遠かった! すかいらーくが2023年1月にオープンさせた新業態のお店「八郎そば」は都内から遠かった! 電車と徒歩で片道2時間、ようやくお店にたどり着いたぞ~!!
そこで見たものは……そばチェーン・やよい軒・かつやへの挑戦姿勢だった。こりゃ、和食系外食チェーンは戦国時代に突入するかもしれないぞ~。
・すかいらーくの新業態
八郎そばは2023年1月18日、埼玉県白岡市に1号店がオープンしている。同社のニュースリリースによると、
「コロナ禍を経て外食の利用動機が変化する中、“今日は旨いめしを腹いっぱい食べたい“ をコンセプトに、日常の食を応援する業態として開発いたしました」
……とのこと。そばと肉めしをメインにした和食レストランと考えてよさそうだ。お店の情報は開店前からキャッチしていたのだが、なにぶん遠いのでなかなか訪問できずにいた。
待っていてもいたずらに時が過ぎるだけ。行くしかねえだろ! ってことで、電車を乗り継いで新白岡駅まで来た。ここまで約1時間半。
ここからが大変だったんだよ。タクシーに乗れば10分程度で着くはずだったんだけど、駅前にタクシーねえええ!
配車アプリを使えば良かったかもしれないけど、歩く決心をした。徒歩で36分かあ……。まあ歩くの嫌いじゃないから、歌でも歌って行きますか~! あ~る~こ~♪ あ~る~こ~♪
駅近くのセブンでタクシー発見! でももう歩く気満々だったので、華麗にスルーした。運転手さん、休憩中だったら悪いもんね。
・あ~る~こ~♪
のどかな春の景色。あの遠くに見えている高架は東北新幹線だ。時々ビューン! と、エメラルドグリーンの車両がすごい速さで走り去っていく。カッコいいなあ、どこか遠くに行きたいな~。
わ! たんぽぽだ~!! すごいたくさん咲いてるぞ~!
ふわふわの綿毛~! フーってやりたいけど、私のようなおっさんの息で飛ばされる種を思うと気の毒だったのでやめておいた。
春だね~、ふふふ。
少し歩くと小さな川の土手に出た。すご~い! 菜の花!! キレイだな~。
はあ~、春だね~。ウキウキしちゃうな~。
途中で見かけたパチンコ屋の屋根にゴリラの親子がいた。まるで私に手を振ってくれてるみたいだ。お~い! これから八郎そばに行くぞ~! 一緒に行こうぜ~~!!
……そうやって気を紛らわしながらトボトボ歩き、ようやく着いた。遠かったぞ、八郎よ。
・守備範囲広すぎ
開店からまだ3カ月しか経っていないからか、店内はめちゃくちゃキレイ。昼時だが幸い席に空きがあったので、スムーズに入店できた。メニューを見ると、最初のページに名物の肉めしがドーン! と出ている。
肉めしといえば、「かつや」の運営元アークランドサービスホールディングス株式会社の「肉めし 岡もと」が思い出される。
アークランドは以前「岡むら屋」の名前で都内5店舗を運営していたものの、2021年11月に全店閉店。昨年8月に「岡もと」の名で復活している。アークランドが手をこまねいているうちに、すかいらーくが肉めしを始めてしまったのだ。
次のページにはそばと丼のセットメニュー。
肉めしが名物ではあるけど、そばのラインアップも揃えている。ちなみに、かけそばは税込600円。ほかにも、「から好し」でも提供しているつけそばなどがある。
まだあるぞ、「鉄板焼肉」もあるし……
「オリエン豚ライス」なんてのもある。株式会社アントワークスの「伝説のすた丼」のスタイルも意識している気がする。
写真での紹介は省くが、このほかにも信州のご当地グルメ山賊焼きをイメージした「山賊めし」や、宮崎名物の「チキン南蛮定食」もある。焼き魚こそないけど、定食もしっかりしているので、「やよい軒」とも方向性が被りそう。とにかく網羅しているメニューの範囲が広すぎる欲張りな店なんだよな。
・肉めしとせいろそば
気になる品はたくさんあるけど、やっぱり名物と謳(うた)うものを食わない訳にはいかない。肉めしマシマシとせいろそばのセット(税込1700円)を注文した。
肉めしは色がかなり濃い。昔の岡むら屋を彷彿させる色合いである。
現在の岡もとの肉めしと比べると、まったく別物。参考までに、八郎の肉めしは通常サイズ税込1000円、岡もとの肉めしは通常サイズ税込759円となっている。
牛すじやみすじを店舗でじっくりと煮込んだその味は、見た目通りに濃い。時間をかけて調理しているようで肉はホロホロで食べやすいんだけど、注文時に「つゆだく」を選べるとありがたいなあ。
そばはまず器のデカさに驚いた。つるとんたんみたいな洗面器級にデカい器である。そばの量が少なく見えるけど、あくまで器がデカいんです、ええ。
自家製の生(なま)そばで、風味がよくて歯ざわりもしっかりしている。つゆには木枯れ節・利尻昆布・焼きあごを使っているようで、旨味が利いている。
・片付けはフードコート式
総じて、品数が多くてボリュームもあって、味もしっかりしている。少し単価は高いけど、選べる品数の多さだけでも十分魅力的だと感じた。
それもさることながら、個人的に「これいいな!」と思ったのは、客自らが食器を返却台に持って行く「フードコート方式」を採用している点だ。
このお店も、すかいらーくですっかりお馴染みになった配膳ロボットを導入している。片付けの手間を減らすために、客に食器を運んでもらうのは良い取り組みだと思う。
少し面倒かな? と思ったけど、フードコートだと思えば全然気にならない。実際利用客はみんな自分で片づけていた。外食チェーンは全部これでいいかもなと思ったくらいだ。
いずれにしても、すかいらーくはここでさまざまな試みを実践している。将来、ここで得た経験を他の店舗にどう生かすのだろうか? コロナ明けで外食チェーンは競争が激化していきそうな予感がするぞ……。
・今回訪問した店舗の情報
店名 八郎そば 白岡店
住所 埼玉県白岡市野牛1-1
時間 11:00~24:00(L.O.23:00)
参考リンク:八郎そば、PRTIMES、肉めし岡もと
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
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