無添加にこだわった寿司と、食器回収システムをドキドキのゲームに昇華させてしまった「ビッくらポン!」で愛される「無添くら寿司」。

知らない人はいない身近な寿司チェーンだが、全国に6店しかない特別な店舗があるという。

「グローバル旗艦店」と名づけられたそれらの店舗は、江戸の大衆食文化であった寿司をジャパンカルチャーとして発信するミッションを持つ。4月にオープンしたばかりの「くら寿司 銀座」に行ってみた!


・江戸がイメージされた「くら寿司銀座」

グローバル旗艦店第6号があるのは、押しも押されもしない一等地・銀座。「マロニエゲート銀座2」の7階に位置する。

内装のテーマはジャパニーズモダン! 歌川広重の絵や迫力ある筆文字など日本的なモチーフがちりばめられ、既存店とはだいぶ雰囲気が違う。

通路を挟み、暖簾(のれん)で半個室のように仕切られたテーブル席がずらりと並ぶ。プライベート感があってよさそう!

カウンターにも暖簾がかかり、まるで板前さんと向かい合う日本料理店のよう。1席ずつ半透明のパーティションで区切られ、こちらも隣席を気にせずゆったり滞在できるようになっている。

しかしここは「くら寿司」。目の前にはちゃんと回転寿司レーンがあり、回っている寿司を取ったり、食べたいものを注文したりするのは既存店と同じ。お茶や醤油が各自のテーブルにセルフサービスでセットされているのも同様だ。では何が違うかというと……

グローバル旗艦店の本領は、単にジャパネスクな内装だけじゃない。最大の特徴は店舗限定メニューがあること! 「寿司」「天ぷら」「団子」の3つのカテゴリーから特別なメニューを注文できる。

注文はすべて多言語対応のタッチパネルから。送信してしばらく待つと、準備ができましたよ、とタッチパネルに表示される。



客は「くら小江戸」と呼ばれる広場まで料理を取りに行く。普段、回転寿司店で食事中に席を立つことなんてないから何だか新鮮な気持ちだ。

「くら小江戸」とは、客席とは別に設けられた屋台風のフード提供コーナー。

寿司が庶民のファストフードだった時代のように、屋台を模した3つのブースがある。明るい客席とは対照的に夜の雰囲気になっていて、柳の木、花火、提灯などの演出が時代劇のよう!

銭形平次、鬼平犯科帳、遠山の金さんなどいろいろあるが、屋台・柳・夜から筆者が連想するのは日本昔ばなしの「おいてけ堀」だ! 舞台は現代の錦糸町あたりだという。ひと安心と思ったら何度ものどんでん返し……現代ホラー映画も顔負けの恐怖のストーリー構造だ。

客は注文した料理をそれぞれのコーナーから受け取る。

着席したまますべてが完結する既存の回転寿司店と比べると面倒に感じられるかもしれないが、回転レーンを使う通常メニューだけで済ませることもできるし、何より料理を取りに行くことも含めてエンターテインメント!



こちらは「カステラ玉子焼き “ふわり”」(税込200円)。江戸時代の玉子焼きをイメージしたものだそうで、寿司の玉子とはまったく違う。伊達巻きのような見た目にカステラのような食感でおもしろい!

食べ終わったお皿は、もちろん「ビッくらポン!」の参加資格に。運試しなくして回転寿司なし、という人も安心して欲しい。

楽しくなってきて「くら小江戸」メニューをどんどんオーダー。嬉々として受け取りに通う。



これは銀座の名を冠した看板メニュー、その名も「特撰三貫 “銀座”」(税込1200円)!

本マグロの漬け・車エビ・スズキの三貫で、まるで高級寿司店のようなビジュアルだ。

回転寿司とは思えない、この艶やかな赤身! 美しすぎる。

車エビもデカい! 食べ応え抜群。

続いて天ぷらコーナーから「阿波の足赤海老天盛り」(税込1000円)。

徳島のアシアカエビだそうで、こちらも大きい!

ミソの風味が感じられるお頭はサクサクだ。

デザートとして団子コーナーから「みたらし」(税込150円)と「白あん」(税込200円)をオーダーした。これで寿司・天ぷら・団子、3つの屋台を制覇。

たっぷりのあんこの下、団子に焼き目がついているのがおわかりだろうか。この一手間が凝っている! 軟らかく、ほんのり香ばしくて美味だった。

そして会計は完全セルフ。「くら小江戸」での料理の受け渡しを除くと入店から退店まで非対面・非接触の店舗になっている。ものすごく合理的だし、スマートに飲食可能。かつて立ち食いだった江戸の寿司屋台らしく、タイパ抜群のシステムだ。



・食事がエンタメになる「サイトイーティング」

“観光” (Sightseeing)と “食事” (Eating)を掛け合わせた「サイトイーティング(SightEating)」を提唱するグローバル旗艦店。

インバウンドを意識しているのは明確だが、日本人にとってもめちゃ楽しい。割烹風の内装は落ち着きがあって居心地がいいし、参加・体験型の屋台コーナーは非日常のエンタメ感がある。

休日の外食がちょっと楽しくなるスポットだ。東京観光にもおすすめ!


・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 くら寿司 グローバル旗艦店 銀座

住所 東京都中央区銀座3-2-1 マロニエゲート銀座2 7F
休日 年中無休
時間 11:00~23:00(土日は10:20~)

執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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