2025年10月13日にマイクロソフト社によるWindows10のサポートが終了する。あと1カ月……自宅PCが11にアップデートできずPCを買い替えなければならない私(中澤)はリミットが迫って来る気分だ。面倒くせェェェエエエ!

そこで以前の記事でWindows10をゴリ押しで使ったらどうなるのかを専門家に聞いてみたけど、個人的にはこれはリスキーって結論になった。問題の詳細が気になる方は以前の記事をご覧いただくとして……じゃあセキュリティ更新プログラムを延長できるっていう「Windows ESU」って手はどうなの?

・Windows ESUとは?

Windows ESUとはマイクロソフトがリリースしている、加入することで1年間Windows10のセキュリティ更新プログラムが受け取れるというサブスクだ。つまり、2026年10月13日まで延長可。な~んだ今PCを買わなくてもいけるんやん。こんなのあるなら早く言ってよ。

と思ったんだけど、このサブスクとは厳密にはどういうものなのだろう? 加入してから思ってたのと違ったら嫌だ。そこで専門家に聞いてみることにした。

・専門家に話を聞いてみた

話を伺ったのは前回と同じくPCデポ平和台店の責任者である沼田真平さん。PCデポがパソコンやネット周りの問題解決やサポートを専門的に行っていることは前回の記事でお伝えした通り。

特に沼田さんは20年問題解決の仕事をしているため、Windowsのサポート終了の状況についてはXPの時代から経験しているベテランである。そんなわけで聞いてみた。「Windows ESU」に加入したらPC買い替えなくてもいいんじゃないですか?

沼田真平さん「確かに、その方法だと10月14日以降もWindows10のままセキュリティを更新できますね。マイクロソフトの公式のものなので安全ですし。ただ、特別な理由がない限りはオススメしません


──それはなぜですか?


沼田真平さん「お金が余計にかかるからです。Windows ESUの個人向けは基本的に年間30米ドルで日本円だと約4380円(2025年9月9日現在)です。これは1年間の契約のみで、例えば1カ月ごとで割るなどはできません。加入する際に1年間分を先払いする形です。

期間も個人向けは1年しかないので、いずれPCを買い替える必要があることは変わりません。であれば、今買っておいた方が余分な出費はなく済みます」


──無料で加入できるというのを小耳に挟んだんですが。

・無料加入のホント

沼田真平さん「一応できますが、無料にするには条件があります。2つあってどちらかを満たせばいいんですが、まず1つ目が『Windowsバックアップを有効にして設定とフォルダをクラウドに同期する』ことです。こちらは……

バックアップに使用するOneDriveが無料で使える容量が5GBで、バックアップ容量が5GBを超える場合は追加の容量を購入する必要があります。ここで結局お金がかかる人が多いんじゃないかと思います」


──確かに、今時格安スマホでも64GBとか128GBありますからね。5GBかあ……。


沼田真平さん「そして2つ目の条件が『Microsoft Rewardsを1000ポイント使う』ことです」


──Microsoft Rewardsって何ですか?


沼田真平さん「Microsoftのポイ活みたいなものですね。アカウントにサインインして、Bingで検索したりMicrosoftStoreでショッピングしたりすると貯まります」


──それってどれくらい貯まりやすいものなんですか?


沼田真平さん「参考までにレベル1の例にすると、検索は3ポイントで貯められるのは30ポイントまで、ショッピングでは100円の支払いごとに1ポイント獲得になってます」


──1000ポイントなかなか遠いですね。なんか抜け目ないっスねー。


・Windows ESUの捉え方

沼田真平さん「そうですね。Windowsなどオペレーティングシステムと言われる基本ソフトは、AIの進化など時代の変化に合わせて、ユーザー体験が向上する様に新しく開発したシステムを販売して行くこと自体がビジネスです。なので、システム入れ替えに自ら抜け穴は提供しないと思います。

ちなみに、ESUのWindows10拡張セキュリティUpdatesで受け取れるのは重要なセキュリティ更新プログラムのみで、一般的なサポートは受けることができません。マイクロソフト自体がサポートをしてないので、PCデポでもサポートしない方向です。

ですから、Windows ESUはやむを得ない理由があって今のタイミングで対応できない人に向けた最終手段というニュアンスで捉えた方が良いと思います。特別な理由がない限りオススメしないというのはそういう意味です」

──なお、企業向けのESUは年間1デバイスあたり61ドルで期間は最大3年間なんだけど、2年目に122ドルになり、3年目は244ドルになるのだという。Windows11への移行を推奨しているのが課金額に出てるらしい。マイクロソフト分かりやすすぎるだろ。


沼田真平さん「まとめると、ESUのメリットは1年間Windows10で重要なセキュリティ更新プログラムを受けられることで、対してデメリットは長い目で見るとお金が余分にかかること、そしてお金を払ってもサポートや新機能など足りない部分が多いことです。

ちなみに、デバイスの前提条件としてバージョン22H2Windows10が実行されている必要があるので注意してください」

・Windows10ユーザーは注意

バージョン22H2Windows10って何やねん。と、そう思ってしまう人は、そもそもWindows ESUで延長すべきではないのかもしれない。抜け道どころか獣道だった

泣いても笑ってもWindows10のサポート終了まで1カ月。どんな選択をするにしても10月13日は刻々と近づいているので、Windows10ユーザーは注意されたし。そんなわけで、PCデポの沼田さん、今回もありがとうございました!

参考リンク:Windows ESU
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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