これからみなさんにお伝えする話は、全て実話である。つい先日、私、P.K.サンジュンがこの話を耳にしたときは、何度も口から「ウソですよね?」と飛び出したほど信じがたい内容ではあるが、この記事は “盛っていない” ことをあらかじめお伝えしておきたい。

さて、それは当サイトのスシロー番長、中澤からの誘いがきっかけであった。中澤が「スシローが試食会をやるらしいんですけど、サンジュンさんにも来て欲しいって言ってます」とのことだが……え、なんで俺?

・記事を読んでくれたらしい

中澤の話を要約するとこうだ。私が執筆した「4大回転寿司ガチ食べ比べのまぐろ編をスシローの人が読んだらしい」「試食会にまぐろの仕入れ責任者が来るので、ぜひお越しいただきたい」てな感じ。私はさほど乗り気ではなく「行けたら行く」とだけ返事をした。

で、実際には行けたので行ったのだが、この日は2022年2月23日からのキャンペーン「絶対王者スシローの鮪まつり」の試食会。中澤と2人、次々とやって来るまぐろを「ウマいウマい」と言いつつ食べていたところ……


誰か来た。


そう、この人こそスシローが誇る “まぐろの番人” こと山上雅則(やまがみ まさのり)氏。スシローと言えばまぐろ。まぐろと言えばスシロー。まぐろの仕入れ責任者である山上氏は、スシローの生命線を握る超重要人物と考えていいだろう。

・ヤバいストーリーは突然に

当初は挨拶を兼ねつつ「いつもお世話になってます」「いえいえこちらこそ」などと無難な会話が続いていたのだが、私がポロッと発した「なんでスシローに入社したんですか?」という言葉をきっかけに、山上氏がヤバい人だと明らかになっていくのだ。


──山上さんは、なんでスシローに入社されたんですか?

「はい、子供の頃からスシローが大好きだったからです

──え……ウソですよね? だってそんな前からスシローってありましたっけ?

「私は関西の出なんですが、小学校のときにスシローの前身 “すし太” が近所に出来まして……」

──なるほど。

「そこで食べた、でっかい “ハマチ” と “たらマヨ” に感動しましてね。ほら、子供はあんまり魚卵とか食べさせてもらえないじゃないですか? そのときから、いつかここで働きたいと思ったんです」

──野球少年がプロ野球選手になるのと同じノリですね。

「ハハハ。そうかもしれませんね」


・大卒で入社しなかった理由


──で、大学を卒業されてからスシローに入社されたと?

「いえ、違うんです。もちろん就職活動の際、スシローの説明会にも行きました。ただ、その時は迷いがありましてね……」

──まあそうですよね。若いからやってみたいことも多いだろうし。

「いえ、違うんです。このまま入社したらスシローを内側からしか見られない。外側からスシローが見たい、という迷いです」

──え……ウソですよね? 迷いは人それぞれですが、そんな迷いってあります?

「それで調べたんです、スシローと取引している水産会社を。結果的にはその会社に入社させていただきまして、20年弱お世話になりました」

──な、なんか情熱がスゴイってことだけは伝わってきました。その水産会社に入って、スシローを外から見るという願いは叶ったんですか?

「はい、入社して16~17年ですかね。その水産会社で、念願のスシロー担当を務めさせていただくことになりました」

──ドリカムやん。DREAMS COME TRUE。夢が叶ってる。

「はい、その後にお世話になった水産会社を退職し、スシローに入社いたしました。現在は仕入れ課でまぐろを担当させていただいております」


・社長になるパターン


──それ、漫画なら完全に社長コースですね。子供の頃からスシローが好きでスシローに入社した人は社長になるでしょ。

「いえいえ、気持ちがあっても実力が伴っていませんので……」

──ご謙遜を。ちなみに、いまだにスシローがお好きなんですか?

「はい、大好きです。休日は妻と子供を連れてスシローに行ってますし、私が仕入れたネタを美味しいと言ってくれることが何よりの喜びです」

──いや、もう完全に社長になるやつでしょ。スシロー愛が強すぎる。

「スシローも寿司も大好きです。一応、結婚記念日は11日1日の “寿司の日” にしました。いつか仕事のネタとして使えるかもしれないと思ったので」

──え、ウソですよね? というか、一応ってなんだ、一応って。


いかがだろうか? 個人的には「子供の頃からスシローが好きでスシローに入社した人」というだけで驚いたが、その後のストーリーがさらにとんでもない。スシローのまぐろの番人、山上雅則氏は色々な意味でヤバい人であった。いや、マジで社長になるヤツだろコレ。

また、スシローのまぐろが美味しい理由は「こういう人たちがいるから」とも言えるのかもしれない。なお「いくらは はま寿司が1番美味しかったです」と告げたところ、世界で1番悲しげに「そうですか……」と呟いていたことも記述しておく。スシロー愛、パない。

参考リンク:スシロー公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.