先日、京都にある母校でホームカミングデーが開催されるというお知らせが届いた。

お世話になった先生方に単行本の発売が決まったという報告もしたいし、今年は絶対参加しよう!

そう決めたはいいものの、ここで1つ懸念点が。実は直前に東京の同人誌即売会に参加する予定があり、その時点でお金が吹き飛ぶことが確定していたのだ。

さすがに連続で遠出して遊ぶのは厳しいか? と1度は諦めかけたのだが……あれ、ちょっと待って?

これ、夜行バスを使えば解決するのでは?


・人生初の夜行バス

調べてみたところ、筆者が住んでいる新潟と京都を直通で結ぶ夜行バスがあるようだ。ちょ、ちょうど良すぎる~~~!!

ただ……私、これまでに1回も夜行バスを利用したことがないんだよな。

昼行便のバスに乗ったことはあるのだが、その時は腰が痛くなるわ、移動時間はただただ座席に座ってじっとしていなければいけないわで結構キツかった思い出がある。

またあのしんどい時間を過ごさなきゃいけないのか……と一瞬不安になったけれど、京都に行きたい欲を抑えることはできなかった。

行きと帰りの両方を初めての移動手段にするのは少々怖かったので、行きはいつも通りに電車で向かい、帰りだけ夜行バスに乗車することにした。


・いざ乗車

そしてホームカミングデー当日。久しぶりに母校で友人や先生と話すことができ、楽しい時間を過ごさせてもらった。


深夜23時を回ったところで、いよいよ夜行バスの旅が始まる。お世話になったのは、「WILLER(ウィラー)」という会社のバスだ。

夜行バス界隈ではかなり有名なようで、予習としてYouTubeで動画を見たり検索をかけたりしているとかなりの確率で名前を見かけた。

ウィラーのバスでは、街を走っている普通のバスでまず見かけない多種多様なシートを選ぶことができるのだが、今回は4列タイプの「リラックス」というシートに座ることになった。

4列タイプ……以前座った昼行便のバスと同じだ。割とどこでも眠れるタイプではあるけれど、果たして真横に人がいるあの環境でもちゃんと眠れるんだろうか。



そんなことを考えつつ、ドキドキしながら乗車してみると……


──え!? 私が知ってるバスのシートじゃないんだが……!?

そこには、上の画像の右側にある写真どおりの光景が広がっていた。

しっかりとした仕切りで区切られたシートたち。座敷上部には、何やらフードのようなものもついている。

あとで調べてみたところ、このフードのようなものは「カノピー」というそうだ。

これを下げることで、周囲の目線から寝顔を隠すことができるのだという。配慮がすごい……!


さっそくシートに座ってみると……おっ、思った以上にふかふかだ。

布団の柔らかさとまではいかないけれど、体が沈むような感覚がある。普通のバスの硬い座席とはまったく違う座り心地だ。

シートの説明欄に「4列スタンダートタイプのシートより、幅や前後感覚が広くなっています」と書かれていたのだが、確かに狭さも感じない。

身長169cmの筆者でも、足をちゃんと伸ばすことができて快適だった。これだけでも体への負担がだいぶ違う……!


疲れていたので、着席した後はすぐに就寝の支度に入った。

座席は最初からある程度倒れていて、力を抜いた状態で背中を預けることができた。うん、これなら追加で席を倒さなくても眠れそうだな。

「あるとないとでは全然違う」と聞いて持参してきたネックピローを首に巻き付け、カノピーを下げる。


カノピーは下げる時に「キュッキュッ」という音がしたので、消灯時間後に上げ下げする時には気を付けた方がいいかもしれない。

目線以上の高さがある横の仕切りとカノピーのおかげで、確かに隣に人がいるはずなのに個室感が半端ない。

おかげで時折うっすらと目を覚ますことはあったものの、すぐにまた眠りに落ちることができるくらいにはリラックスできた。


・到着

そんなうたた寝のような状態から完全に目を覚ました時、バスは既に新潟県内に突入していた。い、いつの間に……

しばらく待っていると、降車するバス停に定刻通りに到着。外に出ると、周りには見慣れた風景が広がっている。


さっきまで京都にいたのに、もう地元に着いちゃった……

乗車時間は7時間以上なのだがほとんどを眠って過ごしていたため、体感としては1時間くらいで京都から新潟に着いたような感じだった。

しかも足がむくんだこと以外、腰が痛くなったり体がバキバキだったりといった体へのダメージがほとんどない。こんなに快適に移動できるバスもあったんだ……!



・考え方が変わった

朝早くに到着したから、今日は1日を有効活用できるな。

寝ている時間に移動を済ませられるのって、こんなにも効率がいいんだ。よ~し、今日も頑張るぞ!

──と思っていたのだが、やはり慣れないことをしてしっかり疲れていたらしい。自宅に帰った後に襲ってきた睡魔に勝てず、ガッツリ半日眠った。布団で寝れるの、最高だった。

今回夜行バスに乗ってみた結果、今回のようないいシートが確保できればまたお世話になろうかなと考えている。

交通費だけで眠れる場所を確保できるうえ、うまく休めれば翌日も朝から活動できるのは大きい。

昼行便での経験があったため「バス=自分には合わない交通手段」と思っていたけれど、考えを改めることができたいい体験だった。

参考リンク:WILLER、PRTIMES[1][2]
執筆・イラスト:うどん粉
Photo:RocketNews24.