そういえば、モバイルオーダーなんてのがあるんだよな。今日も今日とて東海道新幹線に乗っていて、ふと思った。
仕事柄、急なスケジュールで地方に行きまくる私は、よく新幹線のグリーン車を利用する。かつては普通車だったが、最近は主に外国人の観光客だらけで、直前にチケットを買うと他にシートが空いてないからだ。
というか、そもそも新幹線の車内販売を利用したこと自体ないな……。今日は暇だし、ちょっと使ってみるか。
・初めて
子供のころから新幹線や飛行機にはよく乗ったが、そういえば1度も車内・機内販売の類を使用したことが無い。親がそういうのを許さないタイプだったからだ。
それゆえか、大人になってからもその手のサービスに意識を向けること自体無かった。まあ、昨今は移動中も何らかの締め切りに追われまくっていて、そんなことしてる余裕が無いパターンの方が多いが。
しかし今日はまあまあヒマだった。それで前の座席の背面に収納されている諸々を漁っていたところ、モバイルオーダーサービスの案内が記されたリーフレットが目に入ったのだ。
スマホで二次元コードを読み込んで利用できるらしい。対象は「のぞみ」と「ひかり」のグリーン車だそう。そして「こだま」にはコールサービスしかないようだ。
私は新幹線に乗るのは好きだが、車両そのものへの関心は薄い。今乗ってる新幹線がいったい何なのか知らないが……モバイルオーダーの案内の放送があった気がするので、「のぞみ」か「ひかり」のどちらかだろう。
・専用ページ
さっそくコードを読み取って専用ページにアクセス。いろいろあるんだな。
他のコンテンツも興味深いが、今回はモバイルオーダーサービスだ。どんなものを売っているのだろう。なるほど、酒や水などに、例のアイスとかか。
まだ朝の8時前だからな。酒はやめておこう。とりあえず定番のアイスと、新幹線限定だというチップスター、あとは記念にスプーンを買ってみよう。直感的に操作できるUIで、何も迷うことなくあっさり注文完了。
興味深いのは、オーダー前に降車駅の入力を求められた点だ。降りる前に届けないといけないしな。新幹線でのオーダーならではの項目って感じがして面白い。
・例のアイス
待つ事しばし。スタッフが届けてくれ、クレカで決済完了。
ここで感心したのは、ゴミをまとめるためのビニール袋がデフォでついていた点だ! こういう細かい配慮は良いよな。
それでは人生初の、新幹線で食べるシンカンセンスゴイカタイアイスこと、スジャータのバニラアイスの時間だ。東京駅でしか食ったことが無いんだよな。そして駅のこいつは全く硬くないので、本物の硬さは初体験だ。
どれどれ
……
……
……
……
……
お前、死ぬほど無力だな。
これが新幹線の中でしか体験できない、本場の硬さか……! 想像していた以上の防御力。圧倒的な装甲の前に、デフォルト装備のプラスプーンでは1ミリもダメージを与えられない。
記念に飾っておくつもりで買ったアルミスプーンだったが
まさか必要に迫られ、その場で使うことになるとは……。これアイス買う人全員が購入不可避だろ。
・限定チップスター
こうして無事にアイスを食べ終え、続いては新幹線限定のチップスターだ!
実はアイスを食って少しして降りたので、ここからは家に持ち帰ってからのレビューとなる。フレーバーは焼き塩シーズニングを使用した「しお味」と
伊勢えび風味シーズニングを使用した「伊勢えび味」。食べてみると、伊勢えび味はちゃんとエビっぽい味でウマい! チップスター好きは1度は試しておくべきだろう。
「しお味」は、通常の「うすしお味」との違いがよくわからなかったので、コンビニで買ってきて食べ比べた所、「しお味」の方がそこそこ塩気が強く、ドライ感もある気がする。
どちらも塩味なので、その場で食べ比べてみないと瞬時に判別するのは困難かもしれないが、しかし違う風味なのは確かだ。
ということで東海道新幹線のモバイルオーダーで、人生初の車内販売を利用してみたわけだが、移動中という特殊な状態で買い物をするというのは、それ自体に特別な趣があるように思えた。
何を買ったかということ以上に、そこで買い物をしたという点が体験として興味深いのだ。この面白さは車内で駅弁を食べるという行為と、本質が同じかもしれない。
およそ一般的な育ち方をした健康状態に異常の無い大人であれば、たとえ食事を1回くらい抜いていたとて、新幹線に乗っている数時間程度でメシを食わなくても、どうともならないだろう。
しかし新幹線の中で食うからこその味わいというのが、味覚から得るものとは他にある。それが駅弁の最も価値のある点で、人々はそこに惹かれているのだと私は思っているのだが、車内販売での買い物にも同様の性質がある気がする。やはり何事も体験してみるものだな。そのうち飛行機でも試してみたい。
参考リンク:JR-PLUS
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼トップの写真は乗った新幹線とは特に無関係の、別のホームに止まってた新幹線。経験上、記事に電車の写真が使用されている時は、他と比較にならないレベルで細かいツッコミが入りがちなので、いちおう事情の解説を。
他には作品として発表済みのSNS等でバズったり、他のメディアで紹介された写真しか残しておらず、以後著作者人格権を行使しない条件で本記事に供出してもよさげなものが、スマホに残っていたこれしか無かったのだ。