記者が個人的に一年を振り返り、お気に入りの記事5選を挙げるこの企画。

よく和才記者が「自分の家族以外でこの記事に興味がある人なんているのか?」と書いているが、肉親にも仕事を知らせていない筆者は「親さえ読まない」企画である。

そんな中、この記事をクリック&タップしてくださった方には感謝しかない。どこかで読んでくださる方を思うことが日々キーボードを叩く原動力だ。というわけで、2022年を総括してみたい。


高度な技術と専用オーブンが不可欠とされるバウムクーヘンを自宅で焼いてみた

自宅のベランダでバウムクーヘンを焼いてみたのだが、とんでもなく手間のかかる作業だった。

機器の手入れはともかく、ベランダ家具や床材のすきまにベタベタ落ちた生地を掃除するのが大変。甘い香りのする生地は、なぜか私と住まいを共有する虫のみなさんの格好のごちそうになったことだろう。

この後しばらく、飼っている猫が床材(のすきま)をじーっと見つめて夜を過ごしていたことは忘れたい。


手前味噌のようだが、外部ライターとして少し距離のある立場から言わせてもらえば、ロケットニュースの神髄は「生の声を届ける」ことにあると思う。プレスリリースそのままや、想像で書くのではなく、どんなことでも自分でやってみる。

ところが、時間と手間と予算をかけて、入念に実行した企画だからといってウケるとは限らない。かかった時間に反比例するように、はかない命を散らして闇へと消えていく記事のほうが多いとさえ言える。

それでも、やってみる。1枚1枚バウムクーヘンの薄皮を焼くように。汗と涙と鼻水を拭きながら、今日も屍(しかばね)を積み重ねる。なぜなら読者を笑顔にする甘いバウムクーヘンになりたいから。来年も頑張ります。


恐怖のクチコミであふれる史上最悪の熊害「三毛別ヒグマ事件復元地」で見たもの

二重の意味で、本当に怖かった。

ひとつめの恐怖は剥製(はくせい)。詳しくは別記事になるが、生理的に剥製に恐怖感があるため資料館で一度死んだ。

初めて受ける胃カメラなど、人は「知らないからこそ一度は臨める」けれども、二度目は想像しただけで絶対に無理、という体験がある。この資料館にもう一度、と言われたらたぶん入口で足がすくんでフリーズする。

もうひとつは「スマホの電波も届かない山中で、本当にクマに襲われたり、車が動かなくなったりしたらどうしよう」という恐怖。

個人的に興味があったし、行ったら必ず記事にしようとも思っていた。しかし、直前まで「マジでやめようかな」「ここでやめても誰にもわかんないし」と悪魔のささやきが聞こえていたのは間違いない。最終的には本当に行ってよかった。


私はどこで道を誤ったのか? 猫用ランニングマシンに数万円をつぎこんだ飼い主からの報告

後日談を報告したい。数カ月が経っても猫たちはランニングマシンを素通り。興味すら示さず、完全にコンテンポラリーなオブジェと化している。

正直なところもう諦めた。我が家の猫たちは永遠に使わないだろう。それならば年末を前に、必要としている人に譲りたい。

もちろん円形のままでは梱包もできないので、フリマアプリなどに出品するなら解体しなければならない。

ところが、枠組みを組んだ上からマットを貼りつけるという工法のため、おそらく一度はがしたマットは再利用できない。解体=損壊なのである! ああぁぁぁぁ邪魔!!


【ダイエット】運動嫌いでも『リングフィット アドベンチャー』で痩せられる? 2カ月やったら筋トレマニアのみなさんに土下座したくなった

これまでの人生で、初めて継続できている運動らしきもの。2022年12月現在も、毎日ではないがプレイしている。

結果、痩せたのかと言われれば痩せてない。しかし見た目のブヨブヨ感がなくなり、肩こりが軽快するなど体調面でもよいことが多い。

なにより自分だけが触ってわかる「筋肉の変化」が楽しいというのは大発見だった。ついつい意味もなく筋肉をなでたり動かしたりしてしまう。

しかしこれは、あくまで「自分が楽しい」だけなので、決して他人に強要してはならない。おそらく筋肉マニアが「暑苦しい」と思われる原因は、他人にまで「筋肉! 筋肉!」と共感を求めてしまうせいだろう。

あくまでも秘めたる嗜好(しこう)として、今日もこっそり筋肉を愛でている。


「よみうりランド」で車中泊したら最高のイルミネーション体験ができた! …ただひとつの誤算を除いては

年に数回、キャンピングカーで車中泊の長旅に出かけている。

諸般の事情からひとり旅なのだが、人気(ひとけ)のない山中で「怖っ……!」と背筋が凍ったり、賑やかな夜の繁華街でわびしさを感じたり、雄大な景色を前に「誰かに見せたい!」と思ったりするときもある。

しかしそれと同じくらい、ひとり旅には楽しさや喜びや発見がある。

青春群像劇の金字塔『ハチミツとクローバー』で、修ちゃんこと花本修司先生が孤独を「波」に例えている。寄せては返す波のように襲ってきては、すっと引いていく。ただその繰り返しで、命に別状はない。これ真理。



────以上、5選!

昨年の同記事で筆者は「コロナで取材に出かけられず大変な一年だった」とかなんとか書いたのだが、いざ遠出が解禁となっても、いきなりアイディアが量産できたり文章が面白くなったりするわけではなかった。

2023年も精進しなければ。どうぞよろしくお願いいたします。


執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.