「おにぎりせんべい」ってあるじゃないですか。甘めの醤油味で刻み海苔が付いた、丸っこい三角形のおせんべい。


もとは関西発祥のようだが東京でも普通に売っており、生まれてこの方関東住みの筆者も幼少期から慣れ親しんできた。最近はスーパーや100均などに食べきりサイズも売られており、有難い限り……なのだが。


先日訪れた都会のデカめのダイソーにあった「おにぎりせんべい」は、いつもとちょっと違っていた。

・おにぎりせんべい 乙


それがコレ、「おにぎりせんべい 乙」。ダイソー価格ゆえ当然108円だが、デカデカと書かれた商品名の「乙」然り、「濃厚」の文字然り、どことなくリッチそうな風貌を醸している。


とはいえ、ノーマルの「おにぎりせんべい」も十分濃厚な醤油味だった気がする。あの味がベストバランスの美味しさなのだと思っていたが、あれ以上に濃くなると新たな地平が開けたりするのだろうか……。


てなわけで通常バージョンも購入。食べ比べてみることにした。


・ノーマル「おにぎりせんべい」


まずは おさらいとしてノーマルバージョンをば。



封を切るなり広がる、醤油の香ばしい香り。これこれ、おにぎりせんべいってもう匂いが美味しいよね。最近食べてなかったからなぁ。


「乙」と同じくダイソーで購入した、50g入りの「ジャストパック」だ。したがって おせんべい本体のサイズもちょっと小さめ。



美味しい。優しく安心する味でありながら中毒性もあって、袋と口を往復する手がエンドレスである。


……が、これは単なるおやつタイムではなくれっきとした検証。手の永久運動を無理やり方向転換し、「乙」のほうへ。


・「乙」実食


さて、改めて「乙」。ノーマルと比べるとスリムなパッケージだが、内容量を見ると45gとわずか5gの差。5gってどのくらいだろうか。1枚分くらいじゃないか?


出してみると……お、色が濃い?



ノーマルと並べて比べてみるとよく分かる。「濃厚」の文字に信憑性が増す。


さて、いよいよ食べてみよう。


お、味も濃い……


……か??


・じわじわくる

確かに間違いなく濃厚っちゃ濃厚なのだが、一口めの印象としてはあんまり変わらない。いつもの味だけどちょっと濃いめだね〜くらいの。


が、例によってエンドレスに食べ続けていると だんだん違いが見えてきた。



ノーマルの方は程よい味付けで美味しいのだが、だんだん味に慣れてくるというか、一つ一つの感動が薄まってくる。


対して「乙」は、一口目の「うわウマ……」がずっと続く。小さい驚きを毎回感じられるというか。したがって中毒性でいうとこっちのほうが更に上である。飽きない。



ちなみに、こんなことが書いてあったわりに、なぜか食感は「乙」のほうが軽いように感じられた。タレが多いとカリッと固めになる気がするのだが、謎である。


・ズルい


……美味しかった。そりゃ美味しいですよ。美味しいに決まってるじゃないですかこんなの。


奇をてらってイロモノ的な味に走ることはしない。慣れ親しんだあの味はそのままに、一口めの感動をずっと味わわせてくれる。決して派手ではないが、その姿勢にはロングセラー商品の底力を感じさせられる。


なるほど、これはまさしく乙な味。「超」だの「スペシャル」だの「MAX」なんぞではなく、「乙」であった。


執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.