かつて、四条大橋そばにある、圧倒的に目立っていて気にはなるが、まあまあスルーしている人も多そうな飲食店を制覇するシリーズをやったことがあった。

具体的には「東華菜館 本店」「レストラン菊水」「松葉 本店」のことだ。そのうち「東華菜館 本店」については、私が常にソロゆえ、2名以上でなければオーダー不可なコース料理を試すことができなかった

そこは物理的限界ということで特に不満も無かったのだが……なんと、期せずしてコース料理にありつく機会を得てしまった。しかも、夏季の伝説的なビアガーデンスポットとして知られる屋上にも入ることができたぞ!! 

・東華菜館

いかなる経緯で、万年ソロな私が2名以上からのコース料理にリーチできたのか……? 実は6月上旬に行われた、JR東海による「そうだ京都、行こう。」のプレスツアーで、晩飯の会場がここだったのだ

というわけでJR東海の提供でお送りするのだが、「そうだ京都、行こう。」の2024年夏のキャンペーンと東華菜館は、特に関係が無いと思われる。

今夏のテーマ「京都がくれる癒し」のHPに、東華菜館は1ミリも登場していないからだ。それでも現場で記事化が快諾されたのは、JR東海の心の広さと、東華菜館の高いクオリティ故だろう。両方に感謝しつつ、お届けするぞ。


・川床

2年ぶりの、人生で2度目の東華菜館だ。あと2年で築100年を迎える、ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる建築。


この建物は外側の時点でだいぶ凄いが、中も凄いのだ。2年前に記事にした時は、川床に案内されるも、急な降雨で屋内に強制退去という展開だった。

そのおかげで、国内最古級の驚くべきエレベーターに乗り、壁や天井の装飾が凄まじい屋内で食事をすることができた。

その時の様子と、肉がステーキなチンジャオロースなどについては2年前の記事をご覧いただきたい

今回案内されたのも川床だ。天気が危ぶまれたが、どうにか持ってくれた。川床リベンジにも成功したと言っていいだろう。



・コース料理

それでは料理を見ていこう。実のところ、マジで普通に晩飯の場で、名刺交換などを伴う飲み会ムードな流れだったため、料理の詳細はよくわからない。

そういう場で、いつもの私の記事のように、手袋をして料理を分解したり根掘り葉掘り質問攻めにするなどしたら、割とマジで終わるのだ。わかるだろ?

コースの何かしらと、飲み放題がオーダーされていたことだけは確かだ。そして最初に出てきたのがこちら。前菜だと思われる。


エビの頭の中は上手いこと処理されていた。


そして何かやたらと美味いスープ。たぶんフカヒレだと思う。


東華菜館のコース料理は、まず最初にデカい皿に乗ったものをスタッフが見せに来る


見せたら素早く持ち帰り、それを小分けにして持ってきてくれるというスタイルだった。これは恐らく牛肉の、何かすごく柔らかくて美味いヤツだ


・紹興酒

今回は飲み放題ということで、2年前の経験(ウーロン茶を頼んで後悔した)を活かして紹興酒を持ってきてもらった。やっぱ中華は紹興酒だよなァ!! 


出てきたのは「古越龍山」の5年。おそらく最もクセの無い、万人向けにしてリーズナブルな美味い銘柄の1つだ。こういう店に配備するにはベストなチョイスだと思う。

紹興酒は、初めての1杯でウィスキーで言うところのアードベッグみたいな銘柄をブチ込まれ、苦手意識を抱いてしまったみたいなケースをよく聞く。しかし「古越龍山」は超万人向けだ。これが駄目ならそれはもう紹興酒自体が駄目なんだと思う。

お店の人が包んでくれた北京ダックと紹興酒でクールにキマる……! 


やはり紹興酒は中華の美味さを加速させる。ビールやウーロン茶も悪くは無いが、ここに来たら絶対に紹興酒の方が良い。これは宇宙の真理。



・屋上へ

こうしてそれなりに出来上がったところで、ビアガーデン前にもかかわらず屋上を見学する許可を頂けた……!

東華菜館の公式HPには、前身の西洋料理店「矢尾政」の頃にビアレストランをイメージしてヴォーリズ氏に設計を依頼してできたのがこの建物である旨が書かれている。

大正時代にビアホールがブームだったかららしい。つまり屋上でのビアホール開催は、当初の意図に最も沿ったものと言っても過言ではない。

であれば、屋上を見ないわけにはいかないだろう。もちろん国内最古級のエレベーターに乗って向かう


天井付近の壁にOTIS(社名)と、定員が13人だと読めるプレートが。これに13人も乗れるのか……!


最上階から屋上へは階段で向かう。いい雰囲気のある造りだ。


これが屋上。周囲一帯からも良く見える、一番上の構造物が今目の前に。


眺めはこんな感じ。南座と「レストラン菊水」がよく見える。


目を凝らせば清水寺も見える。そんなに広くないので、ビアガーデンが始まってからも、入れるかどうかはおそらく混雑度次第だろう。


こういう、詳細は分からないが、なんとなくそれっぽい雰囲気の造形物(恐らくネット上の皆さんはご存じなのだろう)があるのがいい。


こうして期せずして達成された「東華菜館 本店」リベンジ。やはりここは、建物も料理も最高だ……!

ちなみにコース料理には伝説のチンジャオロースとハルマキが入っていなかったので、それぞれ単品での注文をお勧めする。特にチンジャオロースは人生観が変わる。

参考リンク:東華菜館そうだ京都、行こう。
執筆・撮影:江川資具
Photo:RocketNews24.


▼エレベーター。今回は動画で撮ってきた。



▼屋上の逆側はこう。テーブルなどが端に置かれていた。