きの違いがわからん……。


たこ焼きオンチの初心者には難しい店だな。う~む……、メニューをにらむこと約10分。結論が出た!

食べ比べに最適という「バラエティコース」にしよう。6種類の味が楽しめるというBコース(税込1800円)を注文してみた。


たこ焼きはオーダーごとに焼いているので、提供に少々時間がかかる。その間に、一緒に注文した「大阪ミックスジュース」(税込450円)が出てきた。

ミックスジュースは大阪・新世界の「千成屋珈琲」がその元祖と言われている。今では大阪グルメのひとつに数えられており、これもまた定番のひとつだ。


そして最初に来たのは、「元祖たこ焼き」(8個)。生地に味がついているので、そのまま食べるそうだ。元祖のたこ焼きは私が知っているものと少し違う。私の思い描くたこ焼きはもう少し大きく、小麦粉の塊のようなもの。銀だこに代表される見た目のものだ。


だが、ここのはそれよりもひとまわり小さく、つまようじで刺すと手ごたえが乏しい。食べてみると、表面はカリっとしてて中はフワフワ。まるで中身が入っていないようなエアリーな食感。

これが大阪のたこ焼きか。たしかに銀だことは全然違う。銀だこは見た目も食感も小麦粉の塊だ。それがたこ焼きだと思っていたけど、元祖は塊ではない。中身はフワフワで飲むように食べることができる。

例えるなら、銀だこが「お好み焼き」だとしたならば、大阪のたこ焼きは「もんじゃ焼き」かも。同じ材料で作っているけど、お好みともんじゃくらい味が違う。たこ焼きオンチの私でも「銀だこは違う」の意味がわかったぞ!



これで終わりではなく、コースにはさらに5種類のラジオ焼きが付いている。それぞれ4個ずつ、先のたこ焼きと合わせると全部で28個も提供されるのだ。1人で食べる量じゃなかったかな?


牛すじ・こんにゃく・ネギの入った「元祖ラジオ焼き」のほか、「とんとろ入」「チキン入」「豚アスパラ入」「ホタテバター入」。たこ以外でこんなにいろいろ食材を詰め込むとは知らなかった。

いろいろあるけど、やっぱりたこが1番いいね。そういえば以前、たこ焼きをいかで試したことがあったけど、その時もたこが1番という答えに行きついたんだっけなあ。ラジオ焼きがたこ焼きに進化したのは必然だったとわかる。

ということで、関西の皆さんが銀だこは違うと仰る理由を理解できました。この味はやっぱり本場大阪でなきゃ味わえないんだろうなあ。都内で関西たこ焼きが味わえるお店があれば、ぜひ行ってみたい。


・今回訪問した店舗の情報

店名 会津屋 ナンバ店
住所 大阪市中央区難波5丁目なんなんタウン5号
時間 11:00~22:00
定休日 奇数月の第3木曜日

参考リンク:会津屋
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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