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【ダイエット】運動嫌いでも『リングフィット アドベンチャー』で痩せられる? 2カ月やったら筋トレマニアのみなさんに土下座したくなった

2022年8月7日

世の中には数えきれないほどのダイエット法やボディメイク法がある。当サイトの例でも、糖質を制限する、ジムへ通う、毎日体重を量る、趣味のスポーツに打ち込むうちに自然と理想に近づくなど、やり方はさまざま。

筆者の見たところ、どの方法も一定の効果を上げている。そこに手段の優劣はない。確実に言えるのは「続けた人が勝つ」ということだ。

そこが最大にして最強の難関。糖質制限も置き換えダイエットも加圧トレーニングも「続かないのが問題」なんだよ! ということで、ゲームはどうでしょう?


・『リングフィット アドベンチャー』とは

プレイしたのはNintendo Switch(以下スイッチ)の『リングフィット アドベンチャー』(希望小売価格:税込8778円)。

ゲームのセッティングや注意点については亀沢記者の購入レポが詳しいのでここでは省略するが、プレイヤーの動きを感知できるコントローラーを利用して、実際に身体を動かすフィットネスゲームである。

コロナ禍でも自宅で運動できると大人気になり、品薄&入手困難な時期もあったが、筆者が購入した2022年初夏には普通に販売していた。

メインである「アドベンチャーモード」にはちょっとしたストーリーがあり、アクションゲーム仕立てになっている。「足踏み」の動作でジョギングしてステージを走りながら、敵とのバトルを進めていく。

これが本当に “ちょっとした” ストーリーで、「続きが気になる!」といった壮大なものではないので、かえって筋トレに集中できる。「ズルしてでも進もう」とはならないためだ。

敵とのバトルで「攻撃」に該当するのが「フィットスキル」だ。スクワット、もも上げ、ツイストといったメジャーなものから、ゲームオリジナルのものまで60種類以上のスキル(動作)が用意されている。

さらに20以上のワールド、250以上のコースがあり「1日30分で、3カ月以上お楽しみいただけるボリューム」だそう。

実際には「30分もプレイしたらバテバテ」という難度だったので、たぶんクリアには年単位の時間がかかる。ちなみにプレイというのは実際に運動している時間を指し、「起動させっぱなしで時間をかせぐ」という反則は不可。


・ダイエットの難しさ

自慢じゃないが、筆者はダイエットに成功したことが人生で一度もない。

必要性は十分に感じている。たまに人に写真を撮ってもらうと自己イメージとの違いに愕然とし、高コレステロールを指摘する検診結果におびえ、服を着ても鏡が嫌いになってくる。端的に言うと、自分のことが嫌いになってくる。

けれど、同じくらい運動が苦手で嫌いだ。

マラソン大会では先にゴールした級友が見守るなか周回遅れで公開処刑をくらったり、ドッジボールでは捕れそうなボールからも逃げ回るので級友からクレームが入ったり。

汗をかくのも嫌い。筋肉を使ったときの「痛い感じ」「だるい感じ」も苦痛だ。かつて「30分で必ず終わる」ことに惹かれてサーキットトレーニングに通ったことがあるが、トレーナーのキラキラさに嫌気がさして辞めてしまった。

けれどゲームは好きだ。ゲームだったら続けられるんじゃないだろうか。っていうか、ゲームで無理ならもう筆者には道がない……。


・トレーニングの実際

ゲームを始めたのが2022年6月。プレイヤーキャラを作ると、あとは「リング」というキャラクターが物語を先導してくれる。画面の指示に応じて身体を動かすのは、かなり楽しい。

そもそも「自分で剣を振りたい」「フィールドを走り回りたい」というゲーマーの願いからVRゲームが生まれるくらいだから、自分の動きがキャラクターに反映されるのは単純に楽しいのである。

しかも自宅なので汗をかいたら秒でバスルームに直行できる。歯を食いしばって変顔になっても、「ぜぃぜぃ」と恥ずかしいくらい息を切らしても誰も見ていない。ぜい肉がボヨンボヨンと見苦しく揺れたって、まーっっったく気兼ねがいらない。これは、かなりイイ!

筆者のように「人が見ている」というだけでパフォーマンスが著しく低下するタイプにはぴったりだと思う。

最初のほうのステージは走行距離も短く、難なくクリアできる。黙々とランニングマシンを走るのと違って、上ったり下ったりアイテムを収集したり、コースに変化があるから飽きない。

ところが、ステージが進むにつれてフィットスキル(動き)も本格的になっていき、「そんな動き無理……」というスキルが登場したり、途中でふにゃふにゃと力が抜けて高評価を得られない場面が出てくる。

調子がいい日にはできたりするので、自分のコンディションに目が向くようになる。さらに、毎日やっているうちに最初はできなかった動作ができるようになる。総じて、自分自身の身体への意識が高まる。

ちなみに、どのフィットスキル(動き)をバトルで使うかは、簡単に変更できる。体調によってストレッチ程度の軽い動きにセットしたり、ちょっと難しい動きに挑戦したり。

おまけに基本のプレイ時間はわずか10分だ。それを超えるとゲーム側から終了を提案される(続けたい人は、そのまま続けてもよい)。

運動負荷も変更できるので、まったくの初心者からスポーツ経験者までプレイできるはず。全体的に「無理なく」「楽しく」「負担に思わず」できる工夫がちりばめられていて、そこはさすがの任天堂だ。

さらに運動時間などの記録がすべて自動で残るのがミソ。「連続記録を途切れさせたくない」「収集要素があるならコンプリートしたい」というゲーマー心理を巧みについてくる……!

結果として現在まで約2カ月、毎日欠かさずプレイが続いた! これは自分としては快挙。

泊まりがけの外出時はホテルにスイッチを持参するほどだった。「やらなきゃ気持ちが悪い、という境地までいくのが習慣化」(要約)と『ドラゴン桜』の桜木先生も言っていた。


・果たして体重は減ったのか

2カ月が経過して、身体はどう変化したのか。リングフィットからは「健康的に減らすには1カ月に体重の5パーセントまで」とアドバイスされているから、筆者の場合は2カ月で5~6kgならOKってことに。

正確な体重は伏せるがグラフ右端に目盛りがあるので察していただきたい。大公開、これが運動習慣ゼロの人が2カ月ゲームで筋トレをした成果だ! ご覧あれ!!


まっっっっったく変わっていない……だと?


おもしろいほどに平坦である。誤差の範囲と言っていい。

計測が不定期なのはご容赦いただきたいが、画面で見切れている6月も変わらない。普通に暮らしていても多少の増減があるものだと思うが、「体重変化がない特異体質グランプリ」があったら入賞できる。

ということは、もちろん身長・体重から算出するBMIも一直線である。嘘だろ……。

たしかにリングフィットからは「女性は筋肉がつきにくい」「簡単にはムキムキにはならないから安心して筋トレして!」と言われているが……。

そんなはずはない。体感的には変化がたくさんある。っていうか、そうでもなければやってられない、ちくしょー。一例を挙げよう。


・恋をした

トレーナーがリングくんだとすれば、動きの手本を見せてくれるモデルがミブリさん。セリフやボイスはなく、なんなら表情すらない「のっぺらぼう」だ。

ところがこのミブリさん、ひと言もしゃべらないのに感情表現がめちゃくちゃ豊かなのである。時間に遅れてきたり、達成を一緒に喜んでくれたり、油断して気を抜いた姿勢をしていたり……

おまけに心理学には「単純接触効果」という概念がある。繰り返し接しているうちに、無意識のうちに対象への好感が高まる現象だ。

毎日毎日毎日毎日、どのワールドにいるときもストレッチでもボスバトルでもミブリさんの真似をしているうちに、言葉では表現しきれない親近感がわいてくる。なんかこの人……好きかも……

他人ではないような、特別なつながりを感じる。まるで前世で別れたソウルメイト、もうひとりの自分に出会ったような……

……という、どうでもいい話は置いておいて本題だ。


・こんな変化を感じる

まず、初見ではできなかったゲーム内アクションが達成できるようになってくる。「プランク」「マウンテンクライマー」「レッグレイズ」などがそう。どれも体幹を使うものらしい。

どんだけ筋力ないんだよ、と思われるだろうが、最初は自重を支えることさえできなかった。全身がプルプルと震え、すぐに床にダウンしてしまう。それらがいつのまにか、できるようになっていた。

また、ゲーム中に水を大量に飲むようになったせいか、お通じがよくなった気がする。

さらに、自分の手足など、ふとした瞬間に身体に触ったときの感触が硬くなっている。

これまでブヨンブヨンのスライムのような触り心地だった二の腕や 太もも や ふくらはぎ に、方向性のある筋の存在を感じる。ガシッとした触り心地になってきたのだ。

「ねぇ、ここ変わったでしょ!」と世界中に見せて回りたい気分だが、見た目にはさほど変化がない。

筆者はハッとした。筋トレマニアの人がよく「ねぇねぇ」と筋肉を見せてくる心理。内心「いつもと同じだよ」と冷ややかな目で見ていたが、当人は触感があるから、如実に変化がわかるのだ。これまで邪険にしてすまなかった。

なんなら「筋トレにハマる人の気持ちだけは永遠に理解できない」とさえ思っていた。完全に筆者が間違っていた。今ならわかる……わかるぞ……!

自分の身体が変化してくる喜び。努力が形になって返ってくる手応え。たしかに「もっと育てたい」「筋肉を大事にしたい」ってなる!


筋肉は裏切らない! なんという名言だ!!


筆者がリングフィットで得られた最大の成果は、これまで決してわかり合えないと思っていた隣人の扉を開けたことだろう。体重がどうだっていうんだ。人類みな兄弟。


・体重が減らない原因

ちなみに筋肉と反比例して減ってくるはずの体脂肪率。日によってかなり増減があるのでわかりにくいが、微妙~に右肩下がりになっているような……。期待が目を曇らせているだけだろうか。

体重に変化が現れないのは、たぶん食べ物の質や量がまったく変わっていないからだと思う。もとから基礎代謝の低い筆者。リングフィットを始めてからも食生活は変えておらず、外食や間食が多いことは自覚している。

かつ、ゲーム内でのアクションは筋トレが多く、プレイ時間も10分程度なので、脂肪燃焼まで至っていないのだろうと推察される。

目下のところ筋肉量が増えて基礎代謝が上がる、自然に消費カロリーが多くなる、コレステロール値が下がる……という緩やかな変化を期待してるところだ。成果があったらまたレポートしたい。


参考リンク:『リングフィット アドベンチャー』公式サイト
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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