ガチ中華とは、日本国内にいながら本格的な味が楽しめる中華料理店のこと。おそらく一番有名なのは、以前当サイトでもご紹介した『友誼商店』だろう。

筆者自身この店が好きで何度も訪問しているのだが、同時にこうも思っている。「怪しげなビルの中にあるし初めての人は怖くて行きにくいだろうなぁ」

そんな「ガチ中華に興味はあるけど行く勇気がない」方に超・超・超オススメのお店が、『小魏鴨脖(シャオウェイヤボー)』新大久保店だ。その理由は……

店舗が新しく明るくてきれい。おまけに駅前の一等地に建つガラス張りの店なのだ。

注文は日本語対応のタッチパネルで完結するので、スタッフとのやり取りは最小限。

そして提供されている合鴨肉は国産だし、運営会社である成富商事は日本の企業。そんでもって年中無休&24時間営業で、2024年4月時点で関東を中心に6店舗も展開されている。


この行きやすさと安心感、まさにガチ中華界のコンビニと言っても過言ではない。

まぁ 結局お客さんにもスタッフにも 日本人はほとんどおらず、店内で聞き慣れない言葉が飛び交っている点は他の店と同じなのだが……それでも最初の一歩の踏み出しやすさは段違いだと思うんだよね。


・簡単注文でガチ中華

ってことで、さっそくお店へ行ってみよう。

シャオウェイヤボーはJR新大久保駅から徒歩1分、大久保通り沿いにある。白い鳥のキャラクターを目印に探すとわかりやすいはずだ。


イートインは2階にあるので、店の左側の階段を上って入店しよう。


店内は “ガチ中華” という響きからは考えられないほど新しくてきれい。比較的新しいケンタッキーの店内を想像すると、近いイメージになるだろう。

スタッフはほとんど日本語を話せないようだが、問題はない。水とお手拭きとタブレットを持って来てもらえれば、あとは自席で完結する。



まずは名物の鴨肉から注文しよう。

部位ごとにわけられ、日本語の名称と写真が載っているためわかりやすい……が、正直 馴染みがなさすぎて どれが美味しいのか想像がつかない。


とりあえず、一番先頭に載っていたネックをチョイス。


せっかくなのでメインとなる麺も食べておきたい。

わかるようなわからないような 絶妙なニュアンスのメニューが並ぶ中、確実に口に合うであろうマーラータンをチョイス。


追加具材でカスタムできる点が面白い。

調子に乗ってたくさん選ぶとえらく高額な麺になってしまうので、2~3種類ぐらいを選ぶのが吉。筆者は牛肉、ハチノス、湯葉を追加した。


最後は「未知の食材にも挑戦しておこう」と、焼き面筋なるものを注文。

以上、合計2090円の注文なり!

日本語対応タブレットで簡単注文、そして明朗会計。初めてのガチ中華でも安心ってことが この時点で理解してもらえたんじゃないだろうか。

タブレットには時々よくわからない微妙な日本語も登場したが、その辺は異文化コミュニケーションってことで楽しむべし!



・“ガチ” の味で最高!

注文から僅か3分ほど、まず到着したのが鴨肉のネックと焼き面筋。


まずはわかりやすい方から食べてみよう、鴨ネック!

言われてみればちょうど鳥の首ぐらいの太さの肉塊が、ゴロゴロと15個ぐらい皿に載っている。

もっとグロテスクなものを覚悟していたが、香辛料の香りが漂ってめちゃくちゃ旨そうにしか見えない。これで600円はかなりお買い得に感じるな。


付属のビニール手袋でワイルドに行けってことなんだろう。


うおりゃぁぁっ!

…………。


あっ! うんまぃわ、コレ!!

八角のような独特でクセのある味と香りに塩味を加えたような味付け。鶏肉っていうより 豚フィレやジャーキーみたいな肉質で、柔らかく細長い繊維を骨から剥がすようにして食べるイメージだ。

肉自体に脂身は少ないのに ひとかみごとに旨味が出てきて、これは間違いなくビールに合うぞ!


意外だったのが辛さだ。

たっぷりとかけてあるオイルに辛み成分があるようで、後からじんわりと辛みが押し寄せて身体が熱くなってくる。


非常にクセになる味で、手が止まらなくなりあっという間に平らげてしまった。

骨は目の前のバケツに捨てるシステム。本場っぽくてなんだかテンションが上がるね。



続いては謎の食べ物、焼き面筋。

フランクフルトにぐるぐると切り込みを入れたような形で、魚の練り物のような質感に灰色がかったクリーム色。ラー油のようなソースがたっぷりとかけられている。


おそるおそる一口かじってみる。


なんだ、コレは?


まさか、食べてなお正体がわからないとは思わなかった。海のモノとも山のモノともつかぬブニブニとした食感の中に、うっすらと豆乳のような味がしないでもない。

……で、ソレにラー油をかけたようなイメージだ。

今「美味しくなさそうだな」と思った方、正解です。筆者はコレがあんまり好きじゃなかった。


後ほど調べたところによると 面筋とは小麦を原料とした麩で、中国では大人気なのだそう。

得体が知れなさ過ぎて美味しさを感じ取る余裕がなかったのだが、まぁ、こんな微妙な気分も未知の食材を食べる醍醐味であろう。


最後に運ばれてきたのはマーラータン。

一見すると真っ赤なのだが、ラー油のような油が浮いているだけで中のスープは白い。

白湯スープのような柔らかさを持ちながら火鍋のようなスパイシーさも感じられ、花椒の痺れもいいアクセントだ。


追加で頼んだ具材以外にもたっぷりと野菜や春雨が入っていて、1杯でお腹いっぱいになっちゃうほど豪華。

見た目によらずサッパリとした食べごたえがあり、中華とラーメン好きであれば口に合う日本人は多そうだ。



・お土産は揚げパンで決まり!

お腹いっぱいになって店を出たところ、1階のテイクアウトコーナーでなにやらパンのようなものを揚げているのが目に入った。


「麻花(マーファー)」という名前のパンだそうで、30cmほどもあるビッグサイズなのに価格は税込280円!

味は沖縄のサーターアンダギーみたいな感じ。素朴な甘さとホロホロとした食感にホッコリ、朝ご飯に牛乳と一緒に食べると美味しそうなパンでした。


──以上が筆者のシャオウェイヤボーでのレポートだ。

入店から退店の瞬間まで一瞬たりとも「この店大丈夫?」と不安になることなく、終始楽しく、気軽に食事を楽しむことができた。

安心と美味しさが両立してほどよく冒険もできるため、「ガチ中華に挑戦してみたいけど勇気が出ない」という方はこの店から挑戦してみてはいかがだろうか。

1品あたりの量がしっかりあるので、友達と一緒に来てシェアをするのもオススメだよ!



・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 小魏鴨脖(シャオウェイヤボー)新大久保店
住所 東京都新宿区百人町2−10−2 鳥一ビル
営業 年中無休、24時間営業

参考リンク:小魏鴨脖(シャオウェイヤボー)
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.

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