『カンナムパスタ』なるものが新大久保で食べられるらしい。それは韓国でポピュラーなのか? 韓国でも『カンナムパスタ』と呼ばれているのか? ……疑問は尽きないが、調べてもよく分からなかったので、とりあえず行ってみることにした。

カンナムパスタが食べられるお店は、新大久保駅から徒歩30秒の好立地に建つ『駅前酒場』。10円パンを売る店の2階なので分かりやすい。果たしてカンナムパスタとは何なのか? 結論からいうとコレ……予想を凌駕してました。

・韓国っぽさ満点(たぶん)

韓国のローカル酒場を思わせる、ムードあふれる駅前酒場の店内。

まぁ実際に韓国のローカル酒場へ行ったことはないのだが……韓国っぽい気分に浸れることはうけあいである。たぶん。

取材に同行してくれたPouch編集部のあん すずちゃん。このとき店内に居合わせた客は全員韓国の方らしく、彼らの話す韓国語がますますいい感じのムードを演出していた。韓国旅行に来たみたいだね〜!

こちらがカンナムパスタのメニュー。情報過多すぎて立ち回りがムズイ。



・映えて仕方ない

長考のすえ、まず決めたのは『サムギョプサルキムチロゼパスタ』1380円(税込)。理由は看板メニューっぽい雰囲気だったのと、なんか名前がすごかったから。

なんて美しいお料理なのでしょう……なお「ロゼパスタ」とは韓国風トマトソースパスタのことで、ポイントはコチュジャンらしい。初めて聞いたし、もちろん食べたこともない。お箸を使うスタイルとは意外だ。

続いてチョイスしたのは『チュクミ & チーズ トマトパスタ』1380円(税込)。チュクミは韓国語でイイダコ、及びイイダコを辛いソースで炒めたもののこと。存在はギリ知っていたが、食べるのは初めてである。チーズの立ち位置がいかにも韓国料理って感じ!

ここですかさず女子会風の自撮りパシャー! 今日は一緒に2種類のカンナムパスタをシェアしちゃいたいと思いマス!



・ウマい! が、しかし

まずサムギョプサルキムチロゼパスタから。


ムムムッ! おいしい!!!


でも……何の味かと言われると、よく分からない??


「おいしいですけど、何の味か分かりませんねぇ」とあん すずちゃん。意見は完全に一致した。もし私が目隠しでこれを食べていたとすれば、おそらく「明太クリームパスタ」と答えたのではないかと思う。これがロゼパスタの味なのか……?

ただ、真ん中の赤いソースを混ぜたり、サムギョプサルをかじったり、目玉焼きを崩したりするうち、少しずつパスタの味が変化していくのは面白かった。味の説明が難しいけど、とってもおいしいもの……それがサムギョプサルキムチロゼパスタ。


・何が正解なのか?

つづくチュクミ & チーズ トマトパスタはさらに難易度が高い。

画像右側は、そのまま食べても十分おいしいトマトパスタ。で、左側がチュクミゾーンなのだが、この2つの赤いソース「同じ皿に乗せていいのか?」といらん心配をしてしまうほど味が違う。そして中間で防波堤の役目をしているチーズが、さらに事態をややこしくしている。

これは別々に食べればいいのか、それともかき混ぜて食べるべきなのか? もしくは一旦別々に食べて途中から混ぜる? で、チーズはいつ食べるの?? 様々な疑問が浮かんでは消え、けっきょく混ぜる勇気が出ないまま、我々はパスタを食べ終えてしまったのだった。

ちなみにチュクミは結構辛くて本場のキムチを彷彿とさせる。これとトマトソースとチーズを混ぜたら……う〜ん、想像がつかない。



・混ぜの美学

と、ここで私はふと、当編集部のサンジュン記者(在日韓国人)がいつか語ってくれた小話を思い出していた。

どういうシュチュエーションだったかは完全に忘れたのだが、たしか彼は「韓国料理は混ぜてからが本番だ」的なニュアンスのことを言っていた気がする。あの時は適当に聞き流してしまったけれど、どういう意味だったのだろう?


編集部へ戻った私はすぐさま、当時の発言の真意をサンジュン記者に問うてみた。すると……


サンジュン「ああ、その話ね。要するに韓国料理って “足し算の料理” なんだよ。その最たる例がビビンバだよね。最終的にはスプーンに全部の具材が乗るくらい、混ぜて、混ぜて、混ぜてから食べるのが基本。ちなみに俺クラスになると “5分混ぜて3分で食べる” って感じかな」


……とのことで、なるほど韓国料理とは、様々な味を混ぜ混ぜして楽しむものなのだ、という気づきを得ることができた。今回はうっかり混ぜずに食べ終えてしまったが、次に訪れた際は限界まで混ぜたいと思う。

なお、お店の方のご好意で頂いたフライドポテトは、個人的に「塩と粉砂糖とカスタードがまぶしてある」と感じたのだが、メニューには『チーズフライドポテト』と記載されており、とにもかくにも韓国料理の奥深さを感じるのだった。混ぜの美学を感じたい人は新大久保の『駅前酒場』へ! 


・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 駅前酒場
住所 新宿区百人町2-3-25 2F
時間 11:30〜23:30(ラストオーダー23:00)

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.