
地方から東京へ、あるいは海外から日本へ来た人のための団体バスツアーの代名詞「はとバス」。旗をふるガイドさんに連れられてぞろぞろと歩く姿は、ひと昔前には日常的な東京観光のワンシーンだったろう。
しかし個人旅行が身近になった現代、団体ツアーはとかく「わずらわしい」「知らない人と同席したくない」「自分のペースで歩きたい」等々、嫌われがちではないかと思う。
ところがどっこい。実際に乗ってみたら想像の何っっっ倍も楽しかった! 東京在住者は割引もあるぞ。
・夜の東京駅に続々と集まる人々
とっぷりと日も暮れ、旅人たちも宿に帰る時間だが、東京駅の「はとバス」乗り場には続々と人が集まってくる。夜のツアーが複数あるためだ。
今回筆者が申し込んだのは「夜の浅草 老舗の牛鍋と笑いの殿堂」(税込6000円)というコース。18:00に集合し、21:30過ぎに再び東京駅に帰着するものだ。
乗車受付の段階で、驚きの事実が発覚した。乗客の8割から9割がなんと東京都民。なんでわざわざ地元民が観光バスに!? と思ったが、ワクチン接種3回以上またはPCR検査等での陰性などいくつかの条件を満たすことで割引の対象に。1回2500円の助成があるという。うらやましい!
座席は全席指定。団体旅行だと、まずこの「バスで知らない人と隣になるのがイヤ」というのがあるが、ひとり客だった筆者には一列を独占できる最後列を案内してくれた。
バスが走り出すと、ガイドさんがマイクで「ここが日本橋」「ハロウィンバージョンになった三越のライオン」などと車窓を案内してくれる。夜景がきれいな区間は、車内照明を落とすという粋な演出も。普段通勤などで見慣れた風景でも、第三者に案内してもらうと新鮮なのではないだろうか。
最初に向かったのは浅草「米久本店」での夕食。明治時代からの「牛鍋」の老舗だそう。
牛鍋といえば、筆者が知ったのは漫画『るろうに剣心』の作中だ。牛肉を食べる文化のなかった日本で、ハイカラなごちそうとして大流行したらしい。当時は東京だけでも500軒を超える牛鍋屋があったそう。文明開化の音がする……。
ここで通された席も、グループごとに独立している。「そんなの当たり前じゃん」と思うかもしれないが、ひとり客にはひとり席を用意してくれるということ。これはいい!
ファミリーやグループと相席になって気まずい思いをすることもなく、自分だけの空間で気兼ねなく食事ができる。店側としては大テーブルにした方が効率がいいだろうに、乗客のニーズを優先しているのだろう。
美しく盛られた牛肉。店員さんが「食べ方」「作り方」をレクチャーしてくれるのだが、慣れない高級料理にあたふたしてしまう。
テーブルには小さなヤカンや急須が複数並ぶ。なかばパニックになった筆者は、割下(わりした)ではなくお茶を鍋に注いでしまうという失態をさらす。
※注いでいるのはお茶。このときは自分の失敗に気づいていないので、よい写真を撮ることに没頭していた。
すっ飛んできて割下を入れてくれた店員さん、改めてありがとう。あのときのアホは私です。なお、半分お茶で煮上がった牛肉のお味は……
うんまぁぁぁい!
牛肉はまったくクセもスジもなく、舌の上で溶けていく。それでいて胸焼けするような脂っぽさはまったくない。純然たる肉の旨味だけが押し寄せる!
また、予想外に美味しかったのが漬物だ。ほんのり柑橘系の香りがするカブ漬けや、上品で尖ったところのまったくないナス漬け。東京の漬物ってこんなに美味しかったっけ!?
普段いくらで提供している料理なのかはわからないが、東京都民なら3500円でツアーに参加しているわけで、この食事だけでも元がとれるのではないだろうか。
・「浅草演芸ホール」で初めての生落語
続いて到着したのが「浅草演芸ホール」。正直に白状すると、筆者は落語と講談と漫談の違いもよくわからないし、浅草演芸ホールがなにをしているところなのかも知らない。
失礼ながら落語というと、ちょっと古くさいシニアの趣味といった印象がある。もちろん生で聴くのは初めての経験だ。
当日まで知らなかったのだが、浅草演芸ホールではたくさんの演者が入れ替わり、昼頃から夜までずーっと寄席をやっているらしい。我々が入場したのは「トリ」の少し前の時間帯。
何人かの噺(はなし)を聴いたのだが、ぶっちゃけイマイチな時間もあった。滑舌が悪くて聴き取りにくかったり、落語の「お決まりの展開」「お決まりの笑いどころ」というのがあるのだろうが、それについていけないアウェー感があったり。
落語の成立した時代を考えると不思議ではないが、下ネタや女性の描写などちょっと時代に合わないのではないかと思う表現も……。
ところが、である。
トリの昔昔亭A太郎氏がステージに登場した途端、会場の空気が変わった。張りのある声が客席の隅々にまで届く。つかみの世間話から、一気に客席をひとつにするA太郎氏。
※通常は撮影禁止だが、A太郎氏が特別に許可してポーズを取ってくれたところ。
水が流れるような滑らかな発話は、早口なのに聴き取りやすい。ところどころに挟まれるコミカルな描写では会場が「わっ」と笑いに包まれる。そう簡単には笑わないぞ、と決めていた筆者だが、思わずプッと声が出てしまった。
聴かせてくれたのは「人情噺」に分類されるタイプの話らしいのだが、何人もの声色(こわいろ)を使い分け、その場面が目の前に浮かぶような描写力。ほこりっぽい路地や、ザラついた畳の感触まで感じられるよう。物語の世界に引き込まれてしまった。これが落語家の力か……!
道具も舞台装置もなく、自分の身ひとつで大衆を笑わせる娯楽を提供する。筆者も常々、読者に「笑ってもらいたい」「イヤなことを忘れてもらいたい」と思って記事を書いているが、それがどれほど難しいことか。すごい職業だな。
・夜の浅草寺
最後に向かったのは言わずと知れた観光名所、浅草寺。参拝時間は終わっているのだが、境内のライトアップを見られる。
正月の死ぬほど混雑している浅草寺にも来たことがあるが、別の場所かと思うほどの静寂と落ち着きだ。人がいないとこんなに印象が変わるんだなぁ。
全体を通して、ガイドさんの旗についていくのは移動時だけで、現地に着くと「○時に集合」とだけ宣言されて自由行動になる。興味があればじっくり見てもいいし、さっさとバスに戻ってもいい。
この自由さがとてもよかった。食事も同様だ。食べるのが速い人、遅い人が入り混じっているから、一斉に「ごちそうさま」をしなくてもいいのは助かった。
可能な限り「団体行動のわずらわしさ」が排除され、まるで送迎だけしてくれる便利なサービスのようだ。入場手続きなど面倒なところはすべてガイドさんがやってくれる。
もし寄り道したければ、(返金はないが)途中で離脱してもよい。ひとり客でも気詰まりだったり、引け目を感じたりする場面はまったくなかった。
バスは定刻に東京駅に帰着。都内の渋滞を知り尽くしている「はとバス」は、もっとも効率のよいルートを選んでくれるのも魅力。東京都在住者が割引になる「もっとTokyo」対象コース(2022年12月20日まで)はほかにも複数あるので、乗ってみる価値があると思う。東京、再発見だ。
冨樫さや




















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