我々トレーニー(トレーニング大好き人間)とサプリメントは切っても切れない関係にある。より効率よく体を大きくし、さらなる筋力アップを目指すためサプリメントに頼ることもしばしば。世界中を探してもサプリメントを使用していないボディビルダーはほんの僅(わず)かだろう。

しかしだからといって絶対に甘い言葉に騙されてはいけない。使うだけで痩せるサプリはないし筋肉もりもりマッチョマンの変態になれるサプリもない。これは当時サプリメントの怖さを何も知らなかったイキリトレーニー(筆者)の一万円ドブ捨て失敗談である。

・失敗談の前に

筋トレ始めて約3年、今の筆者は専門的な知識もあり多くのトレーニングをこなせるようになっており、世界的に有名なパーソナルトレーナーの資格「NSCA-CPT」を取得している。

そんな自分も今まで失敗はたくさんしてきた。そのうちの1つが一万円ドブ捨て事件である。


・めちゃくちゃ調子に乗ってた

事件は筆者がまだトレーニングを始めて8ヶ月ほどのときに起きた。

当時トレーニングにも慣れて、一般人より知識のあった筆者は友人たちにドヤ顔でサプリメントの効果やトレーニングについて語っていた。よく考えればめちゃくちゃキモい。

そんなある日、日課の筋トレYouTube漁りをしていたところ とあるボディビルダーの方がファットバーナーと呼ばれる種類のサプリメントを紹介していた。ファットバーナーとはその名の通りファット(脂肪)をバーナー(燃焼)するサプリメントで、カフェインカルニチンといった脂肪燃焼に関わる成分を多く含んでいる。

当然これは脂肪燃焼を助けるだけで、飲めばみるみる体重が落ちるといった魔法のアイテムではない。当時トレーニングをしてはいるも、トレーニングで消費したカロリーを打ち消すほどメシを食う妖怪であった筆者はなかなか体重が落ちないことに悩んでいた。


「何で体重落ちひんねやろ」


メシめっちゃ食うからや。いま振り返れば簡単にわかるが、当時の筆者はわからなかった。そんなところに舞い降りてきたファットバーナーの情報である。飛びつかない手はない。

こうして筆者は、本来ファッションや遊びに使う貴重なお金を危険なサプリメントに投じて悪夢を見ることとなった。

ちなみに、そのボディビルダーの方は動画内でしっかり上級者用サプリメントだとちゃんとおっしゃってました。当時筋トレ8ヶ月の筆者、どこが上級者やねん


・悪夢への1歩

海外から送られてくるのをワクワクして待つこと約3週間、ついにその悪魔のサプリメントは届いた。これで俺も痩せてデブやった自分とはおさらばや! あまりにも発想が単調、世の中そんな簡単に痩せるなら世界の肥満問題もっと解決してる。しかし筆者はまだ気づかない。

怖くないわけではなかった。あまりにも怪しい色、容器の中から臭う、鼻がひん曲がりそうなTHE・薬品臭。人間を警戒させるにはあまりに十分すぎる要素。

だが人の欲望は時に

恐怖を凌駕する


・一万円の消失

服用して十数分後の俺はまさしく絶好調。例のサプリメントは脂肪燃焼効果に加えて集中力アップの効果があると謳(うた)っていた。加えて高額なサプリメントを使っているから “今の俺はやれる” という思い込み効果で、トレーニングにおいて最高のコンディションだった。

いける……! このサプリなら行けるぞ! その浮かれ状態から1時間後、地獄は始まった


おかしい、トレーニングの後はすぐお腹が空いて晩御飯がいつも待ち遠しいはずなのに、お腹が空かないばかりか胃がムカムカして吐き気がするし、何かを口に入れるのを体が全力で拒否してくる。数時間もすれば収まったが、収まるまで何もする気が起きなかった。

普通ならここで体に合わないから辞めるのが普通。しかし変にトレーニングのコンディションが良かった上にサプリが高額だったので辞められなかった。きっとこれは初めて使ったから体がまだ慣れてないだけだろう……そう信じて1週間使い続けたが症状は一切改善せず、そのサプリは筆者のサプリメント入れの奥底に消えていくこととなった。


・知っておいてほしいこと

ここからは有資格者として失敗者として知っておいてほしいことをお伝えする。まずサプリメントは正しく使用してほしい。今回は失敗したサプリメントの話をしたが、正しく使用して筆者をレベルアップさせてくれたサプリメントもたくさんある。

だからこそ、そのサプリメントが自分のためになるか知る必要がある。買おうとしているサプリメントは本当に必要か、中の成分に危険なものは入っていないか見極められないのであれば、そのサプリメントは買うべきではない

筆者のような悲しい失敗を他の方が起こしてしまわないように、この失敗談が皆さんの快適なトレーニングライフを作る礎になることを切に願う。

※記事の写真内で使用しているボトルと筆者が使用したサプリメントは全くの別物です。

執筆:MG小川
Photo:RocketNews24