気が付けば、この「格安イヤホン探訪」シリーズは24回目を迎えた。購入イヤホンが20本になったところで、すべての製品を聞き比べて総合ランキングをつけようと思っていたのに、すでに20回を過ぎ去ってしまったので、30本の製品を比較したところで総合ランキングをまとめたいと思う。

さて、今回はヨドバシカメラで見つけたフィリップスの「Tunes Up Beat」(税込885円)である。はたしてこの製品は、どんな音を聞かせてくれるのだろうか?

・低価格で高音質の製品を比較

今回フィリップスを選んだのは、読者からおすすめ頂いたからだ。だが、その方のおすすめするモデルは1000円台後半から2000円の価格帯のものだったので、比較を見送らせて頂いた。

というのも、現在(2024年8月)の上位3製品はいずれも100円台で購入している。1000円台後半となると、製品自体のランクが変わってしまって比較にならない。本来このシリーズは、低価格で高音質の製品を比較するのが企画。よって今回は885円の製品をチョイスした次第である。

今後もできる限り、100円台の製品をリサーチするつもりではあるが、現在の上位3製品を超えるコストパフォーマンスを実現する製品はそうそうなさそうなので、1000円台前半の製品も適宜紹介する予定だ。あらかじめご了承ください。


・フィリップスの低価格イヤホン

さて、この製品の仕様を確認しようとしたところ、パッケージにそれらしき記載がない。もしかしたらこの文中に記載があるかもしれないのだが、文字が細かすぎて老眼の私(佐藤)には読めない!


仕様は諦めるか~……、と思ったら、パッケージの内側に書いてあった。これじゃ買わなきゃわからんじゃないか。しかも数字以外はロシア語っぽいし……。

とはいえ、数字を見ればだいたいその内容はわかる。再生周波数帯域:20~2万ヘルツ、出力音圧:101デシベル、インピーダンス:16オーム、最大入力:10ミリワットといったところだろうか。


ドライバーサイズが8.6ミリとある。この手のイヤホンはドライバーサイズが10ミリのものがほとんどなので、やや小ぶりのモデルとみて良いだろう。



製品はこちら。本体とイヤーピースがS・M・Lの3サイズだ。


イヤホンそのものはやはり小さい。耳の収まりは良さそうだ。


で、マイクにリモコンがついているのかと思ったら穴だけ。この価格ならリモコンなしでも仕方ないよな。


装着してみると、イヤーピースはちょい緩いかな、耳穴に密着している感じがしない。何かの弾みでスポっと抜けそうだ。



・聞き比べ

今回の検証材料は映画『レオン』のテーマとして知られる、スティングの「Shape of My Heart」である。まずは現在1位の「ハイユニット HSE-A1000」から聞いてみよう。


この曲はを選んだのは秋の訪れを感じるからだ。ギターの物悲しいアルペジオとしゃがれたスティングの声が、これからの季節にマッチすると私は考えている。もう少し秋が深くなって、枯れ葉でも舞う時季になると、なお心に響く

さて、ハイユニットで聞いてみると、繰り返されるアルペジオの1音1音が鮮明で、ドラムのリムショットの音抜けが気持ちいい。曲を通して映画の情景が脳裏に浮かぶ。



続いて、フィリップスでも聞いてみよう。


全体的に音は高めに聞こえる。音質が全部シャーシャーとしていて、耳に刺さる感じだ。音楽を聞くよりも、声を聞くのに向いている製品だろうか。インタビューやトークを聞くと声が鮮明に聞こえそうだが、音楽を聞くには低音が物足りない

この曲の持つ繊細さや物悲しさが半減してしている気さえしてしまう。よって、今回はランキングの変動なし。


1.アルペックス(Hi Unit)ハイユニット HSE-A1000(PK)」 税込712円
2.JVCケンウッドHA-FX6-T カナル型イヤホン」 税込821円
3.DENONAH-C260」 税込927円


このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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