鶏むね肉、難儀な食材である。
肉類のなかでは飛びぬけて安く、きちんと美味しくおまけにヘルシー。ここまでのメリットを取り揃えているにもかかわらず……いかんせん調理が難しい。どうしてもパサついてしまうのである。
そんな永遠のジレンマに終止符を打つべく、鶏むね大好きな筆者が徹底検証することにしたぞ!
・しっとり決定戦
今回検証するのは「茹で」と「焼き」の二種類の調理法。それぞれ検索して多く出てきた、以下の方法を比較してみることにした。
【焼き】
・ブライン液に漬ける
・マヨネーズに漬ける
・片栗粉をまぶす
【茹で】
・ブライン液に漬ける+余熱調理
・余熱調理(下準備なし)
・片栗粉をまぶす
この「ブライン液」は過去にロケットニュースでも紹介されていたが、砂糖と塩を水に溶いた液体のこと。塩がタンパク質を分解して水分を入り込ませると同時に、砂糖がその水分を保持してくれるのだとか。
百聞は一見に如かず。早速検証していこう!
・焼き
まずは「焼き」調理から。鶏むね肉を一口大に切って3グループに分割、ブライン液とマヨネーズは一晩漬けこむ。片栗粉をまぶすのは焼く直前だ。
砂糖やマヨネーズによる味への影響も知りたかったので、味付けはシンプルに塩胡椒のみ。油をひいたフライパンで焼いていく。
焼きあがったのがこんな感じ。さて、食べ比べてみよう。
・ブライン液
……メチャクチャ美味しいなこれ。
写真でも一目瞭然だ。パサパサのパの字もない。しっとりどころか、吸い付くようなモチっと感すら感じる。砂糖の甘さは感じず、サラダチキンのような味。食感が一切邪魔にならないため、シンプルな味付けでもすごく美味しく感じた。
柔らかさ ★★★
しっとり感 ★★★
味 ★★★
・マヨネーズ
ちょっと硬い……かも……!
パサパサまではいかないが、繊維質が感じられるガシッとした食感。あと、味にかすかにマヨネーズの面影がある。
柔らかさ ★☆☆
しっとり感 ★☆☆
味 ★★☆
・片栗粉
惜しい。
まず、柔らかさはブライン液と良い勝負。もしかしたら僅差でこっちが勝つかもしれない。……が、やはり片栗粉なので、中身はともかく表面のザラっとした舌触りが少し気になる。このあとタレなどと絡めるなら良いと思う。
柔らかさ ★★★
しっとり感 ★★★
舌触り ★☆☆
・茹で
続いては「茹で」。
まずは余熱調理グループ。「一晩ブライン液に漬けた鶏むね肉」と「そのままの鶏むね肉」を丸ごと、それぞれ沸騰したお湯に入れる。識別のために、「そのまま」のほうに爪楊枝を刺しました。
で、「1分茹で→火を止めて一時間放置」。これで、余熱で火が通るらしい。
残る一枚の鶏むね肉は、一口大に切ってから片栗粉と塩胡椒をまぶす。沸騰したお湯で茹で、鶏肉が浮いてきたら冷水にとる。
茹で上がりはそれぞれこんな感じ。さて、いただきます。
・ブライン液
安定の柔らかさ、しっとりと きめ細かい。間違いなく優勝である。……が、「焼き」のときほど劇的な差ではないかな?とも思った。でも完璧。
柔らかさ ★★★
しっとり感 ★★★
味 ★★★
・余熱調理
ブライン液に比べれば歯ごたえはちょっと上がるが、不快なパサパサ感は全くない。歯切れ良く、ちょうどいい繊維感。この食感のほうが好きな人もいそう。
柔らかさ ★★☆
しっとり感 ★★★
味 ★★★
・片栗粉
……あれ?美味しいかも。
肉質は柔らかくてジューシー。片栗粉独特の舌触りだけが やはりちょっとネックだが、「焼き」の時ほど気にならない。上の二つとは別物だが、別種の料理として美味しい。
柔らかさ ★★★
しっとり感 ★★★
舌触り ★★☆
・総評
ブライン液が強すぎる。
今後は鶏むね肉を買ったら とりあえず砂糖と塩を水に溶いて漬け込んでおきゃ間違いない……と言いたくなるくらいである。特に「焼き」で あんなにもジューシーに仕上がるとは思ってもみなかった。
一方、意外に化けたのが片栗粉。表面の舌触りだけクリアすれば、柔らかさやしっとり感は上々。下ごしらえの時間もいらないので、今すぐ作りたい! というときに活躍しそうだ。
物価上昇の止まらない このご時世だからこそ、日々の食事は美味しく楽しく工夫したいもの。そんなに手間もかからないので、ぜひお試しあれ!
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.