突然だが、「伸脚」はできるだろうか? 片脚を曲げて、もう片方の脚を伸ばす、準備運動でよく行われるストレッチのひとつだ。大抵の人はできるだろう。だが、曲げ脚の方のかかとを床につけたまま、深くできるだろうか?

私(佐藤)の所感で恐縮なのだが、大人の多くがかかとを床につけたまま、深く伸脚できない気がする。とくに長年立ち仕事に携わってきた人たちは苦手で、かかとが浮いてしまう。それはおそらく足首が硬いことが原因のひとつだ。

足首は柔らかい方がケガをしにくく、運動のパフォーマンスにも良い影響を期待できる。割とおろそかにされがちな足首のストレッチをいくつか紹介しよう。

・私も硬かった

私は普段、週3回ポールダンスの練習をしている。それもすでに5~6年続いており、実は今年の1月から初心者向けのレッスンクラスを受け持っている運動オンチでほとんど運動経験のない43歳のおっさんが、6年後にレッスンを始めるとは、自分自身、夢にも思わなかった。

そんな私も、始めた頃はカチカチの身体だった。今でもめちゃくちゃ柔らかいとは言えないけど、始めた頃とは比べものにならないほど、柔軟性は上がっている。

最初期の2017年頃は、片脚を伸ばして前屈すると、少し前に倒れるだけで脚裏が伸びなくてしびれるような痛さがあったのだが……。


今では平気。股関節も柔らかくなって、逆脚が余計に開いているくらいである。



・気づきにくい身体の変化

私が受け持っているのは初心者のクラスだ。体験レッスンで初めてポールダンスに挑戦するという方が多い。また世代も私と同世代、もしくは30~40代の方々がほとんどである。

ポールダンスは年齢を問わずに長く楽しめるものだと私自身実感しているので、その楽しみについてお伝えしている次第だ。


さて、レッスンを続けてきて、足首の硬い人が多いと実感している。普段身体を動かす機会の少ない人は、足・脚のケアがおろそかになりがちなのかもしれない。

その理由について、「痛みを伴わない身体の変化」は気づきにくいことが要因ではないかと考える。

例を挙げると、私の友人に長年立ち仕事に従事した影響で、足首をスムーズに動かせなくなった人がいる。

幸い、手でサポートすると動くのだが、足の筋肉を自発的に動かす感覚を忘れてしまっていた。

この人もまた足首が硬く、私と一緒にストレッチするまで、足首だけを動かす機会がほとんどなかったという。

身体は変化しているのに、そこに痛みや違和感がないものだから、彼は足首が硬くなっていることに気づかなかったのだ。

運動を怠っていたというよりも、身体が仕事に適応した結果、足首の動きが緩慢になってしまったのだろう。



・かかとを床につけたまま

ストレッチを紹介する前に、たしかめて頂きたい。まず両足のかかとをつけた状態で立って頂きたい。


そのまま膝を曲げて、腰を落とす


この時に、かかとは床についたままでいられるだろうか?


かかとが浮いてしまうのは、足首が硬いことが原因の1つと考えられる。かかとが浮いたとして、かかとを床に着けると後ろにひっくり返ってしまうとしたら、足首からふくらはぎにかけての筋肉(腱)が伸びていない証である。ストレッチをして伸ばしていこう。ただし即座に柔らかくなるわけではないので、その点、ご了承頂きたい。継続することで、次第に柔らかくなっていくので。



・カンタンなストレッチ

やることはシンプルだ。お風呂に入りながらでも、実践して頂きたい。まずは足をほぐす。両手で足裏を揉み、ついでに足の指の1本1本をぐるぐると回してやる。


続いて、足の甲を握りこぶしでこする。足の指と指の間に拳をこすりつけるような感じで。それから、くるぶし部分も両手で挟んでグリグリとやろう。自分の手が「マッサージガン」になったつもりで、グリグリ刺激してやる。


それから足指を握って「グー」にする。


続けて、足指を開いて「パー」にする。これを交互に2~3回やる。


足首をゆっくりとグルグル回す。右回り・左回り、それぞれ5回ずつくらい。


最後にふくらはぎ・腿裏をもみほぐす


ストレッチというと、肩こり・腰痛に関連するトピックが注目されることが多い。また、180度開脚などをゴールに考えて、脚を開くことに特化したストレッチを実践している人もいるだろう。

足・足首は意外と見落とされることが多いので、隙間時間にでも試して頂きたい。運動しない人でも、これをやるだけで転倒予防になるはず。これから寒くなると、冷えと共に身体が強張ってしまうので、暇つぶしにでも実践していただきたい。


執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24