普通であることはなかなかに難しい。そもそも普通の基準は人によって異なるに違いないが、しいて言えば大多数が納得する平均値のようなものだろうか。
何故そんな話をするかというと、レトルト商品『近鉄カレー(名張編)』のパッケージにデカデカと「味は普通の美味しさ」と書かれているからだ。そんなに強調するほどの普通って一体……?
・パッケージに目を引かれる
『近鉄カレー(名張編)』は、三重県の名張列車区にある社員食堂で店主が作る名物カレーを再現したレトルト商品とのこと。食堂は名張駅裏にあるといい、中でもカレーは人気メニューのようだ。
記者は近鉄大阪難波駅のお土産コーナーで見つけたのだが、税込700円だった。なによりも目を引くのは、冒頭に書いた通りパッケージだ。
近鉄職員と思しき男性が涙を流しており、その背景には「食べている 食堂カレー 誰が食べるねん! しかし俺は食う! 味は普通の美味しさ 近鉄カレー」と書かれている。
きっとこの男性は社食のカレーが大好きなのだろう。販売したところで誰にも食べられないかもしれないがそれでも俺は食うぜ、という意気込みが感じられる。
泣くほど美味しいのか、それとも涙が出るほど普通なのかは定かでない。
なにも知らない身としては置いてけぼりにされる感じは否めないが、熱量だけは伝わってくる。そしてそこまでカレーに対してアツい気持ちを持っていながらも、普通を強調することへの違和感。
トンガった味でなくても、寄り添うような普通さが一番なんやでということだろうか。考えてもわからないので、食べてみることにした。
・お家ジャワカレーと比較
せっかくなので自分で作った日本のカレーとも比較しようと、ジャワカレーのルーを買ってきてお家カレーを用意。表記通りに作ったので、まあまあ一般的なカレーに仕上がっているはずだ。
近鉄カレーは湯せんで温め、できあがり。レトルトカレーはお手軽で本当に便利だな。そんなことを考えながら皿に白米をついで、それぞれのルーをかける。
見た目の色がまず随分違うのだが、具は概ね一緒。それでは、いただきます!
先に自分で作ったジャワカレーを食べてみる。辛口にしたためピリッとしていることを除けば、ものすごく当り障りがない味だ。こういうのを普通というのではと思いつつ、近鉄カレーを口に入れる。
なるほどこれは……確かに普通だな。辛すぎず甘すぎず、とても食べやすい。具材がやや大きめであるところを普通と表現して良いものか迷う所ではあるが、味はとっても普通に美味しい。
もう一度ジャワカレーを食べてみると、近鉄カレーよりはバシッと味がキマッていて特徴があるようにも思えた。常日ごろ食べるには、近鉄カレーくらいクセがない方が飽きが来ずに食べやすいかもしれない。
とにもかくにも「近鉄カレー(名張編)」は、パッケージの文句に偽りなしの商品であることを確認できた次第。お土産にも良いが自分のために買って、なんでもない日に食べたい味であるような気もしている。
参考リンク:近鉄カレー(名張編)
執筆:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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▼普通の日に食べたい普通の美味しさ近鉄カレー