かつて「葬儀屋は儲かる」とフワッと聞いていたが、葬儀屋の知り合いが出来て認識が変わった。葬儀屋にお勤めのAさんによれば「葬儀屋は仲介業なので思ったより儲からない」らしい。

そのAさんと久しぶりに会って話をしたところ、最近は「安すぎるネット葬儀屋」が横行しているんだとか。今回はAさんに聞いた「安すぎるネット葬儀屋を簡単に見分ける方法」をお伝えしよう。

・格安葬儀屋は怪しい?

話を聞かせてくれたのは私のポケモンGO友達のAさん。Aさんは関東近県を飛び回っている葬儀屋さんで、当然 “葬儀屋事情” に滅法詳しい。そのAさんが「最近やたらと多いんですよ……」と言っていたのが「安すぎるネット葬儀屋」だ。

例えばGoogleで「葬儀」「葬式」と検索すると「最安6万円~」「事前相談で7万円代~」などと多くの格安葬儀が表示される。さして葬儀に詳しくない私からすると「安くていいじゃん」と思ってしまうのだが……。



・現役の葬儀屋さんの話


──安い葬儀屋って何か問題があるんですか?

「うーん、問題というよりは結果的には高くついてしまうことが多いんですよね」

──え、安いハズなのに? 高くついちゃうんですか?

「確かに葬儀ってまとまったお金が出て行きますよね。規模や方式によってピンキリなので一概には言えないんですが、100万円単位のお金がかかる場合もあるでしょう」

──それなりにしっかりやったんですが、うちの母の葬儀も100万円ちょいしました。

「ですよね。ただどんなに小さくやっても最低限かかるお金ってあるんです。例えば火葬費(火葬許可証)は最終的に自治体に納めるお金です」

──火葬費。

「東京23区内の火葬費は最低でも9万円はします。火葬費は火葬場に払うお金ですが、23区以内では自治体から委任された民間企業が運営しているんです。多摩地区などはまた違うんですが、これは人が亡くなったら必ずかかるお金なんですね」

──ふむふむ。

「つまりネットにある「最低6万円~」などは、23区内ではあり得ない価格なんです。自治体の火葬費は調べればすぐに出てきますから、まずは火葬費が表示価格よりも高いかは目安になると思います



・どうやって儲けているのか?


──なるほど。でもそういう格安のネット葬儀屋はどんなビジネスモデルなんでしょうか?

「結局のところ、実際の葬儀に関しては我々のような葬儀屋に丸投げしているケースが多いんです。お寺・火葬場・弁当屋・花屋などの手配は、我々のような一般的な葬儀屋が請け負うケースがほとんどではないでしょうか」

──じゃあ結局高くつくというのは……?

「はい。住職を手配すればお寺さんに払うお金もかかりますし、弁当屋さんがタダで弁当を用意してくれることもありません。しかもそういう業者だと、最終的には手数料が上乗せされることが多くて我々も困ってるんです」

──なるほど……。

「大まかな目安としては「最低〇万円~」の金額が上乗せされると思えばいいでしょう。我々もネット広告は出しているんですが、ウソは書けないので価格的なインパクトで格安葬儀屋に負けてしまうんです」

──最終的には一般的な葬儀屋さんにお願いするよりも高くついてしまうと……?

「そうですね。結局手配しているのは我々のような葬儀屋で、そこに手数料が上乗せされるので。慌ただしい状況であることはよくわかるのですが、価格だけで選んでしまうと結果的に高くついてしまうことが多いと思います」



言うまでもなく人生で主体的に葬儀を執り行う回数はそう多くない。ゆえに相場などが把握しづらいジャンルであるが、やはり普段からコツコツと下調べしておくことが最善策なのだろう。

特に「格安ネット葬儀屋」は結果的に高くついてしまうことが多いそうなので、くれぐれもご注意いただきたい。「必ずかかる火葬費との比較」がまずは簡単に見分け方のようだ。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.