横須賀って言うと米軍基地のイメージが大きい。大きすぎて他に行く場所が思いつかないくらいである。先日、佐藤英典記者とドブ板通りに行った際も『TSUNAMI BOX』でトランプバーガーを食べた後、やることがなくなった

せっかく横須賀に来たんだからもうちょっと楽しみたい。そこで地元の人におすすめの観光スポットを聞いてみたら、「ここは行きました?」と最初に名前が出たスポットが全く知らない場所だった。

・地元の店の人に聞いた

話を聞いたのは、以前の記事でご紹介したシナモンロール店『ナッシングバットシュガー(NOTHING, BUT SUGAR)』の店員さん。まさしく地元密着型のお店なので、「東京から来たんです」と言うと自然と観光スポットの話になった。

雑談でドブ板通りに行ってきたことを話すと、「この後行くんですか?」と当然の順番のように聞かれた場所がこちら。


『いちごポートマーケット』である。

いや、知らん知らん知らん! 横須賀新港ふ頭の巨大な倉庫が市場みたいになっているこのスポット。店員さんの話の雰囲気から察するにこの辺りでは有名な観光スポットであるようだ。



・鮪は鮪でも

その証拠に、中のフードコートや市場には平日でも地元民らしき人たちの姿が見受けられる。『ナッシングバットシュガー』の大元の店であるヨコスカネイビーバーガーの老舗『HONEY BEE』もあった。ご当地グルメが集まっているプレイスポットも兼ねた市場という雰囲気である。

奥に進むと『長井水産』という魚介系の市場があって、お土産を探すのにも良さそうだ。でも、横須賀で名物の海産物って何だろう?

パッと思いつかなかったので奥にあった鮮魚の切り身が並んだ冷凍庫を見てみると……ふむふむ、ここは鮪がメインか。メバチマグロだからレア度にはかけるか?


と思いきや……


卵が売ってる!!

・希少部位

魚卵でもマグロの卵が売ってるの初めて見た……。そう思ってネットで「マグロ 卵」で検索してみたところ、「超希少」とか「希少部位」とかいう言葉が枕詞のように出てくる。

よく見ると、ホシ(心臓)ワタ(胃袋)ハーモニカ(縁側)とかもある。魚自体は普通でも、売られている部位がマグロにおいて初めて見る部分ばかりだ。マグロの心臓とか卵って売ってるもんなんだなあ。



・買ってみた

ここに来た意味が感じられたため、マグロの卵を購入してみた。100g当り268円と、都内のスーパーで言うと牛肉切り落としくらいの価格である。アメリカ産よりは高いけど国産牛よりは安い。

店員さんに調理方法を聞いたところ「煮付けがオススメ」とのこと。念のため、他の案も聞いてみたけど、出てこなかったので煮付けくらいしかないのかもしれない。希少部位という感じがする。

それにしても袋から出してみると本当に卵なのか疑わしい外見だ。ぷつぷつした魚卵感がなくて、むしろ肉感がある。マグロの卵ってこんなんなんだ。

とりあえず煮付けてみることに。まず、醤油とみりんとだしと水で味見しながら甘辛い感じに調節。匂い消しに生姜を入れて、割下の味は生姜香る甘辛煮である。

・変身

そんな雰囲気割下を沸騰させてからマグロの卵を入れる。まあ、煮物の煮方に関しては、それぞれの流派があると思うので好きなようにしてくれ。ポイントは火をちゃんと通すということのみ。


というわけで、アクを取ったりしていたところ卵の外見に変化が。煮る前は卵か疑わしい見た目をしていたマグロの卵が……


咲いてる!

その変化に再びこう思わずにはいられなかった。「マグロの卵ってこんなんなんだ……」と。外見から変化まで、全てが予想外でいっそ勉強になる。



・いただきます

食べてみたところ、食感がムチムチしていてたらこよりも白身魚の煮物に近い。それでいて味はマグロなので、ちょっとした珍味と言える。

ただ、珍味と言ってもクセはない。魚卵の中ではむしろ食べやすい味と言えるだろう。ご飯に合うという感じではないけど、お酒のツマミとかには良さそうだ。

日本人にとってなくてはならない存在であるマグロ。しかし、切り身を見かけることが多すぎて、一般人にとって加工食品と実態が結びつきにくい魚であるように思う。

ゆえに、普段見る機会のない卵を食べた時、まず「マグロって卵あるんだなあ」と思った。考えてみたら当たり前だけど、実感が湧くような目からウロコの気分である。改めて、命をいただいて生きているということを考えさせられたのであった。ごちそうさまでした。

・今回紹介した店舗の情報

店名 長井水産ポートマーケット店
住所 神奈川県横須賀市新港町6いちごよこすかポートマーケット
営業時間 10:00~18:00
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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