沖縄料理といえば、「沖縄そば」や「ゴーヤチャンプルー」、「ラフテー(豚の角煮)」などが思い浮かぶ。そして、それら料理の引き立て役である調味料の中で沖縄県民ゆかりのものといえば、代表格は「コーレーグース(島とうがらし)」だろう。

知らない人がいるかもしれないので一応説明すると、「コーレーグース」は沖縄産の島唐辛子を泡盛に1ヶ月ほど漬け込んで作る、液体の唐辛子のこと。泡盛を使用しているので、もちろんアルコールが入っている。

使われている泡盛は、どこにでも売られている一般的な銘柄が多い。しかし私(耕平)は先日、石垣島に訪問した際に “幻の泡盛” を使用した「コーレーグース」を発見してしまった! 

普通の「コーレーグース」と比べて、どんな味がするのか? 実際に沖縄料理屋に協力してもらい食べ比べてみたぞ! 果たして結果は……?

・幻の泡盛『泡波』

まず今回使用している “幻の泡盛” とは何か? を説明しよう。その泡盛とは『泡波』という銘柄だ。泡盛好きにはお馴染みだと思うが、日本最南端の有人島「波照間島」で作られている希少価値の高い銘柄として知られている。


私は波照間島に過去2回訪問したことがあるが、島内ではリーズナブルな価格で飲むことができる。しかし一旦、島から出荷された時点で値段が倍以上に高騰する。沖縄県内でも倍くらいの価格になり、東京都内の沖縄料理屋では提供している店自体が珍しい。

そしてメジャーな泡盛に比べて、とんでもない価格で提供されている。


そんな最高級路線の泡盛を使って作られる「コーレーグース」を、なぜ手に入れられたのか? 理由は、私が石垣島に行ったら必ず寄るお店『泡盛ゼリー本舗』で独自で作られていたからだ。


価格は税込で5500円。市販されていないため、日本国内でも手に入れられる機会は、ほぼ無いだろう。こんな珍しく、かつ高級な「コーレーグース」には二度と巡り合わない可能性が高いと思い、速攻で購入した。



・沖縄料理屋で食べ比べてみた

さて “幻の泡盛” と呼ばれている『泡波』を使った「コーレーグース」は、沖縄料理にどんな味変をもたらすのか? 確認すべく、千葉県の東京メトロ「行徳駅」から徒歩3分の距離にある、「沖縄居酒屋 オリオン食堂 行徳店」さんに協力してもらった。


沖縄の本格的な民謡ライブなどを堪能しながら沖縄料理を味わえるとして、地元に親しまれているお店だ。


今回は、このお店で作っている「コーレーグース」を使って、いろんな沖縄料理にかけて食べ比べすることにした。


その前に、少量をそのまま舌で舐めてみようと思う。


まずは、普通のコーレーグースから。


なるほど……辛いのは間違いないが、後味はスッキリしている。次に『泡波』を使ったコーレーグースを、そのまま口に運ぶと……。


おぉ……深みが感じられるぞ。私は『泡波』をかれこれ10回以上飲んでいるが、『泡波』自体は、どちらかといえばスッキリした飲み口。ただコーレーグースにするだけで深いのと同時に、普通のものより圧倒的に辛かった。



お次は定番の「沖縄そば」で試してみる。


普通のコーレーグースをかけて……


食べてみる。


まぁ、いつも食べ慣れている味。もう少し足してもいいのではないか? と思ったくらいだ。


そして『泡波』のコーレーグースをかけて、口に運んでみると……


おっ! こっちの方が断然味が変わった。普通に舐めた時に深みを感じられたが、沖縄料理に入れるとまた違った深みと辛味が味わえる。出汁だけ飲んでも、旨みがちゃんと出ている。



次に「ラフテー(豚の角煮)」で食べ比べてみよう。


個人的には、「ラフテー」にコーレーグースをかけて食べるのは初めて。まずは普通のコーレーグースをかけてみる。果たしてどんな味がするのか?


口に運んでみると……


あぁ……ちょっと多くかけ過ぎたかもしれない。コーレーグースに使われている泡盛の味が強く出てしまっていて、ラフテー本来の旨さを消してしまっている感じがした。


そして『泡波』のコーレーグースをかけてみる。


こちらも同じくらいの多めの量をかけて、口に運ぶ。すると……


おぉー! 深みと辛味が見事にラフテーとマッチしている。これに関しては、普通のコーレーグースと如実に差が出たと思う。



最後に「沖縄風味噌汁」で食べ比べてみよう。


「沖縄風味噌汁」自体、置いてある沖縄料理屋は少ない。私はこのお店の「沖縄風味噌汁」が大好きで、最後の締めに頼むことが多い。これにコーレーグースを入れるのも初めてだ。

それでは、普通のコーレーグースを入れてみよう。


果たして合うのか? ドキドキしながら口に運んでみると……


うーん、元々使っている泡盛の銘柄と合わないのか? 残念ながら味噌汁の味を消してしまっている感じがした。やはりこの組み合わせは合わないのか?

これは『泡波』のコーレーグースでも合わないかもしれない。と、ダメ元で投入してみる。


恐る恐る食べてみると……

なるほど。


ちゃんと味噌汁の味は残している。ただ少し辛味が勝ってしまっているので、量の調整次第で相性の良い調味料となる予感がした。



・コーレーグースは奥深い

今回は “幻の泡盛” 『泡波』を使ったコーレーグースとはどんなものか? を試してみたわけだが、コーレーグースは使用する泡盛で味が違ってくるのはもちろんのこと、漬ける時間でもそれぞれ味が変わってくる。ちなみにこのコーレーグースは『泡波』自体の製造年月日が2022年1月のものだ。


ということは、2年は経過していないと考えられる。今回協力してもらった「沖縄居酒屋 オリオン食堂 行徳店」の店主いわく、さらに年数が経つと辛味も取れてくるらしい。


なお検証終了後、家に置いてもなかなか使う機会がないので、このコーレーグースを「沖縄居酒屋 オリオン食堂 行徳店」に預けてきた。もしかしたら、この珍しいコーレーグースが味わえるかもしれないので、興味がある人はお店に訪問して、その違いを試してみてはいかがだろうか?


・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 沖縄居酒屋 オリオン食堂 行徳店
住所 千葉県市川市行徳駅前2-23-6
時間 17:00~0:00
定休日 なし

執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.
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