かつて “ラーメンの神様” と呼ばれた、故・山岸一雄さんが創業した「東池袋大勝軒」。残念ながら約8年前に山岸さんは亡くなられてしまったが、その味は多数のお弟子さんたちが紆余曲折がありながらも、現在まで全国各地で暖簾(のれん)分けされ、店舗展開されている。
私(耕平)も、大勝軒の味を受け継いだお店には何度となく訪問して、山岸さんの魂を引き継ぎつつも、お店ごとに出る個性を楽しんで味わっている。
そして今回、沖縄県の離島である石垣島に訪問した際に、日本最南端の『大勝軒』があるという情報を聞きつけた。果たして石垣島で食べる、大勝軒のつけ麺の実力とは?
・日本最南端の「大勝軒」
日本最南端にある「大勝軒」は『いしがき島・大勝軒』という店名で、石垣島のランドマーク「730交差点」にある「730 COURT」の裏手に店舗を構えている。
調べてみると、数ある大勝軒の中でも東京にある『お茶の水、大勝軒』の流れを汲んでいるらしい。
食券はタッチパネル式で、メニューは大きく「ラーメン」「つけ麺」「ご飯もの」と分かれている。特筆すべきは石垣島ならではの「石垣産和牛鉄板ステーキ」。大勝軒でステーキが食べられるという話は聞いたことがない。
ここはあえて「石垣産和牛鉄板ステーキ」……という誘惑に駆られたが、あくまで大勝軒と言えば「もりそば」、すなわち「つけ麺」である。
その中でも「いしがき島・大勝軒 スペシャルつけ麺(税込1550円)」を注文。
注文して待っている間、カウンターにあったメニューに目を通してみると……
いかにも石垣島らしい、まるで旅行のパンフレットのようなページが見開きにあって……
「沖縄に咲く花」などの豆知識みたいなものが掲載されている。
その間にお品書きが載っているのだが……
半分ガイドブックのようなメニューだった。これも石垣島ならではなのだろう。
・いざ実食!
待つこと約10分。日本最南端の大勝軒が作る「スペシャルつけ麺」が運ばれてきた。
のどごしが良さそうなツルツルの自家製麺と……
具だくさんのつけ汁が食欲を誘う。
さっそく、つけ汁を口に運んでみると……
なるほど……大勝軒本家の流れを組む、比較的あっさりめの風味の中に甘味が感じられる。ただ今まで食べた大勝軒系のつけ汁とは、少し違う印象を受けたが、個人的には好きな味だ。
そして、麺を一口。
おお……ツルツル感があり、コシもしっかりしている。この麺を石垣島で味わえるとは、嬉しさの反面、良い意味でちょっとした違和感もあった。そして個人的に特筆する点はメンマだ。
見た目は細身だが味付けがしっかりしていて、噛んだ瞬間に口の中にジュワっと旨みが拡がっていく。これだけ単品で商品化されていたら、速攻で購入するレベルだと思う。
次に煮卵を食べてみる。
こちらも普通に美味しいが、煮卵自体にオリジナル性は特に感じられなかった。が、しばらく食べ進め、つけ汁の底に箸を潜らせてみると、なにやら引っかかる感覚が。
そのまま持ち上げてみると……
チャーシューが出てきた!
しかも3枚。どうも「スペシャル」なのにチャーシューが見当たらないな……と思っていたら、底に潜んでいた。これも演出なのか? それともつけ汁を染み込ませるための工夫なのか?
そして麺も具も食べ終わり、つけ汁だけになった。
ここで「割スープ」を投入する。
適量を入れて……
口に入れてみると……
おっ? 今まで無かったピリッという辛味が出てきた。詳しい製法はわからないが、七味のような何かの香辛料が底に沈んでいたように考えられる。
・率直な感想
その後、完食したわけだが「石垣島で、この味を堪能できたのは素直に良かった」というのが率直な感想だ。
ちなみに石垣島の麺料理と言ったら「八重山そば」が一般的だ。なので、私自身今まで10回以上来島しているが「つけ麺風の八重山そば」は食べたことがあるものの、ガチのつけ麺は食べたことがなかった。
私は『お茶の水、大勝軒』に訪問したことがないため、味の比較は語ることはできないが、故・山岸一雄さんの味が日本最南端でも引き継がれているのか? 大勝軒ファンで石垣島に行く予定がある人は、ぜひ一度味わってみてはいかがだろうか?
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 いしがき島・大勝軒
住所 沖縄県石垣市大川5 NORTH COURT 1F
時間 11:30~23:00(新型コロナ対応のため現在は21:30ラストオーダー)
定休日 なし(台風などでの休みあり)
執筆:耕平
Photo:RocketNews24.