つい先日、群馬県前橋市の商店街付近をウロウロしていたところ、なんともノスタルジックなカツ丼屋が目にとまった。年季の入った看板には「大正4年創業 秘伝のたれ」などと書かれている。
大正4年(1915年)といえば……たしか、漫画『鬼滅の刃』の中で炭治郎たちが鬼と戦っていた頃ではないだろうか。そんな時代からソースカツ丼を提供しつづけているとは驚きだ。店先の雰囲気や看板のキャッチフレーズに惹かれた筆者は、ここ「西洋亭 市」で昼食をとることにした。
・店内外のギャップがすごい
いざ入店……井上陽水氏の名曲『少年時代』がいまにも流れてきそうな佇まい。
店内は意外とモダンなデザイン。ウッディーで落ち着いた空間が広がっている。ジャズが静かに流れていたり本がたくさん並べられていたり、カツ丼屋というよりはオシャレなカフェみたいだ。
・ワンコインでソースカツ丼とドリンクバーが楽しめる
どこでも好きな席に座ってOKとのことだったので、アロエなどの多肉植物に囲まれた窓際を選択。店全体に漂う “ジブリ感” が心地よい。さっそくメニューをチェックしてみよう。
ラインナップはシンプルにソースカツ丼とカツカレーのみ。カツは1枚から3枚まで指定可能だ。今回は試しに『ソースカツ丼 1枚(税込490円)』を注文。ワンコインでお釣りがくるのはうれしいところ。しかも “ドリンクバー(お茶やコーヒー)つき” である。
あたたかみのある手作りドリンクコーナー。コーヒー(ホット&アイス)やウーロン茶などがあり、どれを飲んでもおかわり自由だそうだ。ほうじ茶を注ぎ、席に戻ってひと息ついていると……
頼んでおいたソースカツ丼が運ばれてきた。わりとカジュアルに盛りつけられていて、一般的なソースカツ丼とは少し趣(おもむき)が異なるように見える。
結構驚いたのがカツの厚みだ。すぐに食べ終えてしまいそうなほど薄くて小ぶり。おそらくは創業当時からこのカタチをキープしているのだろう。実に興味深い。
ひと口かじってみると、あまじょっぱいソースの香りがフワリと鼻腔をくすぐってくる。サクサクな衣に濃厚ダレがよく染み込んでいてウマい。肉をガッツリ食らうというよりは、衣のクリスピーな食感や100年継ぎ足されたソースを楽しむのがポイントかと思う。
食後はドリンクバーのホットコーヒーを飲みながらリラックス。カフェのようにまったりできるカツ丼屋もなかなかオツなもの。ついつい長居してしまいそうになる。
レトロかつモダンな雰囲気を醸し出す「西洋亭 市」。大正初期から作りつづけているソースカツ丼は風味と食感が格別であった。食べ終わったあとは、のんびりとお茶を楽しめるところも最高である。読者のみなさんも機会があればぜひ足を運んでみてほしい。
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 西洋亭 市
住所 群馬県前橋市千代田町2-12-12
時間 11:30〜14:30(L.O.14:00)
休日 日曜日・月曜日
参考リンク:Instagram @arigato0225
執筆:古沢崇道
Photo:RocketNews24.
▼さまざまなジャンルの書籍が並べられている。ドリンク片手に読書を楽しむのもいいだろう
▼お店の入り口にある水槽では、金魚と亀が仲良く暮らしている
▼店内奥にはソファー席もあるぞ