私(佐藤)が上京してまもなく20年を迎える。まさかこんなに東京に長くいることになるとは思わなかった。30歳で上京した当初は、電車生活が耐えられなくて1年で帰るつもりだったのに。50歳を目前にしたいまだにいることになるとは。人生とはわからんもんだ……。
それはさておき、20年も生活を続けているのに、いまだに地名・駅名を勘違いすることがある。もっとも間違うのは「新橋」と「神田」だ。この2つの地名・駅名を頻繁に混同してしまう。なぜだ? なぜ間違える。私だけなのだろうか?
・なぜ新橋と神田を間違うのか?
「名前が全然違うから間違うわけないでしょ?」 そう思われるかもしれない。私もそう思う、間違うはずがない。……のに、間違える。改めてそれぞれを確認しよう。
新橋(および新橋駅)、日比谷口を出るとSL広場があり、ニュー新橋ビルには古くから営業を続ける老舗飲食店が数多く存在している。銀座からでも歩いて来れる距離にあり、都内でも私の好きな街の1つだ。今まで何度となく足を運んでいる。
漢字なら「新橋」、ひらがななら「しんばし」。アルファベットで「SHIMBASHI」と書く。
神田(および神田駅)、北に向かって神田川を渡れば秋葉原。南に行けば東京駅。飲食店が多く立ち並び、東京メトロ銀座線にもアクセスしやすい。都内でも私の好きな街の1つだ。今まで何度となく足を運んでいる。
漢字なら「神田」、ひらがななら「かんだ」。アルファベットで「KANDA」と書く。
似てない! 全然似てないはずなのに混同してしまう。たとえば新橋を目指して出かけるときに、中央線に乗り込んで「これ1本で着くな」と思い込んでしまい、神田にたどり着くことがよくある。新橋は中央線の停車駅ではないのに、なぜか「新橋に着く」と思ってしまうのだ。逆もまたしかり。神田を目指して新橋に向かうこともある。
なぜだ!? なぜ2つの駅が混ざってしまうのか? その理由を私なりに考えてみた。
その1.地理
第1の理由に、地理的な要素が挙げられる。東京駅に対して北側にあるのが神田で、南側にあるのが新橋である。神田駅は東京駅の1つ隣で、新橋駅は有楽町駅を挟んだ東京駅の2つ隣。
北と南ではあるけど、いずれも東京駅に近いことが混同の要因のひとつと考える。
その2.イメージ
第2に、2つの土地のイメージは近しいと感じている。どちらも「サラリーマン(ビジネスマン)の街」と言われている。実際にビジネス街であり、安い居酒屋がひしめき合っている。どちらかといえば、男性向けのお店が多い印象もある。
イメージの近さが混同の要因にもなっていると考える。
その3.実はほかの駅とも間違えている
正直に告白すると、新橋と神田だけ間違えているのではなく、本当は「神保町」とも間違えてしまう。3つの地理と地名が交錯していて、自分がどこに行こうとしているのか、わからなくなることさえあるのだ。つまり、私はまったく東京の地理を把握していない可能性も拭い去れない。
その4.東京に駅が多すぎる
先の3番と関連することなのだが、そもそも東京には路線が多すぎる、駅が多すぎるのだ。振り返れば、私は島根県(松江市)の出身で電車に乗る習慣がなかった。それが30歳で上京してきたので、なかなか覚えることができなかった。上京1年で帰省しようとしたのは、電車疲れも理由のひとつだ。
いまだに路線と駅を覚えきれない始末。いつか完ぺきに把握できる日は来るのか……。
どうやったら私は間違うことなく、新橋と神田にたどり着くことができるのだろうか? ひょっとすると、どちらを目指すときでも、一旦東京駅に向かって行った方が良いかもしれない。そうすれば、「北は神田、南は新橋」と確認できる気がする。
とにかく、もうすぐ上京20年。そろそろこの問題を克服できることを願っている。やはり新橋と神田を混同するのは、私だけなのだろうか……。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24