コミケのたびに、試してみたいと思っていることが2つあった。1つはコミケの献血だ。そしてもう1つが、カフェ・ベローチェ有明店に行くこと。

なかなか都合がつかずにいたが、ついに昨年末の冬コミで後者を果たすことができた。伝説的な「コミケの日のベローチェ」を体験できたのだ! 

・ベローチェ

コミケの日のベローチェ有明店は、普段のベローチェとは格が違う……というのは、コミケに参加するオタクの99%くらいが知っていそうな話。

この日のために集結した店長クラスの熟練スタッフによって運営され、圧倒的なオペレーションを見せるらしいと長らく語り継がれてきた。

40のおっさんの私が初めてコミケに参加したのは、まだ20代のヤングだった頃。コミケの日のベローチェ伝説は、当時ですら先輩コミケ参加者たちの間で常識だったと記憶している。

そしてこれは我々オタクが往々にして見がちな幻覚の類ではなく、様々なメディアによる公式への取材によって、真実だと確認されている。

いつか行こうと思っている間に20年近く過ぎてしまっていた。C103でも素早く帰宅してコスプレ記事の作成に取り掛かる予定だったのだが、ビッグサイト前の例の階段を下りたところで目に入ったのがこちら。


最初は「ベローチェ草、写真撮って#C103タグつけてXに投稿したろ」という感じだったのだが、カメラを向けたら見ての通りのノリの良さ。

これはベローチェ行って応えてやるのがスジってもんだよなぁ……となり、長らく興味があったこともまた事実なので、急遽行ってみることにしたのだ。



・待機列

そんなわけで、国際展示場駅ブースの待機列から逸れてベローチェへ。目に入ったのがこちら。うわぁ、めっちゃ並んでんじゃん


朝からずっとコミケで何らかの待機列に並び続けていたので、ここからワンモアセットは正直辛い。

しかし、店の前では「すぐご案内出来ます」的な空気で集客している。マジで言ってんの? そんだけ並んでるのに? おおん?

疑心暗鬼になりつつも並んでみると……7分後には店内でテーブルに着いていた。ガチですぐだったな!? 比村乳業かよ……!!

着席すると、スタッフから時刻を書いた紙を渡された。私は17時23分まで滞在可能とのこと。時間を限定することで回転率を確保しているようだ。


ちなみに時刻は16時22分を過ぎたところ。40分制らしいのだが、滞在制限は1時間後だった。



なお、待機列は店外の他に店内でも発生する。それはオーダーのための列だ。

外の入店待機列の解消速度には驚かされたが、オーダー待機列で待たされるなら結局は同じこと。どうかな……? 

そんなことを考えつつ、渡されたメニューを眺める私。コミケの日には通常メニューの他、コミケセットなるものがあった。


オーダー待機列はレジ前からぐるりと店内を一周しそうなくらいに伸びている。さすがにけっこうかかるだろう。


そう思っていたら、16時31分には会計が終わっていた。こっちもマジで速ぇ!!


ただし、この時点で手にしていたのは、すぐに提供可能なコーヒー、サンドイッチ、そしてケーキのみ。


パスタは後で呼ばれるスタイルで、完成までは5分だった。


つまり全てが揃ったのは16時36分。入店時に示された滞在制限は17時23分なので、上手いこと遊びのある40分制だ。

状況を見てフレキシブルに調整しているのだろうか? なんにせよ、入店してから時間が足りないということはまず起きなそう。



・ハンドサイン

ということで、終始無駄が無さ過ぎるオペレーションによるすさまじい速度が発揮されていたのだが、具体的にどういうシステムだったのか?

見えた範囲でのみ記していこう。まず特徴的だったのは、無言で素早く行われるハンドサインによる情報伝達だ!

私が入った時には、内部の入口の近くに1名、そこから中央の客席を囲むように2名のスタッフが、ほぼ固定で常駐していた。それぞれA、B、Cとする。


待機客が入り口まで来ると、まずAが無言で指で人数を表しながら、手をあげるのだ。


それをすかさずBとCが確認。それぞれの付近で空いているテーブルがあれば、やはり無言で素早くハンドサインでAに伝達。

客はBかCの誘導で素早く席に案内される。滞在制限時刻を書かれた紙も、この時に渡される仕組み。

BとCは客の移動ルートを妨げることのないよう常に店内の状況を把握し、空いたテーブルを素早く清掃するなども行っていた。

もちろん店の外にも何人かスタッフが配置されており、内外の状況は店員が移動しなくとも伝わっているようだった。

この配置と、阿吽の呼吸で行われる無言のハンドサインによる情報伝達が、コミケのベローチェのフロアにおける客捌きの要であるように見受けられた。

例えば、ここで声を張り上げて人数の伝達などしていたら、スタッフの体力的にも店内の雰囲気的にも良くないだろう。スタッフと客の両方にとって好ましい方法だと思われる。

また、レジのあるカウンター内部にも多数のスタッフが配置されていた。彼らが爆速でオーダーを捌いていたわけだが、私の席からは遠くて工夫などを見抜くことはできなかった。



以上が私がついに体験したコミケの日のベローチェだ! 噂通り、来客数に対する速度と快適度はぶっちぎっていた。

ぱっと見だとコミケの日のベローチェは常に待機列がすごい。恐らくそれを見て入店を止める人もいるだろう。

しかし彼らを侮ってはならない。マジで行列を処理する速度は爆速だ! 伝説は本当だった


参考リンク:カフェ・ベローチェ
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.



▼コミケセットの「揚げナスとベーコンの香ばし醤油セット」をチョイス。1000円。麺が太くてモチモチしたタイプで美味かった。

▼コミケ取材中は飲み物だけで、何も食わずに遂行される。サンドイッチも美味そうだったのでオーダー。280円。

▼美味そうだったので、「ホワイトチョコのショートケーキ」も頼んだ。450円。オレンジピューレが爽やかで美味い。甘さがコミケで疲労した肉体に染みわたる。