で、ここはどこなんです? なんかわけわからん路地裏に来てますけれど……。

鈴木亮平さんのCMで話題の「いざいざ奈良」。今回は春日大社・高畑エリアのスゴさを伝えたいということで、JR東海に奈良を案内してもらっている。予定ではこれから春日大社に行くはずだ。

しかし今いるのは、Google Mapにすらスルーされた道。いやどこやねんマジで。

・路地裏

この辺では定番スポットであろう志賀直哉の旧居を見た後、私はすぐ近くの路地裏に案内されていた。


そこにあるのはフェンス&森。トップの画像の場所だ。パッと見た感じでは、進んでもろくなことにならなそうというか、ぶっちゃけ入ったらダメそうな雰囲気が出ている。

あと下り勾配がヤバい。この日はけっこう強い雨が降っており、足元のコンディションがよろしくない。

これが今期のJR東海おススメな春日大社入りのルートってマジですか? ヤバいっすね。と、冗談のつもりで言ったのだが、JR東海はマジだという

野山を駆ける奈良の鹿の気分を味わおうとか、そういうアレか? 奇をてらいすぎて失敗するパターンでは? そんなことを考えながら坂を下り、森の中に入っていくと春日大社の方が待っていた。

オフィシャルの案内! つまりこのルートはJR東海の暴走ではなく、ガチだということか。


・禰宜道

この道は「下の禰宜道」というらしい。他に「上の禰宜道」「中の禰宜道」もあるそうだが、「下の禰宜道」が1番ワイルドで、観光客もあまり来ないとか。


私は人生初の春日大社だったため、前日の深夜に下見をした。観光のPRということで、一之鳥居から表参道を通って本殿まで向かうものと思っていたが、これは予想外だ。


春日大社の方によると、志賀直哉の旧居などがある高畑は、昔から神職の居住エリアだったそう。

「下の禰宜道」は、彼らが家から職場である春日大社まで出勤するのに使われていたのだという。実態としては春日大社の伝統的な通用路のようなものか。

表参道などのように舗装はされておらず、両サイドは入山禁止。


いざ歩いてみると中々に趣がある。かなり荒々しい感じの森が広がっており、観光スポット的な雰囲気が無いところがグッド!


苔も厚い。この日は雨だったということもあり、特に活き活きしている。雨の日に来られたというのは、実のところ良かったのかもしれない。


周辺はマジでずっとこんな感じ。その辺の山の遊歩道とはワイルド感がダンチ……! 春日大社周辺の森は神域なので、伐採などはされていないのだ。


ときおり白い花が目に入る。これはアセビ。有毒なので鹿は食べられないらしい。近隣の家でも庭に植えて鹿対策としている所も多いとか。


そして、CMにも出てきた大木のそばまでやってきてフィニッシュ。二之鳥居のすぐそばだ。ちなみにここまで他の観光客や鹿の姿はなかった。


雨だから少ないのかと思っていたが、全くそんなことはなく、観光客や鹿たちの大半は参道沿いから逸れないもよう。


そこから先は、天気など関係なく凄まじい混雑具合だった。人気の「藤まもり」も授与が始まっており、どこもかしこも大盛況。これが天下の春日大社かと。


・渋い

参道や本殿周辺がそれだけ混んでいても、「下の禰宜道」は圧倒的な静寂を保っていた。メインストリームから外れたコアなルートと言って間違いなさそうだ。

これは渋い。渋すぎる。ウォォォオオオオオ! って感じの盛り上がりはない。しかし奈良、そして春日大社という場所を好んで観光するタイプの層にとっては、なかなか好ましく感じられるのではなかろうか。

すでに春日大社に訪れたことがある人は多いだろう。しかし、このルートはスルーしていたという方もまた、多いのではなかろうか。

春日大社だけでなく、周辺の高畑エリアもあわせて、「いざいざ奈良」のCMで鈴木亮平さんが巡っていた通りの順序で散策するのも良いだろう。ぜひ試してみてくれ!

参考リンク:いざいざ奈良春日大社
執筆&写真:江川資具
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▼CM


▼鈴木亮平さんが巡っていたルートも紹介しておこう。春日大社をスタートし、「下の禰宜道」を通って


志賀直哉の旧居へ。本記事で私が廻ったのとは逆の順序だ。稼げども自業自得な理由で金欠になったエピソードを持つ文豪はそこそこいるが、志賀直哉の資産力はダンチ。すげぇ金持ちだったんだなぁと。


志賀直哉の家の隣の「たかばたけ茶論」でチーズケーキを食べ


奈良ホテルに帰っている。


▼抱き合うオスとメスの鹿が彫られた石灯籠。この灯篭だけらしい。


国宝殿は入った方が良い。たった500円で色々見られる。「金鶴及銀樹枝」とか初めて生で見た。


▼灯篭。1千ほどあるらしい。


▼今年は異例の速度で藤の花が咲きつつあるそう。この記事が公開される時にはとっくに咲いているか、散ってるまでありえる。


▼藤の様子は連日公式Twitterに投稿されている。

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