
日本の実写映画をほぼ見ない私(中澤)。でも、そのことをよく理解している友人が誘ってきた映画が『国宝』だった。私みたいな実写に興味ないクラスタでも名前は知っているし誘われるくらいだからガチで流行ってるんだなー。
まあ、日本の実写映画界を掘るほどの意欲がないというだけで、見たら見たで物語自体は楽しめる。良い機会だし、断る理由もない。そこで行ってみたところ夜眠れなくなった。
・共感できるか?
多分、その友人が私を誘ってきた理由は『国宝』が表現者に関する映画だからだと思う。私は売れないながらも20年バンド活動をしている。43歳の今、同世代は続けている人の方が珍しくなってきた。辞めた人はもちろん、失踪したヤツも死んだヤツもいる。
一方で『国宝』は歌舞伎の世界を描いた作品。なので畑違いなんだけど、ステージの上に立つという共通点はある。むしろ、現実を知りすぎているバンド映画とかだと、煌びやかさを誇張しすぎた演出に失笑してしまうことが多いため、ちょっと違う畑の方がまだしも共感できるかもしれない。
それくらいの温度感で見てみたところ、むしろ他人事に思えなさすぎた。
・ステージ前の気持ち
もちろん、私は『国宝』に出てくるような人物ほど成功していない。が、それゆえにエンタメの世界において、才能が正しく評価を受けるわけではないという現場を嫌というほど見てきている(私に才能があるという話ではない)。描かれているのは天才の人生なのに、そのじわじわした辛さに共感せずにはいられなかった。
特に自分のことのように感じてしまったのは、大舞台前の喜久雄が鏡の前で「俊ぼんの血が欲しい」と泣くシーン。そうそうこの感じ! 大舞台に出ていく前って何よりまず怖いのだ。なぜなら一発勝負だから。人によるかもしれないけれど、少なくとも私は1000回以上ステージを経験した今でもその気持ちが一番強い。
・闇の中を突き進んでる
ステージ前が「ワクワクするぜ!」ってテンションだけの表現はバンド作品に比較的多くて、バンドに対する幻想がそうさせてると思うけど、正直言うとそれは心臓に毛が生えすぎだと思う。心臓がゴマフアザラシの赤ちゃんくらいもふもふだ。そんなヤツおらんやろ。もしいたら嫌だし、一緒にバンドとかできなさそう。
強がりなら分かるけど、その表現も私からすると子供すぎる。感情が襲って来る順番としては、その状態からステージに出て真っ白になった後、終わった後の楽屋で「今日良かったかも」とぼんやり思い返す感じである。この最後の「今日良かったかも」を目指して闇の中を突き進むのだ。
・なぜ
まずその気持ちに共感できるから、ストーリーがより重くのしかかってくる。結果として映画を観終わり帰宅して布団に入った後で色んなことを思い出し考えてしまった。これまでのこと、これからのこと、死んだ友達、自分はどのように生きて死んでいくのか。何より、なぜ表現することをやめないのか?
そんなに大変ならやめればいい。でも、やめられない。じゃあ、なぜ続けるのか? その問いは20年バンド活動をやっている自分の中でもハッキリとした答えが言えないものだ。「好きだから」だけで片づけられると違うように感じる妄執みたいなものがある。でも、それが何なのかはよく分からない。
胸の奥に確実に存在するにもかかわらず言葉にならない気持ち。そのずっと掴めなかった棘みたいな答えが、苦悩や葛藤や苦難を描くことにより浮き彫りにされているように感じた。
・言葉を超越したもの
吉沢亮さんや横浜流星さんの演技が素晴らしいのはもちろんだけど、その奥に永遠のテーマがある本作。言葉にできないからこそ突き刺さる。そんな言葉を超越したものがあった。
なお、読売新聞によると、『国宝』は第98回米アカデミー賞国際長編映画賞に出品されるという。舞台は日本ならではの設定だけど、投げかける問いは言葉の壁を超えていると思われるだけに、個人的には結果が興味深い。
参考リンク:国宝、読売新聞
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼その夜は考えすぎて眠れなくなったのであった
中澤星児



【衝撃】作詞した地下アイドルのライブを初めて見に行ったらヤバイことになってた
話題のバンドアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』がバンドマンに受け入れられている理由
【挑戦】結成13年・平均年齢36.5歳のバンドが夏フェス『ライジングサン』の新人オーディションに応募してみた!
売れないバンドマンが「ミスチルの25年」と「自分の25年」を比較したら涙が止まらなくなった
【泣いた】地下アイドルに作詞提供したらZeppでワンマンするまで上り詰めた話
新オープン「東京カステラパーク」でまたまた千葉に“東京”爆誕。工場見学や直売限定品も楽しめる!
【衝撃のUFOビュー】幕張のホテルに泊まったら窓から巨大UFOが見えてさすがに叫びました
【ええ…】2カ月ぶりに会った父(78歳)が熱烈な大谷翔平ファンになっててドン引きした話
【潜入】世界レベルの講師とUCCコーヒー体験! ロストバゲージを乗り越えた一杯はやっぱり深かった。水素焙煎も必見!
【注文する勇気】新宿の立ち蕎麦店で「松茸そば(時価)」を頼んでみた
【ガチ検証】銀座の「高級寿司食べ放題(5379円)」は実際のところどうなのか? スシロー派が確かめてみた
あまり話題になっていないけれど『かっぱ寿司』がランチはじめたってよ! 心配になって行ってみたところ…
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 1794話目「蛇神の村㉔」
【4コマ】魔王軍はホワイト企業 1795話目「蛇神の村㉕」
「秋刀魚は焼くんじゃなく茹でろ」ってSNSでバズってたから “焼き” と “茹で” を食べ比べてみた結果 → ある部位の味が変わってる
平日ランチ2時間食べ放題・ソフトドリンク飲み放題でお値段税込1300円! 英国発のビュッフェレストランは安すぎる!!
焼肉店きんぐが混んでいたので近くの「とりあえず肉が出てきそうな店」に入ったら、豪快な逆詐欺を見た / メニュー写真と全然違う!
私が犯した5つの過ち。総額5万円で3泊4日「タイ〜ラオス国際列車の旅」大失敗【5万円海外旅行:第12回】
【25年10月】サイゼのグランドメニュー改定! 私はこの「ビーフステーキ」を塩とオリーブオイルだけで、赤ワインと一緒に食いたい!!
【検証】10年間ほぼ毎日飲んでる「コーヒー」を1週間断ってみたらこうだった
【は?】楽天で見つけた「在庫処分セール半額おせち」を買ってみた結果 → 届いた数日後にブチギレかけた
【雑草対策】カインズで598円「撒くだけで防草できる人工砂」の効果がヤバ過ぎた / お財布にも環境にも優しい超画期的アイテム
【検証】「スタバはどのサイズを頼んでも量は一緒」という動画が出回る → 実際に試してみた
【事故】楽天で買った『訳ありB級フルーツ福袋』を開封した翌日、妻から信じられないLINEが来た「メロンが…」
【ガチ】夏フェスに出演します
【突撃】売れないバンドマンが海外夏フェスに出演した結果 → 拍手喝采に震えた
【突撃】伝説的ロックバンド『ギターウルフ』がベーシストを募集! ベースを弾いたことがないギタリストが応募してみた!!
【挑戦】結成13年・平均年齢36.5歳のバンドが『サマソニ2019』の新人オーディションにエントリーしてみた!
【衝撃】バンドメンバー、新聞に載ってしまう / 知人男性「そんなことするヤツじゃなかったんですけどね……」
【オーディション検証】前年応募総数1350通! フジロック2019「ROOKIE A GO-GO」に結成13年・平均年齢36.5歳のバンドがエントリーしてみた!!
【疑問】バンプ「バンドやってなかったらニートかも」 無名バンドマン「バンドやっててもニート」 何が違うのか?
【ライブハウスがない】三重県津市のバンド『Cryings』が、それでも「周遊型ロックフェス」を地元開催する理由
【突撃】女優のんにインタビューするフリしてイングヴェイしてみた
【知っ得】売れないバンドマンが超感動するiPhoneテク / ライトを一瞬で点ける方法
【実話】ライブハウスで「米津玄師」と対バンした話