最近物議を醸している言葉のひとつに「平成レトロ」なる言葉があるのをご存知だろうか。
平成から令和になってまだ4年。「平成にレトロはさすがにおかしいでしょうよ」という言葉が上がる一方、若者の間ではY2Kファッション(2000年頃に流行したファッション)もリバイバルブーム中。もはや平成を懐かしむターンになっているのは間違いない。
しかし昭和レトロってわかりやすい部分があるが、平成の懐かしさってなんとも表現しがたい部分があると思う。そこで1983年生まれの私が猛烈に「懐かしい!」と平成の空気を感じた風景を紹介したい。
・多摩センターなどのニュータウン
パルテノン多摩の大階段や並木道、多摩センター駅からサンリオピューロランドへと続くカラフルな商店街……。
あの頃の最先端の町並みってこんな感じだった! どうも、当時放送されていた特撮や不思議少女シリーズは多摩周辺でロケすることが多かったらしい。ここに来ると、1992年頃にタイムスリップしたような気分になる。
レンガ作りの路地、大きな並木道沿いに、可愛らしいペンシルハウスやマンションが並び立つ……。全国各地に、これにそっくりなニュータウンができていた。平成メイドの幸せな家庭像がそこにあったような気がして懐かしくなる。
ちなみに、ニュータウンとはちょっと違うが恵比寿ガーデンプレイスも1994年オープン。プロムナードがあるのが平成っぽさの特徴かもしれない。
・やたらと西洋風なリゾートやスパ
前述のパルテノン多摩もそうだけど、なぜか当時はやたらとギリシャ風とかヨーロッパ風の建物が多くて、それがオシャレとされていた記憶がある。
代表的なものが1992年に開業した長崎のハウステンボスだと思う。オランダの町並みを再現したテーマパークで、修学旅行で行ったことがある人も多いのではないかと思う。
同じような平成臭を感じたのが「スパ・リゾートハワイアンズ」のスプリングパークというエリアであった。
調べたところ、ここは1990年に施設をリニューアルしたときに作られたエリアであることが発覚。まさに平成ど真ん中だった!
・パワポの初期設定みたいな色の待合室
平成初期に作られた公共施設にはちょっとグレーがかったパステルカラーのカラーリングが多いように思う。とはいえ、今流行のくすみパステルとは違う、PowerPointとかExcelの初期設定で入ってるカラーみたいな、独特のカラーだ。
昭和のゴージャス感を象徴するのがベロアの赤絨毯だとしたら、平成のアーバン感はくすんだ格子模様のマットなのかもしれない……。
このグレーがかったカラーを見ると「公的な施設ですよ」「真面目な場所ですよ」と主張しているような感じがするから不思議。人を不快にさせないカラーとして採用されたのだろうか。
・お台場
今まで紹介したものが1990年頃の初期の平成っぽさだとしたら、後期(2000年前後)の平成っぽさを感じる場所がお台場である。
2022年3月27日にヴィーナスフォートが閉館。
8月31日で大観覧車も営業終了してしまったが、お台場には平成の夢が詰まっていたように思う。
営業しているのはアクアシティお台場、フジテレビの社屋、ダイバーシティ東京、デックス東京ビーチくらいと少しさびしくなってしまったけど、あの辺りを歩くとモー娘。の曲や浜崎あゆみの曲が流行っていた2000年頃の空気を思い出す。
・建物にも時代の空気が出る
平成といったって30年もあったわけだから、一言でどういう時代だったというのは難しい。だけど、建物にも流行り廃りがあって、そういう場所に20年ぶりくらいに訪れてみると猛烈な懐かしさに襲われる。
2010年頃から流行している北欧風の内装や、渋谷スクランブルスクエアとかヒカリエみたいな高層ビルも、あと20年もすれば令和の空気を感じる懐かしいものとなるのだろうな……と思うのだった。
執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.