
その日私は、東北地方の、とある場所にいた。海を見て感動してたら、みるみる陽は沈んでしまった。
さあ、これからどうしよう。東京へ帰るか。それとも……と、そのとき頭に浮かんだのは、その場所より遥か北にある、とある料理店。
調べてみると、まだ営業時間内に滑り込めることが判明。私はすぐさま太平洋から最寄り駅まで30分ほど走り(本当に走った)、汗だくで電車へGO。
そして約2時間後、到着したのは──
仙台駅。ここの1Fに……
目的の店『中嘉屋食堂 麺飯甜(ミンパンティン)』がある。
仙台市内で3軒展開している “仙台限定のチェーン中華” であり、機会があれば行きたいと前々からメモしておいたのだった。
というのもこちらのミンパンティン、公式サイトが興味深い。開いたらすぐに──
「B級中華を極める」
と書いてあるのだ。極まったB級中華のチャーハンとは、一体どんな味なのか?
通されたのはカウンターで、
メニューを開くと、
エビチャーハンと五目チャーハンが同じ価格(税込1133円)。
しかし店内のメニューにも、そして公式サイトにも、一番上の “スペシャリテ枠” に掲載されているのはエビチャーハン。ならばエビチャーハンを頼むのが筋であろう。
ここからは目を閉じ、耳だけでチャーハンの調理具合を探る「盲炒(モウチャー)」の時間……と思いきや!
少し首を伸ばせば厨房内が観察できることに気づく。中華料理店の厨房を見ていて飽きることはない。その点、カウンターは特等席だ。
厨房内には6名ほどのスタッフが忙しそうに調理している。ホールを入れたら10人規模。次から次へと来るお客さんの注文を、瞬く間に調理していく見事な連携がそこにはあった。
そうこうしているうちに「もしやあれが私のチャーハンの具材?」と思しき具材を持ち、中華鍋を振り始めた料理人。
火力は強めだが、鍋振りはマイルド。実に静かな鍋振りであり、それはまるで赤子をあやすような緩やかさ。こんなに “しっとりとした動きの鍋振り” は初めて見たかもしれない。
かくしてエビチャーハンはやってきた。やはり、あの “ゆりかご鍋振り” で作られたものは、私のチャーハンだったのだ。
いざ食べてみると……
ウマ〜イ!
謳(うた)い文句通り、エビはプリプリのプリップリ。具は、たまご、ねぎ、そしてエビだけというシンプルさ。そんなストイックな構成が、雑味なく、ストレートにチャーハンの旨みを際立たせる。
おいしい。美味しい。予想以上にンマイ! ──と、ここで私はひとつの違和感を覚えた。それは……
B級ではない!
……ということ。一体全体、これのどこがB級なのか。うそうそうそ、B級なんて、ウソ。これはBでもなければAでもなく、漢字の「高」、すなわち「高級系」のチャーハンではないか。
決してエビが多いから高級系というわけではない。味付けそのもの、トータリーに高級系。なんなら、かの有名な鼎泰豊(ディンタイフォン)のチャーハンのような気品高い印象すらある。
また、スープが独特なのも見逃せない。一見、普通の「チャーハンのスープ」に見えるが、味が普通とは全然ちがう。鶏ではない。牛かなぁ……? 非常に印象に残る味。
……とかなんだとかやってたら、ペロリと米1粒残らずたいらげてしまった。しまった! せっかくの牛スープ。「チャーハン式ねこまんま」をしておけばよかった……。
こうなると、がぜん五目チャーハンも食べたくなるし、カニチャーハンも食べたくなる。ちなみに、仙台ならでは「牛たんチャーハン」なんてのもある。きっと、どれもウマイのだろう。
ちなみに仙台出身の知人に聞いたところ、当然のようにミンパンティンのことを熟知しており、やはり「どれも美味しい」と太鼓判。
さらに、チャーハンではないが『エビと鶏肉の辛子炒め丼(1210円)』が異常に美味しいとの情報である。仙台っ子が「異常にウマイ」と言う料理、気になる……。
いずれにしても、チャーハンを食べるためだけに2時間北上した判断は正しかった。大満足のB級……いいや、これは断じて高級チャーハン。仙台に行く機会があれば、ぜひ。
参考リンク:中嘉屋食堂 麺飯甜(ミンパンティン)
執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:RocketNews24
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