さいきん何かと手広くやってる印象の『地球の歩き方』。今夏、中国へ行くため久々に本屋で『地球の歩き方』を購入したところ、紹介されているホテルやレストランの情報欄に「2024年1月現在閉店」と記されているものが多くて驚いた。

表紙には「2019年〜20年」と表記されているが、これは間違いなく最新版。つまり「最新版だけど情報は5年前のまま」ということを意味していて、コロナなどの影響により『地球の歩き方』が今も苦境に立たされていることが窺い知れる。頑張ってほしい、マジで。

そんな『地球の歩き方』が、今度はシャカリキにカレー界隈に参戦したようだ。歩き方ファンとして全力でレポせねばならん!

・ファンとして

池袋のカレーフェア会場で見つけた地球の歩き方カレー。

その後 “レトルトカレーに力を入れている大きいスーパー” や “なんかオシャレっぽいセレクト食料品店” などでも何度か目にしたので、興味のある人はカレー好きが多そうな街を中心に探してみるといいかもしれない。

現在発売中の地球の歩き方カレーは3種類。

縦置きにすると本物の地球の歩き方(本)みたいでテンション上がる。1つ756円(税込)。このオシャレさを考えると、個人的には「けっこう安い」と感じた。まだ食べていないことは一旦おいといて。

真空パックを湯せんかレンジで温めるだけの簡単仕様である。



・本気のレポ

3種類のうちどれがセンターポジなのか分からなかったが、辛さが「1辛」「2辛」「3辛」と分かれていたので、その順序で実食してみることに。

1辛は『チキン・ティッカ・マサラ』。実は地球の歩き方カレーの正式名書は『地球の歩き方 監修 世界のカレー図鑑レトルトカレーシリーズ』といって、「あなたがまだ知らない世界のカレーをお届けする」という趣旨の商品になっている。

この『チキン・ティッカ・マサラ』はイギリス発祥のカレーとのことだが、名前だけ聞くと多くの人が「インドのカレー」をイメージするのではないだろうか? そもそもイギリスには、かの有名な『欧風カレー』があるものを……まぁ、いいけど。

今回の3種類はどれも全く知らないカレー。どう食べるのが正解か見当もつかないので、とりあえずナンとライスだけ別皿に用意しておいた。

チキン・ティッカ・マサラは大きな骨付き1枚肉(鶏)がドーン! と入ったダイナミックな作品。ルーより肉の体積のほうが大きいんじゃないの? ってくらいダイナミック。

これは……! 「日本のインドカレー屋のチキンカレー」にめっちゃ近い。「皆さんがチキン・ティッカ・マサラと聞いてイメージするカレーそのもの」と言って差し支えないのではなかろうか。チキンはホロホロではなく、パサパサと肉肉しくて力強い。しいて “イギリスらしさ” を探すとすれば、ほのかにハーブっぽさがある点だろうか?

確認のためパッケージの説明書きを読むと……「イギリスのインド料理店で客がパサついたチキンにカレーソースをかけてほしいと頼んだものが発祥」との衝撃的文言が。な、なにそれ!?

これを「イギリスのカレー代表」に選出した地球の歩き方のアナーキーさに敬意を払わずにいられないのだが、発祥地はさておき、とにかくウマい。これが嫌いな日本人はいないと思う。


・難易度の上がり方エグい

2辛はエチオピアのカレー『ドロ・ワット』。今回の3種類の中で、私が唯一行ったことのない国である。

骨付きチキンの手羽が2本。いかにも「ドロ・ワット」といった雰囲気のビジュアルだが……



食べたら完全に「ドロ・ワット」でビビった。


「食べられるドロ」としか説明しようがないこの料理……少なくとも日本人が知っている「カレー」の味とはかなり異なる。ドロのようにカレーがいつまでも口内にまとわりつく感じ、ムリな人はムリかもしれない。チキン・ティッカ・マサラから急に難易度上がりすぎだろ!

ちなみに「ドロ」はアムハラ語でチキンを意味する単語とのこと。アムハラ語と日本語の「ドロ」がこのような形で交わるとは、言語って本当に面白いですよね。

ただ冷静に食べ進めると、だんだん「これはこれでアリ」って気持ちになってくる。カレーだと思うからビックリするのであって、これが外国のレストランで出てきた料理なら、普通に「うまい」って食べるだろう。ある意味 “最も地球の歩き方っぽいカレー” といえなくないドロ・ワット。個人的にはナンと一緒に食べるのがオススメだ。



・全部分かった人、地球のプロ

最後の3辛はタイの『ゲーン・ハンレー』

ここまでの2つがドロドロタイプだったので油断していると、シャバダバァ〜! と水みたいに溢れ出してきて慌てる。今回唯一の豚肉カレー。匂いを嗅いだ瞬間「下北沢のどこかで嗅いだことのある匂いだな」と思った。

う〜む。「タイだ」と言われると、どことなく爽やかな酸味を感じる気もする。ただ事前情報なしだと、個人的にはこっちを「イギリス」と答えたかもしれない。タイカレーの代名詞というべきココナッツミルクが使用されていないため、どちらかといえば “シャバシャバな欧風カレー” って印象。

後に残る辛さがあるが、よほど苦手な人でなければ余裕だと思う。スパイスカレー好きが喜びそうなゲーン・ハンレーには米が合う。米と一緒に食べたら3倍おいしい。

「普通のレトルトカレーとは違うぞ」というプライドみたいなものを痛烈に感じた地球の歩き方カレー。ちなみにイベント会場で購入したため、地球の歩き方カレー専用バッグがオマケでついてきた。こんなのプレゼントされたら絶対嬉しい! ( ※ 販売店によって状況は異なります)

一味違うレトルトカレーをお探しの方、また地球の歩き方ファンは必食である。

参考リンク:36チャンバーズ・オブ・スパイス
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.