東南アジアの秘境ことラオスを訪れた私は現地の食べ物に飽き、無性に日本食が食べたくなっていた。最近はおいしい日本食が安く食べられる国も多いが、ここラオスは……なんというか、あまり期待できなさそうな空気が漂っている。

ところが!!! Googleマップで「Japanese Food」と検索したところ、なんと近くに『スシロー』があるっぽいのだ! まさかスシローがラオスに進出しているとは予想外だった。さっそく私はレンタルバイクを転がし、一路スシローへ向かったのである。

・本当にスシローか?

言い忘れたが、ここはラオスの首都ビエンチャン。ビエンチャン中心部からスシローまで徒歩だと1時間ほどかかる。かといって “流しのタクシー” という概念はほぼ無いので、スマホで道を確認しつつ、ゆ〜っくりバイクを走らせるのがオススメだ。


そして、あまりにノドカな郊外に……



確かにスシローは、あった。


1階の収容人数は40人ほどだろうか。日本のスシローとは少し雰囲気が違う気もしなくない(そもそも回転寿司ですらない)が、それでもここは間違いなくスシローなのである。なぜなら看板に「スシロー」と書いてあるのだから。

かなり高級そうな雰囲気が漂うラオスのスシロー。こいつは期待できそうだ。


・でも痛恨のミス


が、しかし……! 「うまい寿司が食える」とワクワクしながらメニューを開いたところ……


『刺身の盛り合わせ』が100万キープ超え(約8000円)!!?


高い……! いくら海外だからって、とてもスシローとは思えぬ価格設定である。それより問題は、私の現金の持ち合わせが全然足りないこと。これほどの高級店とは予想しておらず、サイフに2000円ほどしか入っていないのだ。は、恥ずかし〜〜〜!!

残念ながらラオスのスシローはカード決済不可。近くにATMや両替所も見当たらず、私に残された道は手持ちの2000円でやりくりすることだけだった。最も安い寿司が1貫で2万9000キープ(約224円)。お腹いっぱい食べるのは難しいかもしれない。


・精いっぱいの6貫

金が無いことをお店の人に悟られまいと、まず私は涼しい顔でドリンクとミソスープをオーダーした。しめて5万キープ(約367円)。

ややあって厳かに運ばれてきたミソスープは、意外にも「海外でこれほど完璧なミソスープを飲んだのは初めてかも」ってほどウマかった。そして……

この階段みたいなヤツが、私が悩んだ末にオーダーした『Sushi Mori Set』である! 価格は18万5000キープ(約1430円)なので、これをもって私の手持ちは底をついたワケだ。悔しいけれど、このセットを全力で味わうしかない。

まず大本命のサーモン。ネタは悪くない…………が、シャリに関しては厳しいことを言わざるをえない。

まず酢の味がほぼ無い。ところどころ米が固まっている。そして寿司にしては水分が多すぎる。そんなヤワヤワなシャリをギュッ! と力強く握っているものだから、もはや寿司というより『おはぎ』みたいなのだ。まぁ全然食えるが、ネタは新鮮なだけに惜しまれるところ。

この日食べた中で一番おいしかったのは、とってもジューシーなこちらのネタ。おそらく『えんがわ』じゃないかと思うが定かではない。

なお2階を見学させてもらうと、そこにはバーカウンター付きの超リッチな空間が広がっていた。きっと接待などで利用されるのだろう。

日本のスシローとは明らかに様子が違ったラオスのスシロー。少し厳しいことも書いたが、旅行者の日本食欲を満たすだけの実力は十分に備える名店であった。ご利用の際は現金を多めに用意しておくのが望ましい。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.