少し前に人生初の京都入りをし、寝る間も惜しんでエンジョイしまくっていた筆者。いやー、いい所ですね京都。初めて来ましたが、すっかり気に入りました。名物の十万石饅頭すら売ってない埼玉の場末から引っ越したい。

あまりに見たいものが多すぎて、気づけばろくにメシも食っていなかった。腹が減ったぜ。ここは1つ、グルメ方面でも京都を堪能したいところ。

京都のグルメと言えば……せや! ぶぶ漬けやんな!! 知っとるで!? 京都の人はぶぶ漬けを勧めてくるってもっぱらの噂や!!! 京都に来たからには、ぶぶ漬け一択ゥゥウウウウウウ!!! 

・MKタクシー

ということで昼下がりの京都駅へ。どうでもいいですけど、京都駅って、こう、バッサリと地名を真っ二つにするかのごときデザインなんですね。「京都」というより「京」(ザシュッ!)「都」な感じで。なんとなく京都っぽくて好きですよ。


さて、京都初心者の筆者は京都人おススメのぶぶ漬け屋など、とんと知らぬ。しかし是非とも生粋の京都人から直接おススメされた ぶぶ漬けを食べたい

そういう時はタクシーだ。運転手は生まれも育ちも京都な人が良い。こんなお願いを聞いてもらえるのか心配だったが、その辺のおばちゃんに聞いたらMKタクシーが良いという。反対側の出口に乗り場があるらしい。

そんなこんなでタクシー乗り場へ。「どちらまで?」という問いに対し、事情を説明すると快諾してくれた。おおきにな。


ちなみに、京都人はガチでぶぶ漬けをお勧めしてくるのかと聞いたら、「ご存じでしょうけど、勧められても食べたらあきまへんよ」「今はそんな直接的なこと言わないと思いますけど……」と笑っていた。


しかしここで1つ問題が。おススメのぶぶ漬け屋はあるものの、時間的に終わっている可能性が高いという。えっ、まだそんな遅い時間ではないと思うが、そういうものなのだろうか。

聞くと、京都の良い感じなぶぶ漬け屋は、昼時までで終わってしまうパターンがあるのだという。あと、京都では水曜日休みの場合が多い。マジか。まあその時はその時。もう1泊して、明日早い時間に出直せばいいのだ。

最優先は京都人におススメされた ぶぶ漬けを食べることなので。閉まっていてもOK。1番おススメのお店までお願いします! ということで紹介されたのがこちら。「近為(きんため)」というお店。


ドアは開いているので中に入ってみると、お漬物の販売はしているが、食事の提供は終わっているという。運転手さんが危惧していた通りだ。想定済みなので問題ない。この日は予約だけして翌日出直すことに。


・ぶぶ漬け屋じゃなかった

そして翌日、再びMKタクシーに連れられて雪の降る中「近為」へ。


予約はしたが、ぶっちゃけメニューも何も聞いていない。どういうシステムなのか、そして値段まで不明のままだ。勢いだけで来たが、どうなるのだろう? ややソワソワしながら店内に入ると、案内されたのがこちら。


なんかやべぇぇええええええええ! 雰囲気ありすぎだろ!! しかも貸し切りやんけ。ちょうど雪が降っていたため、猫間障子の向こうに雪をかぶった庭園が見えるのもポイントが高い。



おっと、庭に気を取られていたが、そういやメニューとかはどうなってんだ? と思いテーブルの上を見ると、おしながきが。


んん~~~? どこにも「ぶぶ漬け」の文字があらへん。ぶぶ漬けはどうなっているのか。これはしてやられたのだろうか? 最新の京都式ぶぶ漬けジョークというヤツか?

お店の方がやってきて、「よろしければお魚もありますが」と聞かれたので、何のことかわからないまま「お願いします」と述べつつ、「お勧めのぶぶ漬けということで来たのですが……」と述べると、「ご自分でお茶をかけて頂ければ」とのこと。

ここにきて把握したが、どうやらメニューとして「ぶぶ漬け」は無いもよう。そもそも ぶぶ漬け屋ですらなく、生粋の漬物屋だった。メニューは「きんため御膳」のみ。これはいかに。しかし今さら無かったことにはできない。ええい、ままよ。


・DIYした

腹をくくったところで出てきたのが、こちらのお雑煮。白い。おしながきの「白みそのおつゆ」だろう。


食べてみると、んまァァアアアアアアアアアア!!!! 辛子を溶かして食べるのだが、柚子のフレーバーもついていて、そこはかと甘さもあり、めちゃくちゃ美味い。うめぇうめぇと食べ終えたところで、なんだかスゴいプレートが出てきた。


そして鮭の西京焼き。


再びおしながきと見比べると、この沢山乗っているのがメインの「つけもの大皿」だろう。さて、これをどう食べるべきか。なんだかよくわからないことになっているが、本来ここにきたのは「京都人おススメのぶぶ漬けを食べるため」だ。

紹介されたのが ぶぶ漬け屋ですらなかったのは予想外すぎる展開だが、もはや強引にでも ぶぶ漬けにして食べるしかあるまい。幸いなことに、お茶はデフォルトで提供されている。ご飯もあるし、こいつをぶっかければぶぶ漬けの完成だ。


ということで出された漬物、「ちりめん山椒」、そして鮭など全てブチ込み、お茶をかけて……


これが!


京都人に勧められた!!


ぶぶ漬けだァァアアアア!!!


・ガチだった

えっ、なんだか普通に上手くまとまってるじゃん。脳筋的に全てブチ込んだので、もっと微妙なことになるかと思っていたが……こうするのもまた仕様の1側面と言わんばかりの完成度だ。

しかし、最大の驚きは食べてからやってきた。これがうんまいのだ。まず、漬物1つ1つの味がとてもお上品でヤバい。美味いというよりも、お上品という言葉がイイ気がする。濃すぎず薄すぎず、他と混ざってもかき消されないが、しかしうるさく主張しすぎることも無し。

そしてお茶もなんだか非常にいい塩梅で抽出されている。上質な漬物の数々と美味いお茶が素晴らしいバランスで交じり合い、このぶぶ漬けは成り立っている。片っ端からブチ込んだだけなのにやべぇな。ご飯はお替り自由なので、その後も乗せる漬物のパターンを変えるなどして堪能しまくってしまった。


これはマジで良い店を教えて頂いた。MKタクシーの案内はガチだったと言わざるを得ない。あと、駅前でMKタクシーを勧めてくれた名も知らぬおばちゃんも。ということで、京都のタクシーで「1番ウマい ぶぶ漬け屋まで」とお願いした結果は、まさかのメニューに「ぶぶ漬け」は無い漬物屋だった。

しかし出てきた漬物でDIYしたぶぶ漬けはガチで美味いという結果に。スリルもサプライズもあり、その上で最後はめちゃくちゃ美味い。これ以上ないほどパーフェクトな結果だった。あ、そういやこれ、値段いくらなんだ? ちょっと怖いぞ。

えっ、御膳だけなら税込み1980円で、焼き魚もセットだと税込み2530円ですって? この雰囲気ある部屋でこのクオリティの御膳なら、むしろお手頃。京都でぶぶ漬けを食べたい方は参考にしてみて欲しい。


・今回訪問したお店

店名:京つけもの処 近為 京都本店
住所:京都市上京区千本通五辻上ル牡丹鉾町576
電話:075-461-4072
販売:9:30 ~ 17:30
お食事:11:00 ~ 15:20(LO14:30)
※今は11:30 ~ 14:50(ラストオーダー14:00)とのこと

参考リンク:近為
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼漬物は全部美味かったが、特に印象深かったのがこの「長芋わさび」。表の店舗では「長いもわさび漬」として売られているとのこと。長芋のトロトロ感と、わさびのツンとする感じのハーモニーがいたく気に入った。


▼この西京焼きも凄まじくウマかった。人生でNo.1の鮭の西京焼きだったと思う。なんとなく流れで頼んだが、正解だった。行ったら絶対頼んだ方が良い。鰆(サワラ)もあるらしい。


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