2024年10月11日から放送が開始された『ドラゴンボールDAIMA』。これは亡き鳥山明先生がストーリーやキャラクターデザインを手がけたドラゴンボールの新作だ。Amazonプライムで速攻配信されているのはありがたい限り。
ドラゴンボールで育ったと言っても過言ではない私(中澤)。最近のドラゴンボールシリーズはご無沙汰であったが、これは見てみようと思った理由がある。
と、これ以上先はネタバレ注意。まだ第一話しか配信されてないけど、情報を入れたくない人はここで引き返していただけると幸いだ。
・見ようと思った理由
それでは、ネタバレOKということで話を進めさせていただきたい。私が本作を見ようと思った理由は、「鳥山明先生が手掛けた新作」ということにはあまり関係がなかった。そもそも、鳥山明先生は『ドラゴンボール超』でもストーリーを手掛けているし、映画の脚本も手掛けたりしている。
では、なぜ久しぶりに見ようと思ったのかと言うと、本作が魔人ブウ編の最後から始まるから。そう、コミックのストーリーの続きから始まるのである。最近のドラゴンボールを追ってなかった私が非常にとっつきやすかったわけだ。
・ドラゴンボール原作の謎
で、1話で鍵を握るのはなんとダーブラ。なっつ! ダーブラ覚えてる? ブウ編で強キャラっぽく出てきた割に一瞬で退場するバビディ配下のピンクのオッサンである。
で、これもリアルタイム世代が覚えてるか微妙なラインだけど、ダーブラには魔界の王という謎の設定があった。何が謎かと言うと、当時のドラゴンボールは「魔界なんてあったんかい」というノリだったのである。
ドラゴンボールは、青年期になって以降ふわっとしたものが全くない世界観となる。神様もちゃんと家に住んでるし、その上の界王様も自分の家で人間と変わらない暮らしをしており、界王星までも道がハッキリ形となって示されている。
要するに、ぼんやりとしたイメージで済ますことができそうな部分も、くっきり鮮明に描かれているのだ。そのくっきりさは距離や時間に至るまで浮き彫りにし、そこに子供心にある種のリアリスティックさを感じていた。
そんなドラゴンボールの世界に魔界なんて行き方も分からないぼんやりしたものが登場するとは。幽遊白書なら分かるけど、ドラゴンボールにそのワードが出てきたのが当時、衝撃的だった。
しかも、その魔界は言葉だけしか出てこず、ダーブラもすぐに退場する。ゆえに謎。ナメック星には行くのに、魔界には行かなかったのである。
・ブウ戦の裏側
なぜ私がこんなにダーブラについて覚えているかと言うと、格闘ゲームの『ドラゴンボールZ 超武闘伝3』でダーブラを使っていたから。魔界の王設定がそれだけ気になっていたのかもしれない。
そんな魔界の王設定が、まさか新作で回収されるとは。『ドラゴンボールDAIMA』は、ダーブラが王だった魔界から、ブウ戦の裏側を見る形で始まる。おおお! 別視点からのブウ戦がめちゃくちゃ新鮮だ!!
裏を知ったことにより、ブウ戦の表にもまた厚みを感じる。こんな『ブギーポップは笑わない』みたいな多角的視点によるストーリー展開が、あのドラゴンボールで見られるなんて。
・原点回帰?
この時点ですでに面白いのだが、さらに良いのは、1話の中心となる魔界のキャラ、キング・ゴマー。魔界征服的野望を燃やすキング・ゴマーがどことなくピラフを彷彿とさせる。
こうなってくると補佐のデゲスも頭の良いシュウに見えてくる。ドクター・アリンスが現状、マイっぽくないところが今後の鍵を握っているようにも思えた。
ゆえに、登場キャラや舞台はドラゴンボールZのラストなんだけど、雰囲気は悟空が少年期のドラゴンボールに近い。テレビにかじりついて悟空と一緒に大冒険していたあの頃。ドラゴンボールの世界は広大で予想がつかず、まさしく摩訶不思議アドベンチャーだった。
・俺たちのドラゴンボール
そんなワクワクを思い出していると、1話の最後で「あ、やっぱりそういう意識で書いてるのかも?」と思うことが起こった。このシーンばかりは実際にご覧いただきたいのだが、正直、私は泣いた。
ラストシーンの「これから何かが始まる」というワクワクが半端じゃなかったのである。それは、私が子供の頃ドラゴンボールに感じていたトキメキと同じであった。
これまでのドラゴンボールを一巡するような懐かしさを感じさせつつも、ちゃんとディテールが現代化されていた『ドラゴンボールDAIMA』。子供の悟空がドラゴンボールを見つけるように、輝きを再発見できた第一話だったと言って差し支えないだろう。
オッサンになった私にすらワクワクをくれる。そこには俺たちのドラゴンボールがあった。
なお、公式サイトの鳥山明さんのコメントを見ると「いつもよりかなり気合が入っているかもしれません!」と書かれている。また、「ドラゴンボールの世界観の謎にも迫る展開」というコメントも気になるところ。まだ1話だけど、この先どうなっていくのかが楽しみだ。
参考リンク:ドラゴンボールDAIMA
執筆:中澤星児
画像:©️バード・スタジオ/集英社・東映アニメーション