1989年までドイツを東西に分断した『ベルリンの壁』。その一部は現在もベルリン市内に現存して、観光客を中心に賑わいを見せている。「街が2つに分断されるってどんな気持ちかしら」って、誰もが一度は想像したことあるよね……辛いよね。
また冷戦中の資料などが展示されている『チェックポイント・チャーリー博物館(別名:壁博物館)』も、ベルリンへ来たら必ず立ち寄るべき場所だ。しかしながら、その博物館の売店で “思わず目を疑うモノ” が売買されていることは、あまり知られていない……。
・逆に盲点だったモノ
『チェックポイント・チャーリーの家』のすぐ隣にあるチェックポイント・チャーリー博物館。
1階にショップがあり、ベルリンに関するグッズがところ狭しと並んでいる。ベルリン市内にみやげ店は数多くあれど、ここの “公式感” は圧倒的。大切な人へのみやげなら、ここで探せば間違いないだろう。
そんな広い店内の一等地に並べられているのが……
お世辞にも美しいとは言い難い石ころだ。
・バチは当たらないのか?
この石ころ、こう見えてもレッキとした売り物。その正体はズバリ……
ベルリンの壁の一部!!!!
なんとこの店では、あの有名なベルリンの壁が “量り売り” で販売されているのだった。価格は25グラムまでが9.95ユーロ(約1436円)、50グラムまでなら14.95ユーロ(約2158円)……といったふうに、たくさん買うほどお得になる仕組み。
「そんなことしてバチは当たらないのか」と不安になるうえ、もっと気になるのが「本物の “あのベルリンの壁” なのか?」という問題だ。「ベルリンにある壁なら全部ベルリンの壁」などといったヘリクツ・ジョーク商品である可能性もゼロとは言い切れない。
そこで私は後日、知り合いのドイツ人を連れて再び店を訪れた。「ここにあるのは本当に “あのベルリンの壁” なのか?」と店員さんに確認してもらったところ……「間違いなく本物の “あのベルリンの壁” だ」との回答を得ることができたぞ。うわ、マジか〜!
ちなみに店員さんいわく「当店には残り5キロしか在庫がない」のだそう。今後の再入荷については未定だが、ベルリンの壁は限りある資源である。欲しい人は早めにベルリンを訪れることをオススメしたい。
・なぜか感動の結末に
ベルリンの壁は量り売りのほか、アレンジを加えたバージョンも販売されている。
冷静に考えると量り売りタイプは使い道が難しいので、私は小さなケース入りのものを購入。日本へ持ち帰ることにした。
購入者には「本物のベルリンの壁です」という証明書を発行してくれるぞ!
“あのベルリンの壁” の一部を眺めていると、「戦争の愚かさ」について深く考えさせられるよな……そうだ、同僚にも見せてやるとしよう。お〜い!
中澤「ベルリンの壁? …………へぇ〜」
……えっ、そんだけ!? なんとも反応が悪い中澤記者。慌てて私は、ベルリンの壁が建設された時代的背景を彼に熱弁して聞かせた。ドイツを東西に分裂する壁は一夜にして築かれ、生き別れになった家族も多くいたのだという。
例えばある日仕事へ出かけたまんま、28年間も家に帰れなかったら? あなたはどんな気持ちになるだろう? 戦争の悲惨さについて、我々はもっと真面目に考えるべきではないのか? え、どうなんだ!? すると……
中澤「 “ベルリンの壁そのもの” は分断の象徴かもしれない……しかし “ベルリンの壁の破片” なら、逆に『平和の象徴』なのではないですか?」
私「たしかに」
……同僚の意外な一面を見られるかもしれない “あのベルリンの壁の破片” 。みんなもベルリンを訪れたらぜひ記念に購入してみてくれ!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.