誰しもコンプレックスのようなものを抱えて生きている……と思う。私(あひるねこ)の場合は眉毛だ。小さい頃からなぜか左の眉毛だけが薄く、高校に入って以降は眉ペンで描き足すようになった。そしてそれは、30代半ばを迎えた現在まで続いている。
もうかれこれ20年近く描き続けているワケだから、当然眉を描くことにも慣れっこになってしまっているのだが……それでも時々思うのだ。いつまで描きゃええねんと──。そもそも、いつまで薄いねんと。
そこで今回、とあるクリニックに協力してもらい、人生初となる眉毛のアートメイクに挑戦してみることにした。
・眉毛の悩み
写真だと分かりづらいかもしれないが、私の左眉毛は右と比べて色・毛量ともに薄く、子供の頃は周囲からよく「なんで片方の眉毛だけ白いの?」と無邪気に聞かれたりもした。いや、そんなんこっちが知りてぇわ! ってな話である。
アートメイクとは皮膚の浅い部分に細い針で色を入れていく施術のことで、要は浅いタトゥーのようなものらしい。施術を2~3回繰り返すことで色が定着していくそうだ。最近は男性客も幅広い世代で増えているという。
眉にタトゥーと聞くと少々ビビッてしまうが、実際に色が残るのは1年半から2年程度で、半永久的なものではないんだとか。なるほど、眉のトレンドの変化を考えたら、むしろその方がいいのかもしれない。“永久太眉” になった後に細眉ブームが到来したらヤバイもんな。
・メイクスタート
カウンセリングを受けた後は、具体的な眉のデザインを決めていく。今回はほぼナースさんにお任せした。それが終わると、いよいよ施術開始……なのだが。
マ、マジかよ……! 針を使うって話だったけど、どう見ても小柄なカッターじゃん!! それで眉に色入れるの超こえーよ! バーサーカーの根性焼きかよ!!
でもクリーム状の麻酔を塗ると……
むむ、意外と痛くない。もちろん個人差はあるだろうけど、なんか描いてんな~くらいの感じだ。実際、針で1本ずつ毛並みを描いているらしいぞ。非常に細かく、繊細な作業である。
毛並みを描いた後は、その隙間をパウダーブロウで埋めて密度を高めるとのことだが……しかし次の瞬間。
え!?
・漢(おとこ)
いやいや……え? ちょ、ちょっと待ってくれ。これは……大丈夫なのか? アートメイクというよりも、誤って油性マジックで眉毛を描いちゃった人みたいになっているではないか。そんなバカは編集部の中澤星児だけで十分である。
まさか……失敗? だったらシャレにならないぞ! 果たして私の眉毛は無事なのか? 気になる続きは次のページへGOだ!!
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
・前ページのあらすじ
眉毛が薄すぎて辛いので、生まれて初めてメンズアートメイクをやってみた結果、誤って油性マジックで眉毛を描いちゃった人みたいになった私(あひるねこ)。一体どうなってしまうのか? と思ったら……
けっこう大丈夫だった。
危ねェェェェェェエエエ! よかった……もう後戻りできないんじゃないかと震えたぞ。ちなみに余分な眉をふき取った後、再びクリームの麻酔を追加したのだが、これがまた今日一の激痛。針の傷がついている状態なのでメチャクチャしみるのだ。おそらく自分眉毛史上、屈指の痛みだろう。
そんな感じで約2時間後──。
この眉が、メイクの結果……
こうなった!
この眉が……
こうなった!
私の眉は……
こうなったぞォォォォオオオオ!!
──ご覧の通りだ。ほぼ別人と言っていい。改めて見比べるとビフォーの画像は眉毛が薄すぎて、もはやヤンキー味すら感じさせる。だいぶ印象は異なるはずだ。
ただ、実際には画像で見るよりもだいぶ濃い~仕上がりになっており、帰宅したら妻から「舞台役者かと思った」と言われてしまった。施術から数日経過すると、より自然な色合いに落ち着いてくるぞ。
が、しかし!
もちろんこれで終わりではない。アートメイクは一度やっただけでは定着しないので、冒頭でも書いたように2~3回繰り返す必要があるのだ。事実、私の眉も数カ月後にはかなり色が薄くなってしまった。元に戻っとるやないか!
担当ナースさんによると、薄くなってはいるが完全に元に戻ったワケではなく、少し残っているらしい。1回目の色の残り具合には個人差があるそうだ。なるほどなるほど。
なので再び施術を受けます。
内容は前回とほとんど同じ。
相変わらず追加の麻酔はしみるし……
油性マジックで描いた感じにもなる。
こうして二度目のメイクの結果、私の眉は……
こうなった!
私の眉は……
こうなったぞォォォォオオオオ!!
・施術完了
さて、眉自体が大きな変化を遂げたのは言うまでもないが、それに伴い、もう一つ大きく変わったことがあった。実は私、施術を受けた翌日から現在に至るまで、一度も眉ペンで眉を描いていないのだ。
そう、20年の長きにわたって使い続けてきた、生活必需品とでも呼ぶべきあの眉ペンを……! ただの一度も……! ただの1ミリたりとも……! 使っていないのである……!! こ、こんなことが……!
・革命
これは私の日々の生活において、非常に重大な出来事だった。人生が一変したと言っても過言ではないだろう。出掛ける前に眉を描くあの時間が、あの手間が、もう不要になったなんてちょっと信じられない。いまだ実感がわかなくて、半ばフワフワしたような状態だ。
上手に眉が描けない、お手入れを簡単にしたい、明るい印象になりたい──。アートメイクをする人の動機は様々だが、私の場合、心のどこかで眉ペンとの決別を願っていたのかもしれない。眉ペンよ、長い間本当にどうもありがとう。そしてさようなら。私はこれから、お前に頼らず生きていく。
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.