なんでも広島にやべぇ美術館ができたらしい。下瀬美術館といい、2023年3月に開館したばかりだそう。雛人形などの工芸品や、エミール・ガレを中心とするガラス作品、そしてピサロやルノワール等の油絵などを収蔵しているという。
HPを見ると、鮮やかな着物のお雛様やガレのピンクでハートの作品の写真が掲載されていた。あらまあ、おかわいいですわ。美術館の方向性はコレクションにも出てくるものだが、そうやべぇことはしないように見える。
いったいどの辺がやべぇのだろうか? とりあえず見に行った結果……ヒュー、こいつはキてるぜ! マジで未来に生きてんな!!
・大竹
広島の美術館といえば、かつて見た「ひろしま美術館」のナイトミュージアムはガチに革新的だった。今は印象派版をやってるらしい。
あちらは広島の中心部にあったが、今回の下瀬美術館は大竹市にあるそう。なるほど……大竹市ってどこよ? 他の観光スポットから遠いんか?
Google Mapで見ると、嚴島神社でお馴染みの宮島口から電車で10分の玖波(くば)駅か、その隣の大竹駅が最寄りで、どちらの駅からもバスで10分程度とのこと。
ということで、広島県の提供で下瀬美術館に到着。連日の猛暑で植物たちがしんどそうだったが、ガラス張り(外側は鏡のように高反射仕様だが、ガラスだ)の建物が緑に囲まれている様子はクールだ!
9月24日まではガレがメインで、一般は1800円、高校・大学生は900円で、中学生以下は無料とのこと。団体や市民割引もあるもよう。
フロント部分だけでなく、外壁のけっこうな割合がガラス張り。グルっと外側をまわってみたが、周囲の木々や山、空を映して景色に溶け込み、光学迷彩みたいになっている。ハイカラだ。
入口付近に書かれている開館時間などはこんな感じ。
・アート的
外はこのくらいにして、中に入ってみよう。
ふぉぉぉおおおおおおおお!! エントランスホール的な場所だと思うが、なんかイイ感じの空間だ。ここだけでも結構な広さ。窓の向こうには海と島々が見える。ホールだけでなく、廊下もセンスを感じる造り。広島の新たな映えスポット間違いなし!!
こんな感じでエントランスと廊下は採光性が極まってキラッキラだが、展示棟はちゃんと窓のない造りになっている。エントランスや廊下と同じ建物内にある企画展示棟はこんな感じ。
様々なガレの作品が展示中だった。特に興味深かったのは木製の家具のコーナー。ガラス細工専門の人だと思っていたぜ……!
・浮かんで動く
ヤバいのはこの企画展示棟ではない。その隣にある可動展示室なるエリアだ……! 先ほどの廊下でも、窓の向こうにチラっと見えていたパステルカラーのコンテナのようなヤツである。
こいつが、その名の通り動くらしいのだ。そう言われてもピンと来ないが、館内の壁に仕組みが書かれていた。
簡単に言えば、ポンプで水を増やすと、展示棟が浮かんで動かせるもよう。普段はピンで固定されており、それぞれの箱はブリッジでつなげられているのだという。
ふぁー、上手いこと考えたものだ。配置のパターンもいくつかあるようで、その時々で変わるらしい。どのような配置かは、行った時のお楽しみということか。
ちなみにメインの建物の屋上は展望テラスとなっており、瀬戸内海をバックにこの可動展示室を見下ろすことができる。実は夜にチラっと遠くから見えたのだが、可動展示室がライトアップされて、いい感じだった。
仕組みや外からのビジュアルはトガっているが、内部はわりと普通の美術館っぽい感じになっている。
ということで、広島県大竹市に誕生した新たなスポット、下瀬美術館。建物そのものにアート感があり、敷地に入った瞬間から美術鑑賞が始まっているような興味深い体験だった。美術館にはそういう戦い方もあるのか……。
広島の観光と言えば中心部の原爆ドームや廿日市市の嚴島神社がメインで、隣接するその他の市はぶっちゃけ呉しか意識したことが無かったが、大竹市の下瀬美術館は要チェックだ!
参考リンク:下瀬美術館、広島県観光サイト「Dive! Hiroshima」
執筆&写真:江川資具
提供写真:広島県
ScreenShot:GoogleMap
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▼グッズもなんかイイ感じ。このガラスのヤツはちょっと欲しかったが入荷待ちだった。
▼庭もある。「エミール・ガレの庭」。