
2025年6月27日から公開となった、ブラッド・ピット主演の超期待作『F1®/エフワン』。『トップガン マーヴェリック』で神業を見せたジェリー・ブラッカイマー製作だ!!
国内のプロモーションでは、製作繋がりで地上版「トップガン」的な煽りでアピールしている本作。私も先日、池袋で行われた試写会にて視聴させて頂いたが、これは最高に気持ちのいいヒューマンドラマにして、F1の面白さが万人に伝わるレース映画だ!!
・F1
映画『F1®/エフワン』で、ブラッド・ピットが演じるのは、若かりし頃にアイルトン・セナやアラン・プロストと、いい勝負をしていた架空の元F1レーサーのソニー・ヘイズ。
現在F1からは引退。車上生活しながら日雇いレーシングドライバー的なことをやって、賞金で食いつなぐ、自由過ぎるキャラクターだ。生活は破綻しているが、ドライビングテクニックとレースの勘は一流なことが滲み出ている。
つまり、最前線からは退いたが、実はまだやれる元レジェンドみたいな感じ。そのソニーが連敗続きの最弱F1チーム「APX GP」に、新入りドライバーとして参加。
「APX GP」は崖っぷちで、勝てなければ売却までまっしぐらみたいな状態にある。そんなチームに入ったソニーが、同僚の若手レーサーとの衝突や、マシンの抱える問題など色々な障害を乗り越えつつ……というのが、公開されているストーリー。
・ジェリー
本作の見どころは色々あるが、まずカミソリの如き切れ味で視覚的に迫ってくるのが、レースのシーンにおける車載カメラからの映像だ。ここは間違いなく、ジェリーが「トップガン マーヴェリック」で得た経験を応用したものだろう。
どんな感じなのか? 例えば、SNSで時々、交通事故か、あるいはギリギリでそれを回避した瞬間の、肝が凍り付かざるを得ないようなドラレコ映像がバズってるだろう。
あの、心臓がヒュッとなるようなスリルある限界の映像を、フォーミュラ1カーの速度で見せつけてくる感じ。それもIMAX規格で。
本作は撮影の段階から「デイトナ24時間レース」に参加。イギリスでは本物のレースが開催中のシルバーストン・サーキットで、撮影のために本物のF2マシンを改造して作った “F1マシン” をブラピが運転して撮影を敢行。
Formula 1公式もSNSで撮影中の様子を投稿するなど、映像のリアルさには期待が高かった。
FIRST LOOK: Introducing APXGP, starring in an Apple Original Film#F1 pic.twitter.com/0qDe3zMicp
— Formula 1 (@F1) July 6, 2023
ちなみに現在のFormula 1公式Xのヘッダーは映画F1のNYプレミア時の写真になっており、映画のF1公式なのかレースのF1公式なのか微妙に戸惑わせる状態で面白いことになっている。
そして肝心の映画の映像だが、本当に凄まじいとしか言いようのないクオリティだ。シンプルにフォーミュラ1カーにカメラをくっつけた状態で、本当にレースをやったらそういう映像になるんだろう……みたいな、説得力のありすぎるリアル感を持っている!
間違いなく地上で行うレースの映画における、映像面の最高峰は本作だ! ジェリー・ブラッカイマーは「トップガン マーヴェリック」で空の映像の神になり、地上の映像ではF1で神になったと言っても過言ではない。天と地を統べてしまった。
・ブラピ
もう1つの見どころは、言うまでもないが、ブラピだ……! 本作ではブラピが何かと年寄り扱いされる。
は? ブラピが年寄り? それは無理があるのでは……と思ったが、よく見たらもう61歳だった。
確かに若かりし頃のフレッシュなイケメンではなくなったが、枯れたイケオジ感は限界突破している。
そして作中のソニーというキャラクターだが、やることは破天荒でめちゃくちゃのように見えて、実は腕利きの策士なのだ。
そんなソニーのいぶし銀的な良さが、還暦ブラピのサラッとした演技とあまりに合いすぎている。ハマり役ではなかろうか。
・F1とは
最後はストーリー展開だ。個人的には、ここが撮影と同等にテクニカルに思えた。
じつのところ、私はレースのF1について全く何も知らないし、リアルでもTVでも1度も見たことが無い。
アイルトン・セナの名前くらいは知っていたが、マジで名前だけで、どんなレーサーだったのか知らない。私のF1に関する知識は、エヴァとガンダムの区別がつかないその辺のオカンの持つガンダムの知識と同じくらいだろう。
そんな私でも、今のソニーの判断はとても巧みなものだったのだな……とか、普通はここでタイヤを変えるよな……とか、そういうのが分かるようになるストーリーテリングなのだ。
F1完全初心者にして40年間1ミリの関心も持たなかった者を、155分でF1って面白れぇんだなぁ! と啓蒙するクオリティ。これは本当に語りと見せ方が上手くないとできない。
そしてクールが極まっているラスト。ちょっと格好良すぎるでしょう。ジェリー繋がりと、マーケティング関連の大人の事情だかで『トップガン マーヴェリック』の看板にあやかりつつ売り込まれているが、視聴を終えて映画館から出てくると、その扱いが悔しくなる。
F1がテーマの映画としては史上最高。映画全体で見ても、この夏、いや、2025年で最も気持ちのいい映画で間違いない。
【追記】2025年6月28日18:00 記事公開時、上映時間など事実関係にいくつか誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
参考リンク:映画『F1®/エフワン』、X @F1
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
▼ほんの数語のみ、説明なしで専門用語が出てくる。まあ意味は何となく見ていればわかるのだが、映画公式HPに解説の項目があるため、そこを読んでおくのが良いだろう。
江川資具



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