最近「許せない」のハードルが異常に下がっている。レジ打ちが遅いだけで店員さんを怒鳴りつけたり、信号待ちしたタクシー運転手にブチギレたり……

そして先日見かけたのは、ドンキの天津飯。あんが足りなくなるのが許せないらしく、容器の限界ギリギリまで増やした「あんだく溺れ天津飯(430円)」なる商品を販売していたのだ……キレる方向が正しくてビビる。美味しそうなので買ってみた。

・偏愛グルメ

ドンキでは「みんなの75点より、誰かの120点」をモットーとする偏愛メニューがズラリと揃っている。以前に紹介したアメリカンドッグの根元部分(カリカリ)だけを集めた「アメリカンドッグのココだけ弁当」もまさにそんな商品だった。


調べたところ、そんな偏愛グルメシリーズの中でもとくに売れまくっているのが「あんだく溺れ天津飯」らしい。しょうゆベースのだしとオイスターソース香るあんを限界までかけた商品だ。たしかに「アメリカンドッグのカリカリだけ」よりは強いと思う。

言うまでもなく、天津飯のあんは、ふわとろ卵の魅力を極限まで引き上げて、白米を1粒残さずコーティングしてくれる存在。

先にあんがなくならないように、全体のバランスを見ながら、上手に調整して食べる方がほとんどだろう。陰の主役という立ち位置を超越してしまっている。しかし……


・天津飯島

これほど “あんだく” なら調整は不要。商品名のとおり、天津飯が溺れて離島のような姿になっている。あんという海に浮かぶ「天津飯島」だ。

そういえば、パッケージに「あんの量はそのまま! こぼれない容器に変更しました」と書いてあったので、私が購入したのは完成版なのだろう。

どうやら味付け以上に容器の設計に苦労したそうだ。大量のあんは中まで温まりにくく、逆にしっかり中まで温めようとすると容器が耐えきれなくなる……そんなこんなで、この形になったらしい。涙なくして語れない「離島の誕生ストーリー」である。


・セコい作戦は無用

これであんが不味かったらただの地獄だが、ちゃんとウマい

黄金のあんはレンゲを進めても減る気配なし。中盤以降も「後半戦を考えて取っておこう」などとセコい計算は無用。遠慮なくすくっても常に波打つ余裕がある。どこまで掘ってもたっぷりのあんが追いかけてくるのは生まれて初めての体験だった。

酸味控えめのやさしい甘さで重たさとは無縁。普通にお弁当として満足できる美味しさである。これで430円は安い。さすが驚安のドンキ……人気メニューなのも納得だ。

アメリカンドッグのカリカリより100倍マトモ……いや、「誰かの120%」だから刺さる人には刺さりまくるのだろう。他にも色々な商品があるので興味があれば偏愛メニューをチェックすべし。現場からは以上です!


参考リンク:ドン・キホーテの偏愛めし
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.